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知られた秘密

お気に入り、ありがとうございます。

今日、無事に、更新できてよかったです。

 テオ命名の機械塔、基、研究施設の中は、ハイテク技術の固まりでした。近未来的すぎて、形容する言葉が見当たらない。

 受付に似た場所に設置された、複数の巨大なパネルは機械塔の細部や機械神(デウス・エクス・マキナ)の街並みを映しているし。扉の前にあるデフォルメされた猫やら犬やら、何故か鼠やらの姿をした立体映像はこの先が何かを説明したり地図をだしたりしているし。宙に浮かぶモニターは事細かに部屋の説明文を出し、入室に必要な認証キーの提示を求めているし。通り過ぎる人は人じゃなくて、全員機械人形だし。

 ・・・解っていたことだけど、人がまったくいない。

 機械神の王は人造人間(タロース)だけど、人造の部分で純粋な人間じゃないし・・・。


 あ、すごく解りやすいロボットが眼の前を通り過ぎっていく。あれは女子高校生(むかし)の私が知っているロボットに凄く似ているな・・・。


「えっと・・・遺伝子、遺伝子関係は」

 ロイドが立体映像の地図を見ながら、遺伝子関係の研究室を探している。

 私は何気なく、周りを見渡した。相変わらず、私の両隣にはシメロンとオルフェがいる。少し離れた位置にはカリステゥスとピセルが、未だ、往生際の悪いラルフレアを説得・・・説得か、あれ? そこはかとなく黒い物を醸し出すピセルと、爆笑しながらも諭すラルフレアに疑問しか出ない。うん、説得と思っておこう。ラルフレアも顔を青ざめつつ、怯えながら頷いたし。身体を震わせて怯えながら。

 ・・・・・・さ、スルーするぞ!

 アーシェは辺りを興味深そうに見渡して、テオにこれは何、あれは何と聞いている。うん、頼られて嬉しいのは判ったけど、顔にしまりがないよ。だらしなすぎて、殴りたくなる。デレデレするな、このヘタレ! ・・・ちょっと、妨害しに行こうかな。

「ルキア、ちょっとこっちに来てくれ」

 心の中で腕まくりをし、勇み足でテオに向かおうとしたらレーヴェに声をかけられた。まさか、やろうとしたことがばれた?!


「どうかしたの?」

 平静を保ちつつ、オルフェとシメロンの傍を離れる。とは言っても、二人して私についてきたから、離れてはいない。そのことに若干、うんざりとした気持ちを抱きながらレーヴェに近寄って、足を止めた。

 はて、眼の前の光景は錯覚かはたまた幻覚か。

「・・・・・・・・・その子、誰?」

 レーヴェの右手をにこやかに笑って握る、セピア色の髪をした少年。見た眼からして、おそらく五歳だろう。その割に、年不相応な知的差を感じるのは何故だ?

 いやいや、そもそも何故、少年がレーヴェの手を握る? って違う、違う。この少年・・・・・・人間、だよね? え、純粋な人間って、機械神にいたっけ? ゲームとは・・・うん、比べない。比べたら頭が痛くなるからやめようか、私。

 一呼吸して、困惑を鎮めよう。


 よくよく、少年を観察する。

 魔法使いを連想させる服は体格より大きく、ダボダボして余った布が床に垂れている。袖から覗く腕は細く、機械人形とは違って血が流れているように見えた。・・・いないと思ったけど、人間がいたことに驚く。

「何、レーヴェ。隠し子でもいたの?」

「いるか馬鹿」

 からかうオルフェに、レーヴェは冷たく切り捨てた。

「ルキアをじっと見ていたから、声をかけたらこうなった」

 成程、意味が解らない。

 はっ! もしかして髪の色が白銀だから? ここの機械人形達が何も言わないからスルーしていたけど、ここでも何か言われる? 暴力振るわれるのか私!! ここ最近平穏だったから、忘れていたよ。私の髪は不吉の証、禍と言われる代物だったのにっ。


