Portrait14:ことりの麗しく輝ける愛の日々
1話まるまる使って雄瑠へのあふれる思いを詰め込んだ、『ことりワールド』全開のエピソード。ことりの魅力を感じてくださいね♡
1.麗しきラノベ作家としての日々
「うそ! わたくしの作品が優秀賞!?」
わたくしは岩城ことり。当時高校3年生のわたくしは、いつも作品を投稿しているサイトにログインした瞬間わが目を疑い、パソコン画面を二度見・三度見した後、そう叫んでいました。
投稿当初からわたくしは『原稿書く』をもじった『源高閣』をペンネームにしていました。もっと可愛らしい名前にすればよかったのかもしれませんが、有名になるつもりもなかったので、男性みたいなペンネームで押し通していました。
ちなみに、わたくしが小説をWEBに投稿し始めたのは中学2年生の頃で、好きなジャンルはファンタジーです。書き始めて数年は、なかなか読者を獲得できませんでした。
それでも、『小説を書くこと』そのものに意義を見出していましたので、読者数が日に一桁・二桁程度でもあまり気にはいたしませんでした。
その頃の私は、リアルでの人間関係に恐怖や幻滅を感じており、他人の思惑といったものを気にして、すぐに相手の言葉の裏を考えてしまうような少女でした。一種の人間不信に陥っていたのかもしれません。
わたくしの父は、いくつもの会社を経営するやり手の企業家で、母は研究に没頭する科学者だったため、幼い時から両親とゆっくり話をする時間というものはあまりございませんでした。家族三人で出かけたことなど、片手で数えるほどしかありません。
わたくしは広い屋敷で、執事とメイドたちに囲まれ、物質的には何不自由ない生活を送りました。そのことは、お父様やお母様のおかげだと今も感謝しています。
けれど、学校に行きだしてから、わたくしは自分の生活がいわゆる一般的なものではないと悟りました。授業参観や運動会など、普通は父母が出席する行事でも、わたくしの場合は執事長か使用人チーフが出席するのです。
もちろん家に帰ってから、執事長や使用人チーフは私のことをほめてくれるのですが、その頃からわたくしの胸の奥に、言いようのない寂しさが広がるのを感じていました。
わたくしは、家でも学校でも独りぼっちでした。友達と呼べる存在はなく、わたくしに近寄って来るのは、お父様やお母様と知り合いになりたい、あるいは何らかの便宜を図ってほしい大人たちや、わたくしのお金目当てのクラスメイトたちくらいでした。
(他人がわたくしをちやほやするのは、何か下心があるからに決まっています。わたくしは『岩城家の一人娘』であって、誰もわたくしを『岩城ことり』という人間として見てくれる人はいません)
中学校に上がる時分には、わたくしの中にはそんな思いが確固たるものになっていました。だからこそ、わたくし自身が生きている証しとするために、空想の世界を文字にする活動を始めたのかもしれません。
そしてわたくしが高校3年生の時、ちょっと息抜きのつもりで書いた異世界コメディの『転生しまくってハーレム人生を目指す件』が投稿サイト主催のコンクールで優秀賞を受賞したのでした。
作品の書籍化に当たって、わたくしにはO島さんという女性が担当に付いてくれました。
ただ、発売の時期は当時わたくしが受験を控えていたことと、『転生……ハーレム』に1章を追加する必要があったことで、受験が終わった後にしていただきました。こうしてわたくしは大学1年生にして『顔出しNG』のラノベ作家としても活動することになったのです。
正直な話、わたくしの処女作はあまり売れませんでした。手に取っていただいた方からは絶大なご支持をいただけたのですが、手に取るまでのハードルが高いようでした。
『大丈夫です、源高閣先生。先生の作品は発想、世界観、ストーリー構成や文体、テンポとどれを取ってもとても優れていますから、きっと広く受け入れられる日が来ます!』
担当のO島さんはそう言って励ましてくれるのですが、アマチュアで投稿していた時代とは違い、プロとして活動しているのです。やはり数字が大切です。わたくしはどうして自分の小説が手に取っていただけないのかを考え続けました。
そして、大学2年生になったばかりの頃、わたくしは本屋である作品集を見つけて、衝撃を受けました。
(この先生だ! この先生に挿絵を描いてもらいたい)
……一目ぼれでした。そして、この先生に書いてもらえれば、わたくしのキャラクターはもっと生き生きとしたイメージを持つはずだという確信すら覚えていました。
その絵師さんの名は『KANNU』。色彩を抑えた緻密なタッチで風景や人物を切り取る画風と、派手な色彩をまとった生き生きとした世界観で、可愛らしさにあふれた画風を描き分ける、とても素敵な先生でした。
わたくしはその画集の出版社を確認します。あまり関係のない出版社だったらどうしよう……そう危惧していましたが、幸いなことにその画集は『11次元』社が出版したものでした。
次の日、わたくしは第3作の出版に当たり、O島さんに思い切って相談してみました。
「どうしても、挿絵をKANNU先生にお願いしたいんです。O島さん、何とかなりませんか?」
わたくしが真剣な顔でそう切り出すと、O島さんは案外あっさりと、
「そうですね。KANNU先生なら、源先生の独特な作風に合ったキャラを書いてくださるかもしれませんね。ただ、今年コンクールで銀賞を取られたので、忙しくなっていらっしゃるかもしれませんが……」
そううなずくと、自分のパソコンでKANNU先生の予定を確認すると、
「あ、ラッキーですね源先生。KANNU先生の予定、それほど詰まっていませんよ。
これなら、頼めば何とかしてくださると思いますよ」
そう言いながらスマホを取り出し、KANNU先生に連絡を取ってくれました。
私はKANNU先生が銀賞を取ったという話を聞き、それも当然と思う反面、どうか仕事で忙殺されていませんようにと都合のいいことを考えていました。
「あ、KANNU先生ですか? O島です。急な話ですがラノベの挿絵をお願いしたいなと思って。
……ええ、銀賞を取って『11次元』以外のお仕事も増えているでしょうが、ぜひともお願いしたい先生の作品なんですよ。
……はい、源高閣先生です。あ、ご存じなんですか? それは良かった。
お願いしたいのは『ミラクル魔利衣の冒険奇譚』って作品でして、良ければ明日にでも作品の説明をしたいんですが、お時間いいですよね!?
……わぁ、やったぁ! 絶対KANNU先生も気に入るですし、いい作品になりますよ。じゃ、明日14時に弊社においでください。待ってまーす♡」
O島さんはご機嫌でスマホを切ると、
「KANNU先生、源先生の作品を読んでいらっしゃるみたいですよ。よかったですね?
で、KANNU先生に会ってみますか?」
そう言ってくる。
実際わたくしは、自分がほれ込んだKANNU先生が自分の大して売れもしなかった作品の読者だと知って、とても光栄に思ったし、素直にうれしかったです。
でも、わたくしは『顔出しNG』で活動しています。いかに作品を読んでくださっているとはいえ、面識のない男性と会うのは、やはり恐怖が先に立ちました。
「……お会いしたのはやまやまですが、やっぱりちょっと怖いです」
わたくしがそう答えると、O島さんはちょっと残念そうに、
「仕方ありませんね。KANNU先生には私から説明しておきます。源先生が『顔出しNG』であることも含めてね。
でももったいないなぁ、KANNU先生って結構男前の大学生なんですよ?
