意外なつながり
今日から更新がまた遅くなります。すいません。
シフトに夜勤と遅がやけに入っていたもので・・・。私用ですいません。
※ものすごく間違いが多かったです。すいません。
ほーほーと、何処からか梟の鳴き声がする、時刻は不明だけど夜です。
おかしいな・・・。さっきまで昼だったはずなのに。ロゼットが加わった途端、一気に時間が早くなったような。体感時間がおかしくなったのか? 三日月を見上げながら、ぼんやりと考える。
起こした火を絶やさないよう、手近にある枝を投げ入れた。
アーシェは疲労から、早々にテントに入って寝ている。オルフェはレーヴェと一緒に辺りを巡回中。その中に、無理矢理に加えさせられたシメロンもいるけど・・・果たして役に立つのかどうか。口喧嘩ならまだしも、本気で殴り合いをしていないことを祈る。
残ったロイドは、私と一緒に火の番をしていたんだけど・・・・・・・・・。
「何故にこうなった」
「何か言ったかしら?」
首を横に振って、何でもないと意思表示すれば、ロゼットは気にした様子もなく視線を火に向けた。
本当、何でこうなったんだろう。私は火を挟んだ向こう側に座るロゼットを一瞥してから、ばれないように息をついた。数分前までは、そこにロイドが座っていたのに・・・。
「それにしても彼、顔色が凄く悪かったけど大丈夫かしら」
何をまぁ、いけしゃあしゃあと・・・。
ロゼットが耳元で何かを告げてから、ロイドの顔色が死人を連想させるほどに悪くなったと言うのに。本当、何を言ったんだ。また、溜息がでた。
申し訳なさそうな顔をして、胃を押さえてテントに戻ったロイドは大丈夫だろうか。胃薬、あったかな? ・・・・・・ないな。今度から、常備しておくべきか。
ロイドがいるテントに眼を向ければ、隣に誰かが座る気配がした。・・・誰かって、一人しかいないじゃないか。そろりと視線を向ければ、私を凝視するロゼットがいる。舐めるような視線じゃないだけ、マシかもしれないけどそんなに見るな。怖い。
「あの・・・何か?」
聞いてみたけど、返答はない。
「えっと・・・あ。お茶、お茶でも飲みましょう」
沈黙に耐えられなくなり、私は荷物に入っていた紅茶パックとヤカンを取るため腰を上げた。のだが。
「うぇ?」
ロゼットに腕を掴まれ、元の位置に戻された。何だ、何なんだ? 何がしたいんだ、この女性は? 困惑が胸をしめる。
「貴方、何者?」
ルキア・クルーニクスですが、何か?
ロゼットの言葉に、首を傾げた。意味が解らない。
「ありえない」
何が?
「貴方、誰」
いや、だから意味が解らな・・・・・・・・・・・・。ん?
キャラクターを否定しかねないその言葉は、友人が無理矢理に読ませた夢小説でよく見かけたな。で、それを言うのが決まって、逆ハーレム願望の悪女や、傍観者気どりのまったく傍観していない女で。友人が典型的すぎて逆に面白いって豪語していたっけ。
顔も名前も忘れてしまった友人よ。
君がくれた知識は今、変な所で役にたっているよ。
・・・現実逃避はやめよう。
えーあー、ロゼットってまさか、私と同郷の人間? いやいやいやいやいや、まだ確信がないのに、決め付けちゃあ駄目だよね。でも・・・同郷の人間だったらどうしよう。悪女だったら私、死亡フラグのBAD ENDが立つんじゃ・・・ひぃ、考えたら怖い!!
ガクブルガクブルしながらロゼットを見やり、さり気なく距離を取ろうと後退した。
「ちょっと、どうしたのよ」
「い、いいいいいいえ、なに、ななななにも」
「青ざめた顔で、どもりながら否定されても信じられないわよ」
そうですねー!
