表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/60

運命の日 2

戦闘描写が苦手で、更新が遅くなります。

得意になりたいです、切実に・・・。

※違和感があり、訂正しています。

 次々に起こる爆発に唖然となっていると、森がまたざわめいた。

 身構える私達の視界に、可愛い外見とは裏腹の凶悪な斧を持つ兎の魔物が現れた。テオが剣を抜き、高く跳躍してこちらに斧を振りかざす兎を斬り殺した。


「草原にいる殺し屋うさぎが何故ここにいるっ!!」

 レーヴェが叫ぶと同時に、森から殺し屋うさぎの大群が現れた。

 あまりの数の多さに、テオの腰が引けている。それはオルフェ達も同様らしく、僅かだが後退していた。

「逃げよう」

 一人、冷静さを保ったロイドが大きな声で告げた。

「この数相手じゃ、武が悪すぎる。走れ!」

 その言葉を合図に、私達は駆けだした。

 逃げた獲物(わたしたち)を追う殺し屋うさぎの足は速く、一気に距離を縮めて背後に迫ってきた。走っているため、神霊術アルカナを使うことも出来ない。あれって集中が必要だからね!! こんな全速力じゃあ、集中しようにも集中できない。

 むしろ出来る人を尊敬するよっ。

 転びそうになるアーシェの手をオルフェが掴み、引っ張るように駆ける速度を上げた。その後を、殺し屋うさぎを警戒するロイドが続くのが眼に飛び込んできた。


「っあ!」

 意識を他にそらしたせいで、私は石に躓いた。


 バランスを崩した私を見逃すはずがなく、殺し屋うさぎが体躯を小さくしたと思ったら一瞬で背後に詰め寄った。流石、序盤では一番の行動速度が速い魔物だ。思わず感心しかけるも、状況を思い出して崩した体勢を何とか戻す。

 直後、さっきまで私がいた場所に斧がめり込んでいた。

 それを見て顔から血の気が引き、背筋に冷たいモノがはしった。もう少し遅かったら、なんて考えるだけで怖い。

 私は竦みかけた身体を叱咤し、走りだした。背後で、悔しげな舌打ちが聞こえたが振り返らない。見たらきっと、トラウマになりそうだ。


「ルキアっ」

 レーヴェが私の手を掴み、テオの名を呼んだ。

「テオ、オルフェ達はどこへ行った?!」

「申し訳ありません。見失いました」

 え、何、いなくなったの? まさか・・・はぐれたとか、この状況下で冗談でしょう?!


 確かめるようにオルフェ達の姿を探すけれど、私の視界には殺し屋うさぎしか映らなくて、テオの言葉が事実だと知った。あまりのことに目眩がする。

 どうしてそうなるのさ! 叫びたい心境だが、今は逃げることが先決だ。オルフェ達もきっと無事だろう。なんせ主人公なのだから、早々に負けるはずがない。・・・ゲーム通りではない時点で、確証はないけれど。

 大丈夫だと私は信じている!

 生存フラグを祈っているから、無事にこの状況を抜け出して再会しよう!!!


 その前に、私が生きているかどうかだ。


 レーヴェに手をひかれて走っているけれど、正直言って、体力の限界です。インドア派で、あまり外出をしない人間がはしり続けられるはずがない。現実に私、もう無理。

 息も上がり、身体が悲鳴を上げている。

 倒れそうになる身体に鞭を打ち、走り続けるのもきつい。けど、ここで倒れたらレーヴェ達に迷惑をかける。いくらレーヴェ達が強いと言っても、限度がある。あの数を相手に出来るとも思えない。道連れだけは防がないと・・・。いや、本気で。

 例えここで私が死ぬことになっても、レーヴェ達だけは助けないと駄目だ。

 死亡フラグの回避は断念、かな・・・。汗だくの顔で、失笑した。


「レオンハルト様。後ろに・・・魔物の姿がありません」

 テオの言葉に、レーヴェが足を止めた。

 私は肩で息を整え、徐に背後を振り返る。確かに、殺し屋うさぎの姿がない。振り切った・・・と、考えるのは安直だ。

「不可解だな。あれ程に俺達を追っていた魔物が姿を消すなんて・・・何かあるとしか思えない」

 まったく持って、その通りだ。

 でも、死亡フラグ回避を断念する前でよかった。決断する前で、本当に助かった。生きているって素晴らしい!!