「逃げるか、ルキア」

 私の肩に手を置きながら告げたシメロンに、一・二もなく頷こうとして、少年が阻むように声をだした。

「綺麗な髪ですね。まるで夜空に浮かぶ星のようです」

 ・・・・・・・・・下手な口説き文句か? 思わず、眼が点になった。あ、レーヴェが唖然としている。オルフェはイケメンが台無しな顔をしているよ。うわ、凄い。

「妹を口説くつもりなら、やめてくれよ」

 シメロンが笑顔のまま、返答する。

「いえいえ、口説くなんてそんな・・・。本当のことを言っただけですよ。素直って大切ですよね」

「時と場合によると思うが?」

「美徳だと思ってくださいよ」

 何これ、怖い! 笑顔なのに何か怖いよ!! ひぃぃ、誰か助けてぇぇぇええぇぇ。


「それを言うために、ルキアを見てたのか?」

 ありがとう、オルフェ。動転しすぎて、声も出なかった私の変わりに聞いてくれて!

「それもあります」

 即答だな、おい。

「貴方と貴方、それと貴方と貴方」

 オルフェ、レーヴェ、シメロン、ロイドを指差して、少年は最後に私を見た。

 少年はレーヴェから手を放し、軽い足取りで私の傍に駆けよってくる。無意識と言うか、条件反射で身体が後退した。・・・人間恐怖症の人間不信、なんとかせねば。

 これじゃあ、目指せ、素敵老後生活なんて夢の夢だ。あれは一人で過ごすことを前提にした夢だから、今のままじゃ到底、無理。不可能。


 けど、少年はそんな私の行動に何かを察し、慌てて三歩ほど後ろに下がった。理解力のある五歳。将来が末恐ろしい。碌な大人にならないことを祈ろう。

「綺羅たる星の姫。貴方もどうか、一緒について来てください」


 そう言う台詞は是非、絶世の美少女か美女に言ってください。

 間違っても、私の言う台詞じゃない。


「ああ、そうそう」

 少年は手を叩き、思い出したようにラルフレアを見た。とてとてとラルフレアに近づき、ラルフレアの腕を掴むととても五歳児とは思えない腕力でこちらまで引きずってくる。

 人間と思っていた少年は実は、機械人形だった。なんてありふれた考えが脳裏を横切っていく。・・・あの腕力を見た後では、否定できない。むしろ、ありえる。

「貴方も一緒に。他の人はご遠慮願おうか」

 声に、威厳があるような・・・。さっきまでの可愛らしい声はどこに消えた。

 カリステゥスが眉をしかめ、何故か私を見てから少年を見下ろした。顔にはありありと不満が浮かんでいる。

「それは困る。俺はその方の護衛騎士だ。仕事を放棄させるつもりか? なぁ、テオ」

「レオンハルト様に危害がないなら、私は別に」

 テオの台詞に、ピセルが無言で頭を叩いた。そして昏々と説教をしている。曰く、護衛騎士が何たるかだが、別に聞かなくていいか。


「ちょっといいか」

 カリステゥスが私の腕を引っ張り、皆の死角に隠れる場所へ移動した。あれ? さっきまで少年と話していたよね? 何時の間に? そして手を放して。カリステゥスに慣れたとは言え、拒絶反応がっ。あ、鳥肌・・・。

 内心で悲鳴を上げる私を無視し、カリステゥスは険しい顔をして私を見下ろした。何だかこの眼、懐かしいな。あはは、よく街の人間が私に向ける眼じゃないか。そう思ったら、心がすっと冷えた。