「まぁ、いいわ」
ロゼットが私の両肩を力強く、掴んだ。ひぅ! ぼ、暴力はご勘弁を!! いや、慣れているから別にいいんだど、痛いのは嫌いなので出来るだけ止めてって―――――ああもう、混乱するな私!
ロゼットが眼と鼻の先まで顔を近づけてくる。何でそんなに近づくのさ? え、ソッチの人? 違う意味で怖くなった。やめてー、私はノーマルなの。ソッチ方面は否定しないけど、私を巻き込まないで!!
「貴方は真実、ルキア・クルーニクスなの?」
生まれて十五年、ルキア・クルーニクスとして生活しています!!
切実な叫びとともに、肯定した。
「・・・・・・それは、まぁ、何と言うか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
間が多い! 憐れみか? 憐れみなのか?! やめろ、可哀想な子を見る眼で、私を見るな。
「違う、違う。そうじゃなくて――――貴方、どうして生きているの」
頑張って死亡フラグを回避したから。と、言えばいいのか、それとも知らないとはぐらかすべきか。これ、どっちを選んだら正解なんだろう。
いや、それ以前に・・・。
「いい加減、顔、離れてくれません?」
息が肌に当たって、何か、嫌だ。
「いいじゃない。減るモノでもないし。で、質問の答えは」
気力と精神が減ります。言えないけど、言えないけど!!
私は顔を横にそむけながら、ロゼットの質問に答えた。さて、なんて言おうか。
「私が生きていたら、何か不都合でもあるんですか」
逆に質問しかえすことにした。
「ないわ」
はい? 思わず、そむけた顔を戻してロゼットを見た。嘘は・・・言っているようには見えない。え、本心? 怪訝にロゼットを注視した。
「むしろ好都合。オルフェウスとの恋愛フラグが折れて、万々歳よ!!」
あー・・・間違いなく、同郷の人間だ。
「私はオルフェウス×ルキア派だから、自分と恋愛! なんて考えられないのよ。むしろおぞましい」
おぞましいって・・・。いや、それ以前に、何故にカミングアウトをする? 私、同郷の人間だって話していないよ? 何も知らない人間からしてみれば、頭のおかしい人に見えるよ? あと、オルフェと恋愛を推進しないで。
私、一人で楽しく老後を過ごす予定だから。
「あの、ロゼットさん」
「ロゼットでいいわよ」
わぁー、きらきらした笑顔。美形の交じりっけのない、本当の笑みは眼に毒ですね。また顔をそむけて、私はから笑いする。
「えっと、ロゼット」
「なぁに?」
うっ、蠱惑的な笑みが心臓に悪い。
「・・・・・・・・・・・・出身は、どこですか?」
何でこんなことを聞いたぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!
やばい、自分の馬鹿さ加減が恥ずかしくて仕方ない。穴! 穴を掘って埋まるしかないぃぃぃぃいぃ!