 私は空いた手で額を流れる汗を拭い、所在を確認するため周囲を見渡した。

「ここ・・・街の外れ?」

「大丈夫か、ルキア」

 呼吸の荒い私に、レーヴェが心配げに声をかけた。

 大丈夫だと頷いて、胸元をぎゅっと握りしめる。うわ・・・服が汗でぐしょぐしょだ。

 気持ち悪い。


「・・はぐれたオルフェ達が心配ですね。無事だといいのですが」

「ああ、そうだな」

 鷹揚に頷いて、レーヴェは視線を空へ向けた。

 つられて見れば、未だに黒煙が上がっており、ついでにそこかしこから悲鳴が聞こえる。爆発から逃げている声だろうか? それにしては、消火する様子が窺えない。

 それをレーヴェも感じたのか、眉をしかめてテオに言葉を告げた。

「街の様子がどうにもおかしい。確かめるぞ」

「言うと思いました」

 テオは肩を竦め、息を吐き出す。

「レオンハルト様のお好きなように。私は貴方に、どこまでもついていきますよ」


 あ、これはゲームの台詞だ。


「ルキア。すまないが、少し付き合ってくれ」

 レーヴェが私と繋いだ手を持ち上げ、真摯に告げる。

「お前のことは、俺が護るから安心しろ」

 まるで告白みたいだなー。とぼんやりとレーヴェを見て、私は頷いた。

 出来るなら、危険な場所に行きたくないと言うのが本音だが、ここに一人でいるのは何故だか新たな死亡フラグが発生しそうな気がして怖い。

 ならば、危険と解っていてもレーヴェ達と一緒に行動した方がいい。その方が生存率が上がると言う、利己的な考えから頷いたのだけれど・・・。

「そうか、ありがとう」

 言って、レーヴェは私の手をひいて駆けだした。ちょ、また走るの?!

 私のライフはもうゼロに近いんですけどー!!! 心の中で絶叫して、必死に足を動かした。ああもう、明日は絶対に筋肉痛だっ。

 ・・・こんなこと考える時点で、まだ余裕なのかもしれない。




 街の広場に行ってすぐ、私は聞きなれた罵倒を浴びせられた。


「貴様のせいで爆発が起きた。この、生きているだけで世界を不幸にする禍がっ」

「貴方のせいで私の夫が爆発で死んだわ! 禍なんて、生きているだけで罪よ!!」

「お前がこの状況を起こしたんだ。お前がその命を持って償えっ!!!」

 等など、相変わらずの謂れのない罪を着せられる。

 私の顔を見るたびに罵倒を浴びせ、暴力を振う彼らはレーヴェが傍にいることもあってか近づいてはこない。流石の彼らも、王族の眼の前で暴力を振うことはしないようだ。

 ――とは言っても、前科はあるのだけれど。


 それはともかくに、だ。


 彼らの言葉には流石に呆れしか出てこない。

 爆発が起きた時に、私はここにいなかった。それは彼らも知っているだろうし、知らなかったとしても、こうしてレーヴェと共に現れたのだ。悟ることぐらいは出来るだろう。・・・なのに、どうしてまだ私に罪を着せたがるのか。

 けれど、それはいつものことだと思いだす。

 彼らは私を見る度に、私を罰したがる。禍だから、不吉の証だからと理不尽に暴力を振う。今回もまた、私のせいにして事態を収拾させたいのだろう。


「黙れ」

 隣から、低く獣が唸るような声が聞こえて顔を上げる。

「お前達はこの事態をどうしても、ルキアのせいにしたいようだな」

 レーヴェが憤怒を瞳に宿し、冷やかな怒気が身体から発せられている。それに畏縮した街の人間が、そろって口を閉ざした。

 その様子を見とめ、レーヴェは言葉を続ける。

「ルキアがした、確固たる証拠はあるのか?」

「そ、それは・・・」

 凍りそうな程に冷たい声音で尋ねたレーヴェに、街の人間が一様に視線を彷徨わせた。

「し、しかし! こんな不可思議なこと、禍が関与しているとしか」

 おいおい、そんな不思議能力、私は持っていないよ。いくらなんでも無理がある!