 やっぱり、カリステゥスは私を否定はしないが受け入れてはいない。

 私と言う存在が害悪となるのなら、簡単に切り捨てる人間だ。オルフェ達とは違う。ラルフレアとも。

「よかった」

「え?」

「貴方みたいな人がいて、よかった」

 言葉の意味を正確に汲み取れなかったらしく、カリステゥスが怪訝に首を傾げた。

 私は眼を伏せ、どう言えば正しく伝わるか考えながらゆっくりと、言葉を口にする。壁の向こう側で、オルフェ達の声が聞こえた。


「距離を置いて物事を見る人。冷静な思考で正しくあろうとする人。間違った道を選ばないよう、最良を求める人」


 つらつらと言葉を並べれば、カリステゥスは絶句していた。それに気付かぬ振りをして、さらに続ける。

「私を簡単に身捨てられる人」

 オルフェは駄目だ。約束が邪魔をして、私を見捨てられない。

 ロイドも駄目。情に厚い彼は悩みながらも、結局は私を見捨てられない。

 レーヴェは論外。国と私を天秤にかけても、私を取ると昔言っていたから。

 テオはそんなレーヴェに従うから、除外。アーシェも同様。ピセルやラルフレアは解らないけれど、少なくとも、ラルフレアは国を取るだろう。むしろ取らせる。

 伏せた眼を上げて、私は笑った。

「いざと言う時は、切り捨ててください。別に恨みませんので」

 死にたくないが、オルフェ達を道連れにするよりはずっと良いだろう。

 カリステゥスが複雑な顔で、何かを言う前にさらに言葉を続けた。


「貴方はずっと、私を受け入れないで」


 私の手を掴むカリステゥスの拘束が緩まったのを確認するより早く、私はその場から立ち去った。言い方を変えよう――言い逃げである。

 やっちまった感が半端ないが、あれでいいだろう。カリステゥスは私の思った通りの行動をしてくれる・・・はず! 軟派に見えるけど、あれで色々考えているはず! ゲームだとそうだったし。いやいやいや、私よ。ゲームと比べるなって。期待して裏切られた時のがっかりは、半端ないだろう。

「ルキア? 頭を抱えてどうかしたの?」

 眼の前にロイドがいました。吃驚だ。てか、あれ? 私頭を抱えて・・・いたよ。わ、無意識って恐ろしい。じゃなくて!

「どこに連れて行かれるのかなって、考えたらちょっとね」

 嘘をつくのが上手くなった気がする。まぁ、半分本当のことだし、完全に嘘じゃないからいっか。




 そんな会話から約二十分――。

 嫌がるラルフレアを気絶させると言う荒技で、体格の差をモノともしないで脇に抱えたレーヴェはテオに他のメンバーのことを任せ、少年の後を追いかけた。少年は一足先に兎の立体映像がいるエレベーターに乗っていて、その隣にシメロンとオルフェがいた。私はロイドと一緒にエレベーターに乗ったら、チン、と扉が閉まった。

 これが五分前の出来ごと。その間に、ラルフレアは意識を取り戻して絶望していた。

 で、だ。

 残りの十五分は何だって言うと・・・・・・ひたすら、廊下を歩いていました。入り組んだ道なのか、やけにぐねぐねしていた。ゲームじゃあ、一本みたいだったのに現実って酷い。なんて思わないよ。思ったりしないさ。がっかりなんてしてないからね!

 自棄になりつつ、廊下を歩いて二十分。

 漸く、少年の足が止まった。

 私は疲労を隠しながら前を見て、絶句。オルフェ達も威圧感を放つ扉に言葉を失くし、ただシメロンだけは興味なさそうに私の頭を撫でていた。解せない。


「あ、この部屋に入る前にここに手を当ててね」

 有無を言わせぬ笑顔で、少年は熊の立体映像を指差した。

「ほらほら、早く」

 急かされるまま、ラルフレア・レーヴェ・オルフェ・ロイド・シメロン・私の順に熊の眼の前に掌を突き出す。その度に、ピーと言う機械音が聞こえたけど・・・。何なんだ?

 怪訝な顔をする私達を無視して、少年が熊に掌を見せる。途端、扉が重い音をたてて開いた。うわ、何か厳重なモノが奥にありそうって、この部屋まさか・・・っ。


「ようこそ、王の間へ」


 やっぱりか! やっぱりそうなのか!! 予想を裏切らない展開に、もう頭を抱え込んで項垂れたい。あ、ラルフレアの口から魂が抜けた。レーヴェがすかさず、少年に王族としての礼をしながら告げる。

「こちらは聖王国・王冠レアーメの聖王、ラルフレア・シビル・アウラディア。私は弟とのレオンハルト・シビル・アウラディアです。以後、よろしくお願いします。主に兄上と」