ロゼットの中で、私は同郷の人間と言う確信があるのか、ぺらぺらと喋ってくれる。
「日本よ。住んでいたのは、ひ・み・つ。って言うか、忘れちゃったわよ。何百年前のこと、思い出させるつもり」
そう言えば、八百歳でしたっけ。見た眼が若いので忘れていたよ。
「ちなみに・・・転生ですか? トリップですか?」
「転生。私、事故に巻き込まれて死んじゃってね。五歳の時に気がつけばロゼットで、驚いた何のって」
わ、私と一緒だー。
同郷云々を否定する気もなく、私はロゼットの言葉に耳を傾けた。
曰く、仕事帰りに交通事故に遭い、救急車で搬送されたわいいが意識が戻らず、家族が悲観に暮れているその様子を幽体離脱しちゃった?! 的な元OLなロゼットが見ていて、あまつさえ、自分が死ぬ瞬間まで見届けてしまったと。神様に罵詈雑言を叫んだ瞬間、身体が何かに引っ張られてその場から種滅。気がつけばロゼット・サーリャになっていたそうだ。
私と似ている所があるなー。しみじみと、共感を覚えた。
で、だ。
転生、しかもロゼット・サーリャと言うエルフに生まれたからには、人生バラ色幸せ計画を行おうとしたらしい。バラ色って・・・ツッコまないぞ。
だけどロゼット・サーリャの基本設定値が低いから苦労の連続だったらしい。踊り子じゃなくて別の人生を歩もうと思うけど、ことごとく基本設定が低くて「どうしてこうなのさ!」と何度も叫んだらしい。しかも神霊術がゲームと同じくらいに不得意で、補助系しか使えないから同族に馬鹿にされるも返り討ちにして下僕にさせたとか。わぉ、凄いね。――としか言えない。
何かむしゃくしゃしたから踊ってみたら、本来のロゼット補正か大絶賛。ありとあらゆる権力者から宴の席に招かれ、結構な大金を易々とGET。昔とは比べ物にならないほどの稼ぎに、もうロゼット・サーリャらしく踊り子として生計を立てて行くと決意したらしい。だけどバラ色の人生も送りたいから、伴侶探しでも忙しいとか。
余計な情報まで貰ったけど、何と言うか・・・逞しい。
私は死亡フラグを回避するのに一生懸命で、別のことを考える余裕なんてなかったよ。
「オルフェが婿じゃ、駄目なの?」
「言ったでしょ。私はオルフェウス×ルキア派だって。むしろ貴方がオルフェウスを婿にしなさい」
勘弁してください。
「半分冗談はさておいて」
半分は本気か。油断ならないので、気をつけよう。
「ねぇ、お願いがあるんだけど」
「お願い・・・?」
企み顔で笑う姿はちょっとどころか、多大に警戒心を煽らせるんですが・・・。
引け腰になる私の肩に置いた、ロゼットの手にさらに力がこもった。痛い! けど、今までの暴力に比べたらなんてことはない。比べる対象がおかしいって、怒られそうだ。
げんなりとした顔で、ロゼットが口を開くのを待つ。
待つ。
まだ待つ。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・まだ?
口を開いては閉じ、覚悟を決めては開き、けど顔を赤くして閉ざすを繰り返して約25回。時折、「やっぱり恥ずかしい」やら「言うのよ、ロゼット・サーリャ」なんて小さな声が聞こえるけど・・・。いい加減、話してくれないかな?
何か、眠くなってきたんだけども。
「ええい、女は根性!!」
女は愛嬌の間違いだ、それ。そして叫ぶな。寝ている二人に迷惑だし、魔物を呼び寄せるかもしれないだろう。
ロゼットも後者の可能性に気づいたのか、慌てて音量を下げて語る。
「友達になってください」
まさか、それを言うためにあんなに時間をかけた・・・のか?
「ルキアのファンなのよ、私」
ゲームのルキアの、ね。
この人、絶対にルキア生存ルートを作って! って、騒いだユーザーの一人だ。眼がやけにきらきらしているし、「ルキアに言っちゃった」なんて恥じらっているし。
うん、言う相手を間違えている気がする。
確かに私はルキア・クルーニクスだが、彼女の言うルキアではない。ゲームのルキアじゃないから、ファンと言われても何とも思わないし、友達になってくれって言われても困るだけなんだけど・・・。
私もゲームのロゼット、好きなんだけどね。ここ、ゲームじゃないし。
「あ、ちなみに言うけど、ゲームのルキアと貴方を混同して見てないからね」
違うの? 思わず、首を傾げた。
「そりゃそうよ。だってここ、ゲームの世界じゃないもの」
「いや・・・ゲームの世界ではあるんだけどね」
「そうだけど、転生した私達からすればここは紛れもなく、現実世界。ゲーム云々って考えることが馬鹿らしいでしょ」
「・・・あー、そう、ですね」
すいません。基本、ゲーム設定で考えていました。まぁ、今はゲームと違いすぎるから、参考程度にしかしてないけど。
しかしロゼット、割り切り凄いな。感心するよ。
「それで、その・・・」
私の肩から手を放し、顔を赤らめさせてもじもじするロゼットは間違いなく可愛い。これ、男がみたら一発で惚れるだろう。むしろ――――押し倒されるレベル?