あ、そう言えば源先生はK大でしたね? KANNU先生もそうなんですよ。ひょっとしたら大学で会われたことがあるかもしれませんよ?」
そう言う。KANNU先生が自分と同じ大学に通っているとは知らなかったわたくしは、それまで以上に先生に興味がわきました。
わたくしの顔を見て、O島さんはにこりと笑い、
「KANNU先生は、甘羽雄瑠ってお名前です。2年生ですから源先生と同じ学年ですね」
彼の本名をO島さんが教えてくれたことが、わたくしが雄瑠さんを意識し始める発端となったのです。
KANNU先生の挿絵のおかげで、『ミラクル魔利衣の冒険奇譚』はそれまでの2作の販売部数を足したものの五十数倍という、驚くべきヒットとなりました。
おかげで、わたくしも一躍有名になり、多くのファンを獲得することができました。KANNU先生という理解者を得たわたくしの作品は次から次へとヒットし、今では『11次元』社の秘蔵っ子と言われるまでになりました。
けれど、わたくしはまだKANNU先生との面識はございませんでした。一度直接お会いしてお礼を申し上げたいとは思っていましたが、どうしても『男性と会う』という点がわたくしの勇気を挫くのです。
「……あのぅ、わたくしはKANNU先生から非常識だと思われていないでしょうか?」
ある日、わたくしはいつも胸につかえていた心配をO島さんにぶつけてみました。小説家に小説家なりの矜持があるように、絵師さんには絵師さんなりの誇りがあるはずです。
同じ作品に関わり、これだけヒットを飛ばしているにもかかわらず、挨拶もなければお礼の言葉もないわたくしが、KANNU先生にどう思われているのか……日頃から心苦しく思っていたわたくしは、本当にそのことが頭を離れず、夜しか眠れませんでした。
しかし、O島さんはクスっと笑うと、思いがけないことを言いました。
「え? ぜんぜんそんなことないですよ? だってKANNU先生も『顔出しNG』で活動されていますから。むしろ作品レクチャーの資料は、毎回よくできているから助かるっておっしゃってましたよ」
それを聞いた時、わたくしはホッとすると同時に、とてもKANNU先生に会ってみたくなりました。わたくしの都合をちゃんと理解し、わたくしの努力も尊重してくださる姿勢を感じて、
(男性にも、KANNU先生みたいな方がいらっしゃるのね。先生なら、信じてみてもいいかもしれません)
男性不信になってから初めて、そう思えたのでした。
そんな時です、高校になってから初めてできた友人、中ノ森春香さんから『合コン』なるものに誘われたのは。
「ねえ、ことり。今度の金曜日ヒマ?」
わたくしはいつも、昼食は文系キャンパスの学食で摂ります。
理系キャンパスの学食にも美味しいものはあるのですが、男子学生が多い理系ではがっつりしたメニューが多いし、食事していても誰かしらわたくしに話しかけてくるので、おちおちご飯を頂く時間がないという事情があります。
その点文系キャンパスでは、こうやって春香さんと食事を摂れば、男子学生は気軽に声をかけてくることも少なく、かけて来たとしても春香さんが追い払ってくれるので安心できます。
「暇ですが。何か用事でもございますか?」
「いやぁ、実は光弘から合コンしないかって誘われてさぁ? モブ枝とモブ佳は誘ったんだけど、あっちは4人なんだって。だからあと一人必要なんだよね。
もしよかったらだけど、ことりも参加しない? 黙って座っているだけでいいからさ」
なんと合コンへのお誘いでした! わたくしだってもう21歳の健康的な女性、はっきり申し上げて『恋愛』というものに興味はございます。でなければラブコメなんてジャンルの作品は書けませんし。
ただ、わたくしは今までの経験から、男性というものが少々苦手ですし、何よりも……
「……春香さん、わたくしがアルコールにとても弱いこと、ご存じですよね?」
「あ、うん。やっぱダメかなぁ?」
わたくしの問いに、春香さんは残念そうな顔をします。わたくしはちょっと心が痛みました。
でも、やはりわたくしは、一度消毒用アルコールで酔っ払って周りに非常な迷惑をかけてしまったあの『黒歴史』を忘れられません。
(そうです、もう二度と、見も知らぬ方にダル絡みして、泣き叫んで、手当たり次第に物を投げるなんて醜態を晒していいものじゃありません。あの時はメイド長の愛実にひどく迷惑をかけましたし、その妹さんにまで迷惑をかけるなんてこと……)
そう考えてやっぱり断ろうと思った時でした、春香さんが運命的な一言を放ったのは。
「残念だなぁ、何でも光弘の親友で、甘羽雄瑠って人も来るらしいんだけど」
「えっ?」
(あまは、たける?……甘羽雄瑠……KANNU先生が!?)
そう思い至った時、わたくしは無意識に答えていました。
「行きます、参加します! 誘っていただいてありがとうございます、春香さん!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
2.嬉しきは雄瑠さまとの出会いかな
「あのぅ、春香さん。わたくし、変じゃないでしょうか?」
待ちに待った金曜日、わたくしは朝からちょっとテンションが高めでした。
だって、憧れのKANNU先生、甘羽雄瑠さんに会えるんですもの、これでテンションがぶち上らない方がおかしくありません!?
ちなみにその日のわたくしは、白い襟が付いた薄い水色のワンピースに薄桃色のカーディガン、白のストッキングに黒いエナメル靴という、『清楚』を意識したスタイルでした。
もちろん、勝負下着です。わたくしは甘羽さんがわたくし好みの男性なら、ぜひともお持ち帰りしていただこう、何ならわたくしがお持ち帰りしよう……と秘かに決心していたのでした。このことは、愛実メイド長には事前に話して準備させておきました。
わたくしの様子を見て、春香さんはちょっと引き気味に、
「え!? う、ううん。似合ってるよ。なんかいつもに増して3割増しくらいで可愛らしいけど……どうしたの? ことりって合コンなんかにはぜんぜん興味ないって思っていたんだけど。男性が苦手だって言ってたし……」
そう言ってきます。わたくしはそれを聞いて、思わず答えてしまっていました。
「だって、甘羽さんが来るんでしょう? わたくし、以前からお名前は聞いていたんですが、会うのは初めてで楽しみなんです」
それを聞いた春香さんの、にちゃあっとした笑顔、忘れられません。
「ほうほう、つまりことりは甘羽って人に興味があると? でも何で名前知っているの?
