私のもの
掲載日:2026/09/19
壊したいものを探していた間に
苛立ちと焦りはすっかり終わって
泣いている君が私を抱いていた
次はどんな優しい言葉を掛けてもらえるのだろうと
卑怯にも君からの言葉をずっと待ち続けた
それから
正しい人間の象徴であるかのように君は
私に温もりが宿った毛布を肩にかけて
無事でよかった、と手を握ってくれる
こんなにも美しい信じ方ができるのはきっと
この世界で君が唯一だ
ありがとうの宛て名を唇を噛んで止め
その代わりに君の頬にキスをする
ちょっとびっくりしたような恥ずかしがっているような君の顔を見ると
私はますます君に本当の名前を教えたくない
自分が誰か変わらずに
私という存在だけに寄り添ってくれる今の君を
失うような気がして怖い
羽ばたいてしまうかもしれないその無垢な翼を
できる限り私の胸に閉じ込めておきたい
私に拾われたこと自体が運のないことだと思って、と
声には出さず
君の可愛い顔を見つめ続け洗脳しておく