「レーヴェぇぇぇぇぇえええぇぇぇ! ちょ、ずるい!!」

「何がですか兄上。国を代表して機械王と謁見して来てください。私は私用を済ませてきますので」

 早々に退室しようとするレーヴェの足に、ラルフレアが掴みかかった。兄としての威厳も王としての尊厳もないその姿に、妙に眼がしらが熱くなる。そんなに嫌か、聖王の称号。


「あの、僕達もちょっと用があるので・・・。機械王に逢うのは遠慮したいんですが」

「用事とは?」

「え、あの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・血縁関係についてです」

 少年の笑顔にロイドが負けた! うわ、冷や汗を流してそっぽをむくロイドって、何だか貴重だわー。写真に残したいくらい。

 ロイドは何かを考え込む少年から逃げるように離れ、私達の傍に近寄った。顔色が悪いんですけど、そんなに少年の笑顔は怖かったの? 見た眼、普通なのに? ・・・普通が一番怖いのか。

「血縁関係って、誰と誰?」

「あ、その」

「ルキアとこの男」

 言い淀むロイドに変わり、オルフェが答えた。その問いに少年は私とシメロンを見てから、顎に手を当てた。そして――。


「ふむ・・・。<画像展開、対象確認、走査開始>」


 唐突に、いくつものモニターが宙に現れた。そのモニターは忙しなく文字を並べ、消えると別のモニターが現れを数度繰り返す。英語に似た文字は、悲しいかな。まったく読めない。英語苦手だっていうのもあるけどさ。

「・・・」

 ある種異様なその光景に兄弟コントをしていたレーヴェ達も気づき、唖然と見ている。各言う私も、唖然と口を開けていた。いや、もう・・・科学力が違いすぎて頭が追いつかない。

 ふいに、私の前にナース姿の兎、基、立体映像が現れた。身の丈以上の注射器を持ち、私の腕に向かって針を刺す。映像だから痛くないだろうと高をくくっていたが、痛かった。止血まで立体映像がして、もう、訳が解らない。


「<調査終了>」

 少年の言葉に反応して、無数のモニターが姿を消す。少年が私とシメロンを見て、微笑んだ。

「おめでとう」

 何が? 首を傾げて、次の言葉を待つ。

「君達が兄弟である確率は、九八%だ」

 残りの二%は何ですか?


「だから言っただろう」

 シメロンが私に近づき、肩を抱き寄せた。やめろ、しなだれかかるな。重い。抗議の眼を向けるも、どこ吹く風。柳に風か、己は。

「さてルキア。問題も解決したし、こいつらと別れをすませておけよ。これからは兄妹旅だからな。余計な未練は残すべきじゃない」

「妹離れをしたらどうだ、お兄さん」

「おいおい、お兄さんって呼ぶなよ気持ち悪い」

「妹離れの出来ない人に、気持ち悪いって言われたくないよね」

「君も言うな」

 オルフェとロイドが、シメロンに喰ってかかっている。

 うわ、怖い。この場所がとてつもなく怖い。龍と虎、もしくはハブとマングースみたいなモノが背後に見える。シメロンが肩から手を離したのをこれ幸いに、そそくさとその場から離れた。くわばら、くわばら。


 レーヴェの傍に逃げ込めば、レーヴェとラルフレアは何とも言えない顔で少年を見ていた。何? 実はその少年には秘密があるの?

 少年は二人の視線に気づいているだろうに、知らぬ振りをしてゆっくりと歩き出した。少年が歩くたびに、照明がついていく。これ、どう言う原理何だろう。ゲームはゲームだからで説明されるけど。誰か教えて。

 ぴたり、と少年の足が止まった。演技がかった動作で両腕を伸ばし、上を仰ぐ。つられて見上げたけど、暗くてよく見えなかった。


「ようこそ」

 少年はまた、その言葉を口にした。

「歓迎しよう。――ワシが、機械王だ」


 場が明るくなった途端、眼の前に巨大な・・・・・・・・・水槽? 何だろうこれ。SFとかでよくある奴だけど、何だろう。正式名称、何だろう。本当、何これ。

 ま、まぁともかく。その中に眠るように眼を閉じたセピア色の髪をした老人がいる。

 龍皇がいた時代より生きる、偉大なる機械王――ゲーラス・ケール。

 人造人間となった彼は、何故だか冷凍睡眠(コールドスリープ)に入った。理由は知らないが、老化を防ぐとか記憶を保つためとか、色々言われている。

 いやいや、それよりもだ。

 今、少年は自分が機械王って言った? 言ったよね? 確認するようにレーヴェとラルフレアを見れば、二人して顔面蒼白だった。何故?