光弘の話では、甘羽さんってそんなに目立つタイプじゃなさそうだけど」
いけませんいけません。O島さんの話では雄瑠さんも『顔出しNG』、つまりはイラストレーターとしての顔を秘密にしていらっしゃるとのことでした。だったら、わたくしが彼の秘密を暴くようなことをしてはいけませんね。
「そ、それはその……そうです、『甘羽』って苗字を聞いて、珍しいなぁって興味がわいていてですね?」
わたくしの取ってつけたような理由を聞いても、春香さんはニヤニヤ笑いを消しません。いえ、ますます笑いを大きくして、意味深に言います。
「ふぅ~ん( ´―`)......ま、そういうことにしておくね?」
「え!? 何ですかその生暖かい目は!? ほ、本当にそう言うのじゃありませんから!」
「分かった分かった。じゃ、一緒に行こう。酔い止めの薬は飲んどいてね? 憧れの甘羽さんの前で酔っ払った姿を見せたくはないでしょう?」
そう言われて、わたくしは春香さんに引っ張られるように、その日の戦場、『西洋鍋』という居酒屋に向かったのでした。
居酒屋まで来ると、すでにお酒の匂いが漂っています。わたくしは非常にアルコールに敏感でかつ弱いので、それだけで頭がくらくらして、気分が悪くなってきました。
「うわ、岩城さんじゃん。春香、あたし岩城さんが参加するなんて聞いてないんだけど?」
「岩城さんが参加したら、男の興味はぜーんぶそっちに行っちゃうじゃん。何考えてんのさ春香?」
先に来ていたモブ枝さんとモブ佳さんが、何か春香さんに文句を言っていますが、春香さんはにまあっと笑い、
「ことり、もう少し酔い止めを追加した方がいいかもね? ちょっと待ってて」
わたくしにそう言うと、モブ枝さんとモブ佳さんに何やら耳打ちします。
するとモブ枝さんとモブ佳さんは、急に機嫌を直し、
「あー、そういうこと? それならあたしたちは気にせず男を引っ掛けるね?」
「岩城さん、頑張ってね」
そう言って、わたくしたちと一緒に居酒屋へ入りました。
席にはいかにもモブ顔の男子が2人、もう座っていましたが、モブ枝さんとモブ佳さんはその前に着席して、
「こんにちは~、あたしモブ枝って言うの。今日はよろ~!」
「わたしはモブ佳だよぉ~♪ よろしくねぇ~」
と、すっかり『合コンモード』になっていました。
「あ、こんにちは。えーと、そっちの彼女さんは?」
モブ男子が聞いて来るのを、春香さんはニコニコして、
「あっ、ごめぇん♪ この子さぁ、こんな場所初めてで、ちょっと緊張して具合が良くないみたいなんだ。今、薬飲ませたから、回復するまでちょっと待ってもらえる?」
そう言って、わたくしへのアプローチをシャットアウトします。この時は心底ありがたいと思いました。
常盤さんと雄瑠さんは来ていませんが、やがて時間が来たので合コンが始まりました。
(あぁ、少し楽になって来ましたが、やっぱりお酒の匂いがキツイですね。甘羽さん、わたくしを早くここから連れ出してくださらないかしら……)
合コンが始まってからも、わたくしは春香さんに支えられて、そんなことばかり思っていました。
その時、
「あっ、光弘~! こっちこっち!」
春香さんがそう言います。わたくしはその声を聞いて顔を上げ、近付いて来る男性二人を見ました。
前を歩いて来るのは、常盤光弘さんで、春香さんの想い人です。さすがに常盤財閥の御曹司らしく、すっきりした顔立ちに明るい性格がにじみ出ています。
彼とは、春香さんに紹介されて何度か会ったことはありますし、向こうも岩城家の一人娘であるわたくしを知っていたようでした。
「げっ、春香。それにことりも一緒に? なんで?」
なぜか常盤さんはそう言います。はて、この合コンは春香さんと常盤さんがセッティングしたはずなのに、なぜそんなリアクションをするのかと不思議に思いましたが、常盤さんはこの合コンの女性側幹事が春香さんであることを知らなかった態で、つまりは半分騙した形で雄瑠さんを誘ったから、と聞いて納得しました。
……と、それはどうでもいいのです! わたくしの視線は、常盤さんの後ろからついて来る男性、甘羽雄瑠さんに釘付けになっていました。
雄瑠さんは、年不相応に白いものが混じった癖のある髪、面長できりっとした顔立ち、優しそうな光をたたえて輝く藍色の瞳、つやのある形のいいくちびる……お顔はわたくしの小説に出てくる主人公みたいで、好みドストライクでした!
しかも、ギンガムチェックのポロシャツ、ストーンウォッシュのジーンズを無造作に、しかし清潔感たっぷりに着こなしていて、スタイルもいいんです! これで『彼女なし歴=年齢』なんて絶対うそでしょ!?
(あぁ、さすがはKANNU先生♡ さりげなくオサレですわ♡)
一目ぼれでした。運命でした。わたくしはこの方に会うために生まれて来て、ラノベ作家になったのだと、彼を見た瞬間に確信したのです。
常盤さんと雄瑠さんは、わたくしたちの前に座りました。わたくしの目の前には、憧れだったKANNU先生、つい今しがたわたくしの運命の相手に確定した甘羽雄瑠さんが座っています。わたくしは恥ずかしさのあまり、彼の顔をまともに見ることができません。
すると春香さんが気を利かせてくれます。
「ねーねー、光弘。そっちの彼、紹介して?」
すると常盤さんは甘羽さんを見て肩をすくめ、
「ああ、こいつはボクの親友でね? 同じK大の総合福祉学部に通っているんだ」
「甘羽雄瑠です。よろしく」
そう答えます。ああ、お声まで素晴らすぅいい♡ 高くもなく、低くもなく、ふくよかな温かさを感じる……そう、春の風のようなお声です。あぁ、録音してAMSRでずぅーっと聞いていたい気がします。
「なんだ、それじゃ同じ大学じゃん。あたしは法学部3年生の中ノ森春香だよ。で、こっちが……」
はっ、いけません。自己紹介くらいは自分でしないと。私は慌てて顔を上げ、甘羽さんを見て、
「い、岩城ことり、工学部3年生です。よろしくお願いいたします」
そう言ってぺこりと頭を下げました。
「あ、こちらこそよろしく」
甘羽さんが言うと、春香さんが早速わたくしのひじを突いて聞いてきます。
「どしたんどしたん? ことりが自分から男の子に話しかけるなんて初めてじゃない?
そんなに雄瑠くんが気に入ったの?」
今です、今、甘羽さんに思いを伝えねば! わたくしはそう思い、勇気を振り絞って口にしました。
「はい、わたくしの理想にどストライクですっ!」
……言ってしまって、甘羽さんが若干引いているように見え、後悔しました。あぁ、わたくしはどれだけ舞い上がっちゃってるんだろう。
仮にも初対面の相手に、告白まがいのセリフを吐くなんて。甘羽さんからすれば、きっと『何かの罰ゲームでは?』と勘繰りたくなったでしょう。
わたくしはそう思い、『失敗しちゃった(´;ω;`)』と泣きたくなりました。
しかし、愛の女神さまは私に味方してくださいました。わたくしが固まってしまった時、常盤さんが春香さんに聞いていたのです。
「でも春香、ことりちゃんも連れて来て大丈夫だったのか? 彼女、ものっそアルコールに弱いし、酔ったら恐ろしいことになるじゃないか」
「え、お酒飲めないの?」
それを聞いて、甘羽さんはびっくりしたようにわたくしを見ます。
彼はビールをわたくしのコップに注ごうとしていましたが、今の話を聞いて手を止めてくれたのです。
(……無理強いしないなんて、KANNU先生ったら紳士ですのね)
そう感じたわたくしは、ニコニコしながら『黒歴史』を正直に打ち明けました。でも、甘羽さんはそれを聞いてもわたくしに対する態度を変えません。むしろ、『信じられない』といった表情でわたくしを見ていました。
少し話ができたところで、春香さんが私に聞きます。
「ことりちゃんはいい子だけど、お酒がねぇ。ことり、今大丈夫?」
そう聞かれると、薬の効き目が切れたのか、ちょっと頭が痛くなってきました。
「……ちょっと、ビールの匂いで酔っぱらいそうです。うぷっ」
そんなわたくしを見て、常盤さんがナイスアシストしてくれます。
「あ~、こりゃちょっと危ないなぁ。雄瑠、悪いけどことりちゃんを連れだして、外の空気を吸わせてやってくれないか? できれば送って行ってくれればさらに安心するが」
「分かった。ことりさん、歩ける?」
……きゃあっ! 雄瑠さんが心配してくださるなんて嬉しい!
