エピローグ
これで、また一つの物語が幕を閉じる。
これは十七歳の真冬の物語。
小さな星の小さな島の小さな街で起きた、誰にも望まれない、小さな奇跡の物語。
決してハッピーエンドではない。だからと言ってバットエンドというわけでもない。
そのような物語の終幕もあるのだ。
冬は春へと季節を変える。
凍っていた雪を溶かし始める。
桜のつぼみが顔を出し始める。
俺は、手紙を書くことにした。
この空のどこかにいるであろう、二人の大事な人へ。
この目で見たことと、この心で感じたことを、つらつらと書こうと思う。
まずは手始めに、この冬に出会った人たちについてだ。
その人たちの温かさに、優しさに救われ、勇気をもらったことを。
その人たちは、俗にホームレスと呼ばれている。
ホームレスとは、時々ニュースや新聞に取り上げられる職を失って路上で生活している浮浪者を指す言葉。
以前までは、そう思っていた。
でも、本当は違う。
ホームレスとは、自分の過去から逃げ、死人のように生きていく浮浪者のことではない。
過去と向き合い、強く生き続ける、全ての人たちのことを指す言葉だ。
俺たちは転ぶたびに、そこに花が咲いていることを知るのだ。
この人たちの出会いが、俺の全てを変えてくれたように。
全ての出会いに、全ての別れに、意味が現れたように。
書き綴った手紙をそっと、赤い缶の中にしまう。
ふたに描かれた、力強く手を取り合う二人の姿に、面影を重ねる。
これも、一つの奇跡なのかな。
ふたを閉じ、澄み渡る青空を見つめる。
この思いが巡り巡って、この空の下にいる誰かと誰かの間に、奇跡が起こることを祈ろう。
―――春一番の、風に乗って。
第二章はこれで完結です。
呼んでくださった方、本当にありがとうございます。
感想やアドバイス、誤字・脱字などの指摘があれば、お願いします。
また、レビューなども書いていただければ、作者は踊って喜びます。
この物語はまだ続きますが、一旦違う作品に力を入れたいと思います。
ご了承ください。
それでは、またお会いしましょう。




