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第20話

お久しぶりです。

短くて申し訳ないです。



えっと……




んん?




私は今何を言われた?

思考が追い付かず、疑問符が頭の中を飛び交っている。

私の手を取り微笑むジン様の瞳は柔らかい。

こんな甘い雰囲気は初めてで、どう対処していいのかわからない。

頭が真っ白になるとはこういうことをいうのだろうか。



予想外の彼の言葉に、私はすぐに何も言うことができなかった。

しかし、段々と彼の言葉が私の中で消化されていく。それに比例して、じわじわと自分でも顔が熱くなっているのがわかる。

私の顔はきっと真っ赤になっているのだろう。口を開くが言葉にならずに酸素を取り込む魚のようだ。

私の手を取り微笑むジン様を見て心臓が痛いくらいにバクバクしている。


「な、にを、おっしゃって…」

「ん?だから俺にカレン嬢をエスコートさせてほしいって」


そうじゃなくて!


「なぜですか!?」

「え?だって誰かに頼んだわけでないなら俺でもよくない?」


いやいやいや。

聞きたいことはそうじゃなくて。

落ち着け自分。深呼吸だ。

─よし。


今私は彼にエスコートさせて欲しいと言われたよね?誰からもそんなお誘いを受けたことない私には正直嬉しい出来事だ。相手もジン様だしね。けれども、けれどもだ。デビューのエスコートは特別……だよねぇ?女の子にとって─少なくとも私にとってはだが─そんなに軽いものじゃないことくらいこの人ならわかっているだろうに…。確かに婚約者がいるわけでもないしそこまで深く考える必要はないのかもしれないけれど…。

いやいや。婚約者がいないからこそ真剣に悩むんじゃないの?あれ?でもデビューは婚約者探すんだっけ?

…そういえば、聞いたことないけど、この方に婚約者とかいないのかしら??だとしたら気まずくない?ますますわからなくなってきたけど、なんだ?どういうつもりで……。


「…くっくくく。ぶはっ!」


─!?

なんで爆笑するし!?この人絶対からかってるでしょ!

私は思わず手を振り払って押し退ける。


私のトキメキを返せ!

くそう。初めてのお誘いかと思ってドキドキしたのに…。

何だか悔しい気持ちでいっぱいになる。


「ごめんごめん。なんかかわいくて…」


あれだけ爆笑しといてそれはないだろう。

そんなに私の顔はおかしかったんですかね。けっ。

先ほどより落ち着いた彼は私に向かって笑顔をひとつ。

そんな爽やかスマイルに流されると思ったら大間違いですからね!


「一体何の冗談かと思いましたわ」

「冗談なんかじゃないんだけどね」

「だいたいジン様にも婚約者がいらっしゃるんじゃないですか?その方に睨まれたくありませんもの」

「あれ?やきもち? それは期待していいのかな?」

「なんのことでしょう?さっぱり意味がわかりませんわ」

「俺からの告白だと思ってくれたんじゃないの?」

「し、知りません!」

「真っ赤な顔で否定しても意味がないでしょ?」


どういう意味でしょうかね?これは勘違いした恥ずかしさからなんですぅっ。

思わず顔を背けてしまった。

ジン様はそんな私の様子にクスリと小さく笑う。


「カレン嬢。俺はね、初めて君を見かけた時からずっと気になってたんだよ?」

「!?」


再び私の手を取りながら噴水の縁に腰掛ける。私は立ったまま、取られた手もそのままに彼の言葉に耳を傾けた。


「初めは君が魔術の訓練をしなければならない理由なんて知らなかったし、あの先輩の妹だから魔力が高いもんだと納得してた。だから話を聞いただけの時は正直あんまり興味がなかったんだ。魔術だろうとなんだろうと、出来て当然だと思ってたからね。

…けど初めて偶然に、魔術師団で見かけた君は俺の想像とは違ってたんだ。

目が離せなかった。君が後天的に手に入れた能力に振り回されないよう、砂まみれになろうと傷だらけになっても諦めることなくただひたすらに訓練に打ち込む様に。

…俺の周りには俺も含めて己の不運を呪うだけで何もしない奴等ばっかだったからな。眩しかった」


彼は遠くを見つめながら何を思っているのだろう。

握りしめた手に更に力が入ったのがわかった。


「俺は小さい頃から兄貴が自慢だった。手合わせしてもなかなか勝てなくて悔しかったけど、俺は純粋に兄貴を尊敬してた。兄貴のように強くなりたかった」


けど、と続けた彼の瞳は沈んでいて。


「俺が学園に入るときに領地でちょっとした厄介な出来事があってさ。結局は兄貴や他の団員の人らが助けてくれたから大事にはならなかったんだけど…」


そういえば随分と前にアルお兄様達がスルト様のご実家でお世話になっていた時期があったなぁ。その時は会えない少しの寂しさと、お泊まり会が羨ましいくらいにしか思っていなかったけど。そっか、この時すでに学園に通っていたお兄様達はもう騎士団に訓練生という形で仮入団してたんだ。だからか。元々仲の良かった友人の家で何かが起きて放っとけなかったのだろう。今なら私も友人のために動くだろうなと思うし…。


「俺はね──」


彼は昔に思いを馳せる。手を引かれてるような気がして私はそっと隣に腰を下ろした。








色々と…忘れております…リハビリと思っていただけると…

ありがとうございましたm(_ _;)m

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