「はい。なんとか」
わたくしはそう答え、雄瑠さんと二人きりになるチャンスをものにしたのです。
……それからの1時間は、わたくしにとって至福の時間でした。
雄瑠さんは、『猫男爵』という雰囲気のいい画廊喫茶に連れて行ってくださいました。そこで、見知らぬ女性(この方は、後で知ったのですがゲーム会社の担当さんでした)が雄瑠さんに『KANNU先生』と呼びかけるのを聞いて、
(やはり、甘羽さんがKANNU先生だった)
という確証を得ました。ただ、なぜか雄瑠さんは頑なにそれを認めようとはしませんでしたけれど……。
(……ひょっとしたら、わたくしがラノベ作家の源高閣であることをご存じないのでは?
O島さんから聞いてはいらっしゃらないのかもしれませんね)
わたくしはそう思って、『転生しまくってハーレム人生を目指す件』や、『ミラクル魔利衣の冒険奇譚』など、わたくしの著作について話を振りましたが、やはり目の前にいるわたくしがその著者だとは思ってもいないようでした。
(わたくしが源高閣だと名乗ってもいいのですが、何だか気恥ずかしいですね。仕方ありません、今日のところはご一緒にお食事ができましたし、お持ち帰りは期待しないことにいたしましょう)
雄瑠さんがわたくしのことを源高閣だと認識していらっしゃれば、お礼かたがたお持ち帰りをお願いしようと思っていたのですが、そうでないのであればわたくしのお願いは雄瑠さんを混乱させるだけになりますし、下手をすればわたくしに対して『チョロい女』という間違った認識を抱かせることにもなりかねません。
ですから、わたくしはまたの機会に賭けることにしたのです。
(……お友達になっておきましょう。連絡先を交換してもらえさえすれば、後は押して押して押し倒すだけです)
わたくしがそんな思いを秘めて、雄瑠さんに連絡先の交換を申し出ますと、雄瑠さんは快く応じてくださいました。よかった、脈はありそうです。
こうしてお食事会も終わり、わたくしは満足して店を出ました。そしてそこで、さらにわたくしにチャンスが訪れたのです。
「あ、お兄ちゃん。ごめん待った~? お迎えありがとう~」
そう言いながら、一人の女の子が駆けて来て、わたくしと雄瑠さんを見た瞬間、その目からハイライトが消えました。
「……お兄ちゃん、その女、誰?」
お兄ちゃん?……とすると、この黒髪セミロングの女の子は、雄瑠さんの妹さん?
わたくしはそう思い、彼女をぶしつけにならない程度に観察いたしました。なぜか『おどろ線』を背負って、雄瑠さんに静かな怒りを湛えた顔で聞いています。
(きっと、お兄ちゃん子ですのね。雄瑠さんって優しそうですもの、甘えん坊の妹さんですのね)
わたくしはその女の子がとっても可愛らしく思えました。
ですから、しどろもどろになった雄瑠さんに代わって、わたくしが笑顔で彼女に挨拶をすることにしたんです。
「あ、初めまして。わたくしは岩城ことりと申しまして、お兄さまとお付き合いをさせていただくことになりました~。
甘羽さん、可愛い妹さんですねぇ~。お義姉さんって呼んでもらってもいいですので、これからよろしくお願いいたします♡」
「えっ?Σ( ̄□ ̄|||)」←柚乃さん
「うぇっ!? \(^o^)/」←雄瑠さん
「? にこにこ(*^-^*)」←わたくし
何とも微妙な静寂が訪れた時、愛実が迎えにやって来ました。
「お嬢様、お迎えに上がりました。ご指定のお店にいらっしゃらなかったので、頭の軽そうな殿方にお聞きしたところ、お嬢様は気に入った殿方が出来たということで合コンを抜け出してデートされていたということ。
それならそうとご一報いただければ、私どももこんなに心配はしなかったですのに……」
「ごめんなさいメイド長。甘羽さんとのおしゃべりが楽しすぎて、ついうっかりしちゃったの。今後は気を付けますね?」
わたくしが謝ると、愛実は雄瑠さんの観察を終え、
「……以後気を付けていただければ、それでいいのです。殿方も、無難なお方を選ばれたようですので。君、甘羽さんって言ったかしらね?」
「ええ、甘羽雄瑠と申します」
「そう、甘羽さん、これからもお嬢様をよろしくお願いいたしますよ?」
一方的にそう言って、わたくしに乗車を促しました。
「ではお嬢様、御乗車ください」
帰り道、愛実は安心したようにわたくしに言います。
「お嬢様、甘羽様をご同行させないのですね? 安心しました。ご帯同される場合やお嬢様が甘羽様のご自宅にお泊りになられる場合、奥様にどう説明したものやらと思案しておりましたので」
「そうしたかったのですが、わたくしが源高閣だとお気づきになりませんでしたので。
秘密を打ち明けても良かったのですが、混乱に付け込んでお持ち帰りしていただいても、雄瑠さんにわたくしという人間について誤解を与えそうだなと思いましたから、次の機会を待ちます」
わたくしがそう答えると、愛実はうなずいて、
「さすがはお嬢様です。では、私が甘羽様についていろいろとお調べいたしましょう」
そう約束してくれました。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
3.忌々し彼女もわたくしの恋敵
「お話は何でしょうか、お母様?」
わたくしが雄瑠さんと初デートを楽しんだ次の日の午後、わたくしは母、岩城小鳩から呼び出されていました。
「ことり、昨日は男性と二人きりで食事をしたと聞きましたが、本当ですか?」
わたくしがソファに座ると、お母様が興味津々といった表情で聞いて来られます。わたくしは恥じらいつつもうなずいて、
「はい。甘羽雄瑠さまと仰るお方で、わたくしの小説に挿絵を描いていただいているお方です。お名前は早くから知っていましたが、昨日やっとご本人にお会いすることができました」
そう答えますと、お母様はうなずいて言われました。
「なるほど、そのようなお方だったのですね? メイド長から話を聞いて、不思議に思っていました。
殿方が苦手なことりが、男性と二人きりで一夜の逢瀬を楽しむなど、どうした風の吹き回しだろうかと……でも、相手がそういうお方なら納得です」
えっとぉ……聞いていてとても恥ずかしくなるような言い回しがあったようです。お母様が誤解されているのなら、早めに解かないといけませんね。
「お、お母様、『一夜の逢瀬』などと……昨日はただお食事をご一緒しただけです。わたくしと雄瑠さんはまだそのような関係ではございません」
わたくしがそう言うと、お母様はニコニコしながら、
「おや、ごめんなさいね? でも、ことりもそれを望んでいるのではないのですか?」
そう仰います。わたくしは正直な気持ちをお母様に話しました。
「確かに、昨日帰宅してからは雄瑠さんとのいろいろを妄想して、夜しか眠れませんでしたし、夢の中で妄想が大暴走してはいましたが、わたくしも雄瑠さんもまだ学生ですので……そう言ったことは卒業してからでも遅くはないと思っています」
お母様は何度もうなずきながら聞いていましたが、私が話し終えると、真面目な顔になって言いました。
「ことりは私に似ていますから、ただ待つだけで満足する女性だとは思いません。好きな相手にはのめり込んでしまうと思いますよ?