「ワシは本体の眼であり、耳である意識体の一つ。数ある複製人間(オートマタ)の一人」

 何故、ギリシャ神話ではなくなかった。何で、自動人形の名前なのさ。そこはクローンだろう? 色々と、ツッコみたい。

 いや、ここは静かに話を聞こう。

「王の一部であり、王自身である」

 足音がして、周囲を見渡せば老若男女が取り囲むように立っていた。全員、ゲーラスと同じ髪と瞳をしている所をみると、複製人間なのだろう。しかし・・・怖い。無言で現れないで欲しい。表情を一切変えない所も怖い。

「だがワシの本体は今、深い眠りについている。故に、ワシらが語ろう」

 ・・・少年の見た眼で、威厳のある声と雰囲気を放たないで欲しい。とてつもない違和感だ。


「そして初めまして、姫の血を引く者よ」

「!?」

 少年の言葉に、オルフェ達が顔色を変えた。

「さっきので知ったか」

「確信を得たのはな。だが、君達からはどことなく姫と龍皇の面影を見た。故に、声をかけたのだ」

「なら、俺達だけを呼べばよかっただろう。こいつらに、不要な情報を与えたくなかったんだが?」

 シメロンがオルフェ達を見やり、興味を失ったのかすぐに逸らした。私はオルフェ達を見ることが出来ず、顔を俯かせる。

 知られたくなかったことを、他人の口から告げられてしまった。どう言う反応をするか、怖い。もう、敵前逃亡したいくらいだ。

「王族ならば知らねばならない。関わりが深いのならば、知っているべきだ。そう、ワシは判断した」

 アーシェがこの場にいないのが、せめてもの救いかな? いや、どうせこの後、皆に知られるなら救いでもないか。

 そして嫌われたら、傍を離れよう。そう言う約束をオルフェと交したし、嫌われたら問題はないよね。シメロンと一緒に、悪夢(オッセッスィオーネ)から逃げる日々になるけど、それしかない。別に、シメロンと一緒が嫌な訳じゃなくて。ああもう、考えがまとまらない。


「ルキアが関係するなら、俺は知りたい」

「ここで拒絶の一言を告げたらルキア、眼の前からいなくなりそうだよね」

「王族は関係なく、一個人として知りたい」

「国が関わっているなら、私は聞きたくな・・・すいませんごめんなさいもうしわけありません。聞きたいです。物凄く聞きたいです!!」


 ・・・おかげで思考が霧散した。

 何この人達。姫の末裔って聞いて、もっと別の感情を表すとかないの? いつも通り過ぎて、逆にこっちが肩透かしを食らった。それとも私が気にしすぎなのかな? いやいや、でも、姫の末裔だよ? 悪夢の一人、女王の血族だよ?


「しかし龍皇。生涯独身と聞いていたが、ヤることはヤったんだな」

「龍皇は姫と一緒に封印の楔になるほど、姫のことを愛してたんだね」

「重くて迷惑な愛だな。死んでも一緒って」

 皆、好き勝手言っているね。

 私はもう、一人で怖がって怯えていた自分が馬鹿馬鹿しくて仕方ないよ。

「龍皇と姫は、互いに一目惚れじゃったからのぉ・・・。くっつけるまでがはた面倒じゃった」

 おい、機械王。何、普通に会話に混じっているのさ。

 脱力しかしないよ。


「あの、えっと、よ、要件を手早く」

 よく言った、ラルフレア。君の株は五ミリ程上がったよ。

「そうだな、早くしてくれ。俺達()は急いでいるんだ」

 俺達()の部分を妙に強調するな、シメロン。オルフェ達が睨んでいるよ。あ、おい。さり気なく腰を抱き寄せるな。頭に顎を置くな。腰を撫でるな!! 恋人にしろ!!!

 兄妹のスキンシップにしても、過剰すぎるだろうがぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁっ!


「君達に話すことがある。隠匿された真実の話を」

 私達の状況を華麗に無視して、少年は昔話を語りだす。

 いや、その前に助けて。オルフェ達もそっちに耳を傾けないで、この人を何とかして。興味がそっちにあるからって、放置はないよ・・・・・・。ぐすん。

 もういいや、諦めよう。


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