「いい加減にしろ」

 見惚れるほど美しい冷笑を浮かべ、レーヴェは獅子の如く咆哮した。


「くだらないことを喚く前に、あの黒煙を何とかしろ! お前達は何もせず、この街が燃えるのをただ見ているだけか!!」


 その言葉に弾かれたように、街の人間が一斉に行動を始めた。けれどあまりに遅い消火活動に、街の建物の大半は燃え尽きて崩れている。今、出来ることと言えばこれ以上被害がでないようにすることだが・・・間に合わないだろうな。

 私は街の終わりを悟って、眼を伏せた。

 後々で、これも私のせいにされるんだろうな。理不尽すぎて頭が痛いよ。


「だ、駄目だ!」

 ふいに、子供の声が聞こえた。

「時計塔に行ったら駄目だよ、お父さん!!」

 別の子供も叫んで、時計塔に行こうとする父親の服を引っ張っていた。子供二人は必至な形相で、何度も時計塔に行くな、駄目だと喚いている。

 その様子があまりに奇妙で、彼らが何かを知っているのではないかと疑ってしまう程だ。

 レーヴェも気になったのか、子供二人に近づき声をかけた。

「お前達、何を知っている」

「!!!」

「まさかとは思うが・・・時計塔の結界石を壊した――なんてことはしていないな」

 確認に近い問いかけに、子供二人の顔色が青を通りこして紫になる。どうも、図星らしい。

 レーヴェが忌々しげに舌打ちをし、テオを振り返った。

「緊急事態だ、テオ! 消火は後にして周囲を警戒しろ!! 国を護る結界石が壊された!!!」

「! 了解しました」

 レーヴェの言葉にテオは驚愕の表情を浮かべ、けれど一瞬で消すと街の人間を一つに集め、周囲を警戒しだした。

 私は聞きなれない、結界石と言う言葉に首を傾げた。やはり、ゲームにはない単語だ。

 結界術の力が宿った石のことなのだろうか? 憶測を立てて、考える。


 レーヴェは言った。

 国を護る結界石が壊された、と。


 その結界石は時計塔に設置されており、それを子供二人が何かしらの理由で破壊した。子供の力で壊せる代物とは思えないが、その情報を破棄してさらに思考する。

 結界石は何からこの国を護っていたのだろう。そう考えて、ふと、思い当たる。

「・・・まさか、魔物が現れたのって」

 その言葉に、レーヴェは深く頷く。

「そのまさかだ。この子供が結界石を壊したことで、魔物が現れた。あそこは結界の境だったから、あれ程の魔物が襲って来たんだ」

 淡々と、自分でも状況を整理するようにレーヴェが語った。

「途中で姿を消したのは、俺達よりも簡単に狩れる存在を見つけたからだろう」

「それって」

 街外れに住む人間が、襲われたってこと? 続けようとした言葉はしかし、テオの叫びにかき消された。


「ヘルハウンドの大群です! 気をつけてください、レオンハルト様!!」


 その言葉に悲鳴が上がり、恐慌状態になった街の人間が我先へと逃げ出した。 戦う力がなく、神霊術すら満足に使えない彼らは魔物と言う、自身の命を脅かす存在なのだから、当然だろう。が、その考えは早計だ。

 そんな蟻の子を散らすように逃げれば・・・。


「ぎゃっ!」

「いやーっ」

 ・・・当然、襲われる。

 自殺行為以外の何物でもないのだが、冷静さを失った街の人間には注意するだけ無駄だろう。特に、私が何かを言っても彼らは聞き入れないのだから、警告すら無意味だ。場違いなほど私は冷静に、そして無情に周りを見ていた。

 私は時計塔周辺に残った街の人間を見渡す。

 どうやら逃げ出したのは独身で、家族と共にいない者のようだ。あ、訂正。家族がいても恐怖から逃げ出した奴がいた。即座に上がった断末魔に、家族の絶叫が響く。

 その度に身体が震え、冷静だと思ったのは錯覚だと知る。ふいに石畳を濡らす赤い水が見えて、顔を強張らせた。下げかけた視線を上げ、必死に意識からその色を消す。あの場所にはきっと、息絶えた人間が転がっているのだろう。

 容易に想像出来て、恐怖に心が萎縮する。


 獣の咆哮が轟く。


 テオは無事だろうか? 怪我は・・・していないだろうか?