私はあなたが自身の心に負けてしまわないか心配しています。だから、できるなら今すぐにでも婚約をすれば、あなたも安心するかと思って、勝手ではありますが甘羽様について小田切に調べさせました」
「お母様、わたくしを思ってのことでしょうが、それは雄瑠さんに失礼だと思います!」
わたくしはびっくりしました。まさかお母様が昨日のうちに、雄瑠さんの身辺調査をされていたなんて。
お母様は済まなそうな顔をされると、
「……これはお父様のご指示でもあります。ことりは岩城家の一人娘。本来なら18歳になった折にお見合いをさせるつもりでしたが、あなたが殿方に対して恐怖と嫌悪感を抱いていると分かったので、お父様も思い止まっておられました。
しかし、あなたの心を射止めるような男性が現れたと知って、お父様も『相手がことりに相応しい人間なら、様子を見て卒業と同時に結婚させてもよい』と仰っていますので」
そう、調査はお父様のご指示であることを打ち明けられました。
そして、お母様は不意に表情を硬くされて、わたくしに仰いました。
「……それで、調査の結果なのですが。正直私はあなたと甘羽さんの交際を認めるべきか悩んでいます」
それを聞いて、わたくしは一瞬頭の中が真っ白になりました。
「……ど、どういうことですかお母様? 雄瑠さんはあんなにいい人なのに……まさか、他に女の方がいらっしゃるとか?」
わたくしが震える声で聞くと、お母様は首を横に振ります。
「いえ、甘羽さんは学業も優秀。健康状態もまったく問題ありません。彼の生い立ちから考えれば、素直で明るく、正義感に燃える、まるでファンタジーの主人公のような性格をしていらっしゃいます」
わたくしは、お母様の言葉の一点が気になりました。
「あの、お母様。『彼の生い立ちから考えれば』とは? 雄瑠さんって、実は人外とか、サイボーグとか、悪魔の化身とか……」
するとお母様は、わたくしを呆れたように見つめ、ため息をつきました。
「はぁ……あなたも空想の世界に浸るのはほどほどにしなさい。
ただ、雄瑠さんは幼少期に事故でご両親を喪っているんです。他の親族もいなかったようですので、その後は児童養護施設に引き取られたようです。
そういった過去を感じさせないほど、彼は素晴らしい男性になっています。そこは私も認めています」
「では、お母様は何を気になされているのでしょうか?」
「……施設にいた時分は、かなりやんちゃだったようですね。何度か傷害事件を起こしています。もっとも、年齢が年齢ですし、何か事情があったんでしょう、すべて警察からの厳重説諭で済んでいるようですが」
「……家庭裁判所での少年審判や、起訴には至っていないと?」
「そうです。なぜそうだったのかは、愛実に調べさせています。その結果次第でしょうね、お父様が結論を出されるのは」
それを聞いて、わたくしは神様に祈りました。あの優しい雄瑠さんが、暴力沙汰を起こすなんて、きっとのっぴきならない事情があったに違いない。そうであってほしい、と。
お母様の部屋から出たわたくしを、愛実がドアの前で待っていました。
「お嬢様……」
「愛実、雄瑠さんのこと、お母様から聞いたわ。あなたが調査を命じられていることも。
お願い、調査結果はお母様に報告する前に、わたくしにも聞かせて。別に雄瑠さんに不利なことを隠して、とか、嘘の報告をして、なんて言わないから」
わたくしの必死な表情を見て、愛実はただうなずいてくれました。
「……その他の件で、お嬢様のお耳に入れておきたいことがございます。今からお嬢様の部屋にお伺いしても?」
「……分かりました。一緒に参りましょう。それで、報告とは? 良いこと? それとも悪いこと?」
わたくしが聞くと、愛実は表情を変えずに、前を向いたまま答えました。
「ここでは申し上げられません」
そしてわたくしの部屋に入ると、愛実はドアの外を厳重に警戒しながら、わたくしが思ってもいないことを報告したのでした。
「お嬢様、この間私がお嬢様をお迎えに上がった時、甘羽様の隣に女の子がいましたね?」
私は、雄瑠さんが『柚乃』と呼んでいた可愛らしい女の子のことを思い出してうなずく。
「ええ、雄瑠さんの妹さんですね? 可愛らしい方でしたね」
「実は、甘羽様が在籍していた児童養護施設には、『甘羽』という姓の児童は雄瑠様お一人だったんです。ですから、あの女の子が一体何者なのか、私が独自に調べることにいたします。よろしいでしょうか?」
愛実の言葉に、わたくしは一瞬混乱しました。
(あの女の子は『甘羽』姓じゃない? じゃ、雄瑠さんとどういう関係?)
