第十七話 領主からの招待状 その3
領主の館に着けば、100人ほどの騎士たちが立ち塞がっていた。行き成り攻撃をしてくるのかと身構えるが、目が合うなり跪かれる。
「えーと……。これはどういうことですか?」
目の前の状況に理解できないわたしが、首を傾げるとマルクスが口を開く。
「討伐隊にいた我の部下だが。その、其方に心酔しているのだ」
「意味がわかりませんよ。なぜ心酔するのですか!?」
……うわぁ…。これ以上、跪く人が増えてほしくないよ。
「息絶えても不思議じゃない負傷を癒し。竜を倒す強さ。それと、其方の容姿に惚れ込んだそうだ」
マルクスは苦虫を噛みつぶしたような顔でそう言って、軽く頭を振るった。
……10歳の容姿に惚れるなんてロリコンじゃないですか!
「「「貴女に我が剣を捧げます」」」
騎士たちが跪いたまま、わたしに向かって剣を捧げ出した。
……ロリコン騎士なんて要りません!!
「マルクスさんの騎士団なのでしょ?困ります。何とかしてくださいよ」
わたしは溜息をつきながら、マルクスへ対処を望んだが。
「「「我が心身を我が君へ捧げます」」」
「あなたたちには聞いていません!」
わたしの返事で、騎士たちは絶望の表情に変わり、マルクスはこめかみを押さえる。
「……マルクスさん、あなたの騎士団なのでしょ?」
「父上から任命されただけで、正式に剣を捧げられてないのだ」
「だとしても。わたしはこの国に所属した者ではないですし、少なくとも冒険者ランクSの実力を持たない騎士なんて欲しくないですよ!!」
騎士たちがカッと、目を見開き「冒険者ランクSになり次第、剣を捧げます」と、言いだしたので「い、り、ま、せ、ん!」と伝えた。再度、絶望の表情をして項垂れるが、知りません放置です。
「では、さっくりと領主に雷撃を落としてきましょう」
「いやまて!雷撃落とすことが確定になっているぞ!」
……あー。本音を口に出してしまったよ…。これもロリコン騎士の所為に違いない。
「もうなんか面倒になってきたので、ここから打ち込んで良いですよね?」
「領主から攻撃を受けて無いではないか!!」
「この国の騎士から精神攻撃を受けましたが?」
「待つのじゃ。そのような行いをしたら神は何と思う?」
ダングルフの言葉で、ハッとした。この世界に転生させてくれたのに、面倒だからと短絡的な行動は良くないね。
「そうですね。横着は良くないですよね。話してから雷撃しましょう」
「其方の中では結論は出ているのだな…」
招待状の内容から話しても変わらないと思うのだが、マルクスは何を期待しているのだろうか分からない。
「そうそう。マルクスさん、ダングルフさんは、ここで待っていてくださいね」
2人揃って「何を言う!?」と目を剥くが、招待状も無いに領主に会えるということは、地位があることだ。普段通りの領主が見られなければ意味がない。
「わたしはこの国の名前も知りませんが、招待状も無しに領主に会える地位をお持ちなのですよね?」
「わしにはそこまでの地位は無いが、マルクス様はこの国、ベリエ王国の第二王子じゃ」
「そうだったのですか。この大陸の名前も知らないので教えていただけませんか?」
王子と知らされても平静でいることに目を見開かれても、わたしにとっては些細なことだ。
食文化の発展している国なら興味を持ったけどね。
2人からの説明によると、この大陸はコンステラシオンと呼ばれ、かつては13国が存在したが大陸大戦の末、中央にアレク王国、東にヴィエルジ王国、西にリオン帝国、南にベリエ王国、北にトロー帝国が治めるが、各国では未だに小競り合いが続いている。
ゲームでもアレク王国がある大陸には13国存在して、各国それぞれに技術、道具、芸術など特化した独自文化を持っていたが、この世界では大陸戦争で失われたらしい。
……食文化の衰退にはがっかりだよ!
「この大陸について教えて下さりありがとうございました。では、領主に会ってきます。マルクスさんに取り入られては困るので、ここで待っていて下さいね」
マルクスが居ることで傲慢な招待状を出す領主が、わたしの機嫌を取って気にいられるように努められたら困る。
「心配しなくても大丈夫ですよ。国王から領主を拝命された貴族なのですから、招待状の文面は文官の代筆なのでしょう?」
マルクス、ダングルフが唇と引き結んで項垂れた隙に、わたしは領主の館へ入っていく。
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