レーヴェは土の神霊術でテオの防御力を上げているが、これだっていつまで持つかわからない。魔力は無限ではないのだ。この数じゃあ・・・限界も近いだろう。  レーヴェ自身、この場を離れて魔物を倒したいのだろうけれど、何が起こるか解らない現状、動くに動けないのだろう。

 焦りの色が、レーヴェの顔に浮かんでいる。

 

「ひぃぃぃっ!!!!」

 横から年老いた老婆の声が聞こえて、慌てて視線を向ければヘルハウンドの姿が視認出来た。テオがいる方角とは異なる場所から現れたそれは一体ではなく、二体、三体・・・五体まで確認できた。

 レーヴェが私から手を放し、前に出ると両手を突き出して雷の神霊術を唱える。

「轟け、雷鳴」

 ヘルハウンドの頭上から雷が落ち、体躯を雷が縛り付ける。拘束に特化した神霊術だが、果たしていつまで持つか・・・。

「ままー!!!!」

 危惧した通り、更に別の方向からヘルハウンドが現れて、妙齢の女性が襲われた。女性の子供が必死に叫ぶも、返答はない。近づこうとする子供を、近くにいた老人が抱きしめて遠ざける。

 

 ぐったりと項垂れた女性の身体が、二つに裂けた。

 子供だけではなく、近くにいた街の人間も恐怖に叫んだ。レーヴェが悔しげに顔をしかめ、そのヘルハウンドに火の神霊術を放つ。

 けれどそれは無意味だった。

 一体殺しても、また別のヘルハウンドが現れる。そのヘルハウンドは近くにいた老婆の頭を掴み、力任せに地面に叩き落とす。


 ・・・血肉が飛んだ。


 いくらレーヴェが神霊術を使い、ヘルハウンドを消滅させても際限がない。次から次へと現れる魔物に、街の人間は絶望して逃げ出した。

 けど、逃げる場所も当然ながらなくて・・・ヘルハウンドに襲われて命を散らす。


 子供の泣き声が――消える。


 女性の子を呼ぶ声が――消える。


 男性の妻を逃がす声が――消える。


 老人の懇願の声が――消える。


 老婆の嘆きの声が――消える。


 レーヴェの・・・苦悶の叫びが聞こえた。


「あ・・・ああああああああぁぁぁぁあああぁああああぁあぁあああああぁぁあああっ!!」

 私は堪らず、頭を抱えた。


 死ぬのは怖い。

 けれど同じくらい、眼の前で誰かが死ぬのが怖い。

 失うのが怖い。

 亡くすのが怖い。

 

 怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!


 ぐるぐると胸中に渦巻き、頭の中が恐怖で染まる。


 死にたくない!

 生きたいと渇望する声が、悲鳴をあげる。


 失いたくない!

 亡くしたくないと泣く声が、心を締め付ける。


「っ危ない!!」

 少年の声が聞こえて、反射的に声がした方へ顔を抜けた。

 レーヴェに、三体のヘルハウンドが近づくのが見えた。けれどレーヴェは別のヘルハウンドを相手にしており、それに気づくことがない。ヘルハウンドが合わせたように、屈強な腕を振りかざす。

 そこで漸く、レーヴェが迫ったヘルハウンドに気づくも時すでに遅し。

 振りかざした腕は、レーヴェに迫っていた。


 その様子が、スローモーションのようにゆっくりと見える。


 ・・・嫌だ。


 レーヴェを・・・失いたくない。


 もう・・・死なせたくないっ!!


 誰も、死なせない!!


「かごめぇー!!!!」

 ありったけの声を上げ、私は結界術を発動させた。


展開は考えているのですが、はたしてちゃんと書けるのか。それだけが悩みです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