「……お嬢様?」
愛実が心配そうにわたくしの顔を覗き込んできます。わたくしは心配かけないようにわざと明るく振舞いました。
「……そ、そうね。お願いします。それと、そのことはお父様やお母様には……」
「もちろん、内緒にいたします。あくまで私が独自に調査する事項ですので。
ただ、旦那様や奥様の命令ではございませんので、施設から事情を聴取したり、戸籍を調査したりすることなどは出来かねますが」
愛実はそう言うと、わたくしを励ますように、
「甘羽様の大学での評判は上々です。1年から今まで無欠席で、評価は『優』か『優上』ばかり。人当たりも良く、誰とでも気さくに話をするが、親友と呼べるお方は少ない。
ただ、そのご親友が、あの常盤光弘様なのはポイントが高いと思います。常盤様もなかなか気難しくて、付き合い辛いお方なのですが、その彼が心を許しているからには、甘羽様にもかなりの人間的魅力があるということですので。
お嬢様、私はお嬢様と甘羽様を応援いたします」
そう言ってくれたのでした。
ただ、それからの私の恋路は、なかなか苦難が多いものでした。
なぜなら、雄瑠さんを狙う女子が多すぎるのです! それもみんな、スペックが高い女の子ばかり。
まずは、柚乃さんです。
彼女は、愛実の調査では正体が不明でした。分かったのは、彼女が自分で
「お兄ちゃんと同じ施設にいた」
と話しているということだけ。
雄瑠さんと柚乃さんの日常を見ていると、柚乃さんは雄瑠さんの隣に住んでいて、合鍵も持っており、朝食や夕食の準備、部屋の掃除や洗濯など、雄瑠さんの日常的なお世話をしているようでした。
雄瑠さんはそのことに感謝しながら、柚乃さんを大切にしています。ただ、何と言うか、わたくしの眼から見て、それは『恋愛』とはちょっと違う、本当に『妹』として可愛がっているように見えました。
(雄瑠さんも、柚乃さんのことは『妹分』と公言されているようですし、本当に兄妹なのかもしれません。
雄瑠さんのご両親は、二人を生んだ後離婚。その時、二人は別々に引き取られた。
その後、ご両親が亡くなったため、二人は施設に引き取られた。
こう考えれば、柚乃さんが『甘羽』姓じゃないのもうなずけます)
わたくしは、そう独り決めしてしまったのです。
ですがその後、柚乃さんと雄瑠さんには血のつながりはなく、義兄妹だったことすらないことが分かりました。つまり、二人は『ただの男女』だったのです。
この瞬間、斎藤柚乃という女性は、わたくしの最大の恋敵となったのでした。
柚乃さんという強力なライバルの次に現れたのが、音無菜都緒という女性です。
彼女は雄瑠さんが在籍していた施設の関係者の娘さんで、雄瑠さんとの接点で言えば最初に関係ができた人でした。
ただ、音無さんの話では、柚乃さんが雄瑠さんにべったりになってしまったことで、あまり深くは付き合えなかったうえ、雄瑠さんが施設を出た後、彼女がK大に入るまでは全くの没交流だったらしいので、
「……柚乃ちゃんにはかなりの差を付けられているんだよね……はは……」
と自分で言ったとおり、不利なのは覚悟のうえだったようです。
それでも、柚乃さんの誕生会サプライズで雄瑠さんとの交流が復活した後は、柚乃さんの先輩という立場を存分に活用して、涙ぐましいほどの努力で差を詰めていきました。
けれど、『お隣さん』や『妹分』という柚乃さんや、『ビジネスパートナー』や『運命』を味方につけたわたくしとは、優劣の差は歴然としておりました。
しかし、わたくしが最も警戒し、最も脅威を感じていたお方がいます。
その方の存在を最初につかんだのは、わたくしに仕える優秀な愛実メイド長でした。
「お嬢様、甘羽様のことでお耳に入れておきたいことがございます」
愛実がわたくしの耳元でこのような言い回しをする時は、いい話であった試しがございません。そうした時はいつも、わたくしは眉を寄せてうなずき、部屋にこもるのです。
「……愛実、今度は何? 雄瑠さんとわたくしは、お父様もお母様も認めた仲。柚乃さんはグレーだけれど、とりあえずは雄瑠さんの『妹』として考えるって決めたでしょう?」
わたくしがそう言うと、愛実は何も言わずに1枚の写真をわたくしに提示しました。
わたくしはその写真を手に取って見ると、思わず息を呑みました。栗色のセミロング、いかにも『清楚なお姉さん』といった感じの女性が写っています。
わたくしが息を吞んだのは、その女性が神々しささえ感じさせるほどの美人だったことと、着ている着物……そう、着物でした。薄い桃色の生地に梅の花と手鞠が染め上げられた、華美ですが派手ではない着物を着たそのたたずまいは、わたくしに言いようのない敗北感と焦燥感を植え付けました。
「……愛実、この女性は? 雄瑠さんのお姉さま? それとも彼女さん?」
わたくしが、他の女性を雄瑠さんの『彼女』呼びしたのは、後にも先にもこの女性……後で名前を知ったのですが、志鳥武葉というこの方だけです。
「正体はまったく不明です。瀬戸に何度か後をつけさせましたが、悉く失敗しています」
愛実が『信じられない』といった感じで頭を横に振ります。
「……瀬戸の尾行技術はお屋敷ではぴか一なのですが、彼曰く『煙のように消えた』と。
それに、何度か徹夜での張り込みをさせたところ、朝方に雄瑠さんの部屋から出て行ったこともあると。
ただ、瀬戸が不思議がっていたのが、その女性が部屋に入るところを目撃していないんだそうです。甘羽様が出かけた後、瀬戸が誰もいないことを確認した部屋に、この女性はいつの間にか忍び込んだことになります」
わたくしはそれを聞いて、直感的に『この女性のことをこれ以上探るのは良くない』と感じました。なぜか畏れ多いと思ってしまったのです。
「……愛実、この人については、これ以上の調査は必要ないわ」
「えっ!? でも、もし甘羽様がこの女性とただならぬ関係になっていたら、お嬢様との交際にも響いてきますし……」
びっくりしたように反論しかける愛実に、わたくしは強い口調で言い渡しました。
「いいんです! この方が雄瑠さんとどういう関係であろうと、わたくしが雄瑠さんのことを愛して、裏切らなければいいのですから。
それに、何故だかこの方を深く調べてはいけない気がするんです。だから、この方の調査は打ち切りなさい。お母様にも報告は無用です。いいですね!?」
すると愛実は、少し考えた後、わたくしの指示を受け入れました。
「承知いたしました。お嬢様がそう仰るなら、私も調査を打ち切り、瀬戸にも手を引かせます。ただ、瀬戸は柚乃さんに接触して、この女性のことを少しだけ聞き出すことに成功しています。そのことだけをご報告させてください」
わたくしがうなずくと、愛実は無表情で報告しました。
「この人物の名前は『志鳥武葉』。年齢は不明ですが、20歳から25歳程度。住所、経歴、係累は不明ですが、『志鳥椎葉』という双子の姉がいることだけは分かっています。
性格は慎み深く、温厚。ただし嫉妬深く、それを表面には出さない。家事全般は得意のようで、柚乃さんと朝食や夕食を作っているようです。
週に何回か泊まりに来るが、甘羽様が学業や仕事で忙しい時には訪問を控える慎み深さもあるようです」
「分かりました。あなたも、瀬戸もお疲れさまでした」
そう言って愛実を下がらせた後、わたくしは写真の女性に向かって語りかけました。
「……志鳥武葉さん……あなたは一体何者なのでしょうか?」
これが、わたくしがただ一人、負けを覚悟した女性……というより女神『武羽槌命』様との出会いでした。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
4.輝ける雄瑠さまとの愛の日々
わたくしは、甘羽雄瑠という男性の愛を勝ち取るため、努力を惜しみませんでした。
時には、破れかぶれにも思えるほど際どい色仕掛けで迫ったこともありますし、わたくしの書くラノベの登場人物に、彼への愛を口にさせたこともあります。
しかし、雄瑠さんはわたくしがどんなに捨て身の迫り方をしても、それでわたくしを嫌うということはございませんでした。
むしろ、
「ことりさん、もっと自分を大切にするんだ。そんなことをしなくても君は可愛いし、いい人なんだから」
そう言って諫めてくれるようなお方でした。
最初に『西洋鍋』の合コンで出会い、その場で告白まがいのことを言って、『猫男爵』で夕飯をご一緒した時から、もうずいぶん時が経ちましたが、雄瑠さんの優しさはまったく変わりません。
むしろお互いを知り合っていく中で、その優しさが愛情に似たものに変わっていくのを感じ取り、わたくしは雄瑠さんとの『結婚』を意識し始めていました。
もちろん、最初から結婚するつもりで彼にアプローチしたのですが、肝心の彼は、柚乃さんや武葉さんとのこともあり、なかなか決断してはくれませんでした。ずっとわたくしは彼と、『友達以上、恋人未満』の関係に甘んじていたのです。
そんなわたくしたちに大きな転機が訪れたのは、大学卒業も間近に迫った2月の後半のことでした。わたくしの所に、武葉さんと椎葉さんがそろって訪ねて来たのです。
「どうされましたか? お二人が私の家を訪ねてくださるなんて初めてですね?