想像してみた。
・・・・・・・・・男が金蹴りされて、返り討ちに遭う姿が浮かんできた。南無。
「友達に、なってくれる?」
「私を、私として見てくれる? 彼女ではなくて、私として?」
言えば、ロゼットは胸を張って頷いた。
「当然よ。貴方も、私をキャラとして見ないでよね」
「うん」
タイミングよく、がさり、と草が踏まれる音が聞こえて、ロゼットと一緒に振り返った。ロゼットさん、何故にファインティングポーズを取るんですか? たぶん、音の主はオルフェ達だと思うんだけど・・・あ、はい。警戒は怠らないんですね。
見習おう。
「――ん? ロイドはどうした?」
現れたオルフェ達は、真っ先に戦闘態勢を取るロゼットに眼を見開き、ついでロイドがいないことに首を傾げた。
私は問いかけたレーヴェに、何と言えばいいのか暫し迷ってから。
「体調不良。主に・・・・・・胃の」
答えれば、オルフェとレーヴェは察したのか、何とも言えない眼でロゼットを見ている。ロゼットは「大変ね」なんて言っているから、さらに視線が強まった。気づけ。
「若いのに胃潰瘍か、哀れだね」
いつの間にか・・・いや、もう慣れたけど、背後から私を包むように抱きしめたシメロンが、しみじみと呟いた。おい、もたれかかるな。重い!
オルフェが悪態をつきながら、シメロンを私から放してくれる。で、そのまま二人して口喧嘩。背後で争うのはやめてくれ。あ、溜息がまた出た。
「さぁて、と」
ロゼットが立ちあがり、私の腕を引いた。
え、何?
「私達はもう寝るわね。後は、野郎が頑張りなさいよ」
「当たり前だ。ルキアも、寝た方がいい。明日もまた、歩くことになるからな」
オルフェがしっしっと、犬猫を追い払うようにロゼットに言ったと思えば、私に優しい顔でそう告げた。態度があからさますぎだ。少しは猫を被ろうよ。
・・・被ったら、オルフェじゃないか。想像すらできないなんて、恐ろしい子!
「そうだな。後は俺達に任せて、ルキアは寝た方がいい」
ロゼットの名前も呼んであげてよ、レーヴェ。
「じゃ、俺も」
「お前はこっち」
「逃げるな」
当然の如く、私について来ようとしたシメロンをオルフェとレーヴェが良い笑顔で阻止した。両腕を二人に掴まれたシメロンが、酷く凶悪な顔で舌打ちをする。こわっ!!
「じゃあ、頑張ってねー」
軽い声で告げたロゼットに引きずられるように、私はアーシェが眠るテントに向かって歩く。背後で言いあう声が気になるけど・・・・・・・・・・・・・・・すまん。
眠気が勝って、碌に耳に入らないし、気にするより休めと言う本能に負けた。
明日、オルフェ達が満身していないことを切実に祈っておこう。神様ではなくて、龍皇に。誰が神様に祈るか。ばぁぁぁぁぁぁああぁぁあぁぁぁかっ!!
・・・駄目だ。思考が幼稚だ。
テントの中ではアーシェが小さな寝息をたて、幸せそうに眠っていた。
「それじゃあ、寝ましょうか」
私はロゼットに促されるまま、眠りについた。だが一つ、解せないことがある。何で私が、真ん中で寝なきゃいけないんだ? そして何故――――二人の抱きつかれているんだろう?
いや、腕に当たる胸が柔らかいとか、ふくよかだとかおやじ思考が入っている訳じゃないよ。むしろ、抱きつかれて寝苦しい。
それでも睡魔はやってきて、私はお休み五秒で夢の世界に旅立った。