紅茶でよろしいでしょうか? それともお神酒をお供えした方が?」
もうその時には、このお二人が神様……雄瑠さんを見守ってくださった施設近くにある神社の御祭神であることは存じ上げていましたので、わたくしは一種の畏怖の念をもってお二人をお迎えいたしました。
武葉さんは、ニコリと笑うと首を緩く振り、思いもよらぬことを言われました。
「いえ、特別なお気遣いは無用です。今日はお別れと、お願いがあってやって参りました」
「お別れ? どういうことですか?」
武葉さんは一度、雄瑠さんの御実家を売却する際に、雄瑠さんが自分を見捨てて実家のあるH市に柚乃さんと引っ越すのだと思い込み、雄瑠さんとお別れを覚悟した過去がございます。
だから、今回の『お別れ』も、何か勘違いやすれ違い、思い違いがあるのではないか?……わたくしはそう思って聞き返したのです。
ですが、武葉さんが告白された内容は、とても深刻で差し迫ったものでした。
「……いつぞやのように、私が一人合点して勘違いしているわけではありません。
実は、私たちの神社が廃され、社殿も解体・撤去されることが決まったのです。
その際、私たちの御魂をどう取り扱うのかは未定のようですが、他神社への合祀にしても、御魂抜きにしても、もはや雄瑠さんのお側にはいられません。
ですから、雄瑠さんにこのことを伝える前に、あなたにお伝えしておこうと思いました」
「なぜ、わたくしだったのでしょうか? 柚乃さんでもよかったのでは?」
わたくしは、ショックを隠しきれませんでしたが、その疑問だけは確認しておきたかったのです。なぜ、近くにいる柚乃さんではなく、わたくしに自分たちがいなくなった後のことを託すのか。
すると、今度は椎葉さんが褐色の瞳をわたくしに向けて言いました。
「柚乃さんも、私たちの氏子なんです」
それでわたくしは、武葉さんたちの心配を了解しました。
見守られていたのは雄瑠さんだけではなかったんです。ついでなのかもしれませんが、雄瑠さんと強い絆で結ばれている柚乃さんも、武葉さんたちは見守ってきており、それは柚乃さんも知っている。
武葉さんたちが消えたら、雄瑠さんだけではなく、彼を支えるべき柚乃さんまで悲しみに囚われる……神様であるだけに、武葉さんたちはそんな未来を見通していたのでしょう。
だから、雄瑠さんや柚乃さんに近く、かつ、自分たちには直接の関係がない人物で、雄瑠さんたちを支えられる者として、わたくしに白羽の矢が立った……そういうことなのでしょう。
わたくしはすべてを了解して、うなずきました。
「武葉さんたちの心配は分かりました。わたくしができるだけのことをいたします。ご安心ください」
それからわずか1か月も経たないうちに、武葉さんたちを祀っていた神社は取り壊されました。御魂については、調べてみたところ、他神社に移されたのではなく、お還りいただいた、とのことでした。つまり、未来永劫、武葉さんたちとは会えなくなってしまったのです。
そのことを知った雄瑠さんの落胆ぶりは、それは見ていられないほどでした。おまけに、それを慰めるべき柚乃さんまで、寂しさでふさぎ込んでしまったのです。まさに武葉さんたちが見通し、心配されたとおりでした。
わたくしは、武葉さんたちと約束したとおり、できるだけ雄瑠さんや柚乃さんを元気づけようと努力しました。
(雄瑠さんの社会福祉士の試験が終わっていた後だったのが幸いでした。でもこんなに悲しむなんて、やはり雄瑠さんには武葉さんへの愛情があったのでしょうか?)
わたくしはそう思い、武葉さんにちょっぴり嫉妬します。いなくなってしまった存在は無敵です。いつまでも色褪せずに、心の中にいい思い出だけが残るのですから……。
そんな時、父がわたくしにこう持ち掛けてくださったのです。これが、わたくしと雄瑠さんの関係を、さらに進めるものになりました。
わたくしは早速、雄瑠さんを家に招待しました。表向きは、落ち込んでいる雄瑠さんと柚乃さんを慰めるための食事会ということにして……。
そして、その時にお父様が雄瑠さんと柚乃さんに、海外留学を持ち掛けられたのです。
神社の一件以来、雄瑠さんは自身が過ごした児童養護施設への就職に乗り気ではなくなっていました。施設長先生に話をして、就労を1年延ばしてもらったとも聞きました。
そこで、雄瑠さんの才能に目を付けていたお父様が、
「アメリカの大学で、MBAを取得しないか?」
そう持ち掛けたのです。
そして柚乃さんには、
「フランスの料理人の弟子にならないか?」
というお話を持ち掛けていました。
わたくしは事前にお父様からこの話をお聞きした時、
(柚乃さんは雄瑠さんから離れられないだろうから、雄瑠さんもお断りされるだろうな)
と考えていました。
しかし、案に相違して、柚乃さんが
「……柚乃、このお話を受けようかなぁ……」
そう言いだしたではありませんか! 雄瑠さんは意外そうに、
「……柚乃がその気なら、僕は応援するけれど。なぜ、受けようと考えたのかを聞いてもいいかい?」
雄瑠さんが聞くと、柚乃さんは真剣な顔をして、
「柚乃、武葉さんたちがあんな形でいなくなっちゃうなんて、夢にも思っていなかった。
それで、思ったんだ。幸せは永遠に続くわけじゃない。抱いていた夢も、人との関わりも、いつかは変わってしまうんだって」
そう言う柚乃さんの眼は、何かにすがりたいけれど、すがるものはいつかは消えていくという恐れを抱いて揺れていました。雄瑠さんは黙って柚乃さんの頭を撫でて、
「……そうだね、柚乃の言うとおりだろう。変わらないものはない。だから今を大事にするべきなんだ」
そう言うと、柚乃さんはポロリと一粒涙をこぼし、
「うん、柚乃も『今』を大事にしたい。そして、夢と同じくらい大切なものがあって、どちらかしか選べないとしたら、今は夢を選びたい。
だから、岩城のおじさまのお話を受けてみてもいいかなって思うんだ」
……そんな話をした1か月後、桜の花が満開の時期に、柚乃さんはフランスに向けて旅立って行きました。
「雄瑠さん、準備はできましたか?」
さらにそれから1か月後、ことりさんが僕を迎えに来てくれた。空港まで見送ってくれるらしい。
「すみません、何から何までお世話になってしまって」
大きなボストンバッグを転がしながら、ことりさんに言うと。
「いえ、これもお父様が見込んだお方のためですから」
ことりさんはそう言いながら、ドアの鍵を閉める僕に教えてくれた。
「柚乃さんの部屋も、留守の間は瀬戸や初瀬川が保守に来ますからご安心を。帰る場所はちゃんと確保しておかないとですね?」
すると小田切さんが驚いている僕に、
「甘羽様、鍵をお預かりします」
そう言って鍵を受け取ると、一礼して自分の自動車で屋敷に戻って行った。
「では、雄瑠さま。飛行機の搭乗手続きは結構時間がかかりますから、早めに行きましょう。瀬戸が運転をしてくれますので」
小田切さんの自動車を見送った後、ことりさんがそう言う。瀬戸さんが豪☆ジャスなリムジンのエンジンをかけて待っている。
「お嬢様、お荷物をお運びいたしましょう」
愛実さんがそう言ってことりさんの荷物を受け取る。
はて、僕の見送りにしてはやけに大荷物だな……リムジンに乗り込んだ僕がそう思っていると、ことりさんが僕にすり寄って来た。そして耳元でささやく。
「あっちに行ったら、わたくしが雄瑠さんのお世話をしますから、雄瑠さんは勉学に集中してください。あ、でも、夜の時間はわたくしにいただければ嬉しいです♡」
僕は耳を疑う。
(……『あっちに行ったら』? 『お世話をします』?……おっかしいなぁ~、確かにそう聞こえたけど、耳が悪くなったのかな?)
「あのー、ことりさん」
「はい、何でしょう?」
「今、君もアメリカに行って、僕と一緒に住む……としか理解できない言葉を聞いたと思ったんだけど、気のせい? それとも僕の理解力が欠如している?」
僕が恐る恐る聞くと、ことりさんはにっこり笑って僕の胸にしなだれかかり、
「はい♡ 雄瑠さんの気のせいではなく、理解力も正常です。わたくしも一緒に住むことになりました」
と言うではないか!
「え? でもことりさんは院に残るんじゃなかったっけ?」
僕が驚いて聞くと、彼女はずるそうな笑みを浮かべて、
「はい、そうですよ。雄瑠さんが通う大学のマスターコースにですけど」
そう、種明かしをする子どものような笑顔で言う。どうやら僕ははめられたらしい。
「え? いやですわ雄瑠さん。はめるのはあなたでしょう? わ・た・く・し・に♡」
「え!? 思考を盗聴された!?」
「アルミホイル、要りますか?」
ことりさんが僕にアルミホイルと、『0・02ミリ/極薄』の箱を手渡してくる。どこまで用意がいいんだ、このお嬢様は?
「いや、使わないから! 今のところ不要だから!」
「まぁ♡ 早速子づくりをしていただけるのですか? わたくしは別に構いませんよ? 生の方がいいと雄瑠さんがおっしゃるなら、いくらでも受け入れます♡」
「……ごめん、僕の言い方が悪かった。とにかく、僕はMBAを取るまで、そういうことで気を散らしたくないんだ。だから、ことりさんの夜にも付き合ってあげられない」
僕が言うと、ことりさんはがっかりした顔で、恐ろしいことをのたまう。
「……まぁ、いいですわ。雄瑠さんのコースは私のコースと同じ2年。お互いに卒業する頃には25歳になっていますから、適齢期ですものね」
「えーと、結婚するのは決定事項なのかな?」
「当たり前田のクラッカーです。お父様が単に雄瑠さんの能力にほれ込んだだけで、こんな破格な申し出をされると思いますか?
わたくしと結婚して、名実ともにお父様の後継者になること……これが雄瑠さんにお父様がお力を貸す真の目的です」
うん、それくらいは覚悟しておくべきだったんだろうし、岩城パパに確認しておくべきだったんだろうが、柚乃のフランス行きに気を取られて、そういった可能性が頭から抜け落ちていたのだ。
「……飛行機は、わたくしがチャーターした専用機です。どこにも逃げられませんし、逃がすつもりもございませんよ、雄瑠さん♡」
僕は、ハイライトの消えた目で僕を見つめてうっとりすることりさんを見て、
(今度こそ、年貢の納め時なんだろうなぁ……)
そう考えていた。アメリカでの2年間を何の間違いもなく乗り切れる気がしなかった。
「どうです、いい夢は見られましたか?」
わたくしは、鈴の音のような声で目を覚ましました。もっとこの夢の中に居たい……そう思いますが、意識がはっきりしていくにつれて、夢の世界は遠くなっていきます。
「……はい、おかげさまで……って、何故わたくしが雄瑠さんのお部屋に!?」
わたくしは、柔らかいベッドに寝ていました。頭がガンガン痛み、のどがカラカラに乾いています。
「……いけませんよ? 飲めないのに無理をして飲んでは。水を持ってきますね」
そう言うと、栗色の髪をした柔らかな雰囲気の女性が席を立ち、部屋を出て行く。
(……武葉さん? わたくしはいったい何を?)
そう考えて、だんだんと思い出してきました。わたくしは例によって、雄瑠さんをわたくしのものにしたいがため、雄瑠さんに無理を言って居酒屋『西洋鍋』に連れて行ってもらったのでした。
案の定、匂いだけで酔っ払ったわたくしは、前後不覚に酩酊し、そして……
(うう……( ノД`)……思い出したくありません……)
どうやら雄瑠さんにかなりの御迷惑をおかけしたみたいでした。
「記憶は戻りましたか? これに懲りたら、お酒を使って雄瑠さんを誘惑しようとはしないことですね。
でも、あなたが私に、自分が全勝ちの未来を経験させてくれ、などと申し出るとは思いませんでした。
どうでしたか? あなたの願望がすべて叶った世界というものは?」
そこに武葉さんが戻って来て、わたくしに冷水を差し出しながら聞いて来ます。
わたくしは、一口、水を飲むと、はっきりしてきた頭で考えました。
(……願望が叶って幸せだったけれど、雄瑠さんや柚乃さんにとってはどうだったのかしら?)
「……そうですね。幸せって結局のところ、何かとのトレードオフみたいなところがあるのかなって思いました」
すると武葉さんはにっこりと笑って言いました。
「……満点がないのが人生のいいところだと思いますよ? 何点で妥協するかは人によりますが、それに気づいたあなたは、きっと昨日よりちょっとだけ幸せになれるはずです。
お水を飲んだら、お顔を洗ってください。ご自宅にお送りします。雄瑠さんが自動車を出すそうですから」
【14.ことりの麗しく輝ける愛の日々 終わり】
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回は、ことりちゃん一人に的を絞ってキャラクターを掘り下げてみましたが、いかがだったでしょうか?
本編は、『ことりの願望=雄瑠との結婚』が叶う世界線の一つを書いたものです。
菜都緒ちゃんは歯牙にもかけず、ライバルとしては強力な柚乃ちゃんや武葉さんを巧妙な形で排除する、ある意味ことりらしい展開だったのじゃないかと思います。
第2期は、これでいったん終了です。第3期では、同じような『IF』を、他のヒロインで書いてみても面白いかもしれませんね。
では、第3クールでお会いしましょう!
【お知らせ】
作者の都合で、次作の投稿は7月になる予定です。『青き炎の魔竜騎士』の連載を再開する予定ですので、しばらくお待ちください。




