表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【初心者安心パック】は歴代転生者アンケートから生まれました~いつの間にか聖女扱いされて困ってます~  作者: 紫陽花


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/30

Aランク素材を発見

 魔法の修行は、予想を遥かに上回る成果だった。

 ナビが「もはや私の予測は意味をなしません」と解析を投げ出すほどの凄まじい上達ぶりで、私は基礎の『ウォーターボール』だけでなく、上級の派生魔法である『アイス・スピア』まで使いこなせるようになったのだ。


(思ったよりスムーズに習得できちゃった。今日はこれくらいにして、帰る前に一時間ほど周辺で採取をしていこうかな!)


 少し離れた場所で、唖然とした表情のまま固まっているガウルに声をかける。


「ガウルお兄ちゃん!魔法の練習は一旦おしまい。帰る前に、少しだけこの辺りで薬草の採取をしてもいい?」

「……え?ああ、はい。構いませんが……。……あの、セリアさん。先ほど、上級魔法のアイス・スピアを使用しませんでしたか?魔法の練習を始めたばかりでは、ありませんでしたか?しかも、四歳ですよね……?あれ?私、もしかして夢でも見ているんでしょうか。それとも、さっき食べたマヨネーズというソースに幻覚作用でもあるのでしょうか……」


 ガウルは眉間にしわを寄せ、自分の記憶を疑うように何度も首を振っている。

 彼から見ても、四歳の子供がさらりと地形を変えるほどの魔法を放つなど、常識の範疇を完全に超えているようだ。


「えへへ、ちょっとコツを掴んじゃったみたい!」

「『ちょっと』で済むような話ではないと思いますが……。はは、セリアさんが規格外すぎて、私のこれまでの常識が音を立てて崩れていくようです。……わかりました、採取ですね。お供しましょう」


 ガウルはどこか遠い目をして、深い溜息をつきながらも頷いてくれた。


(サーチ!)


 私は周辺の状況を確認するために半径50メートル程度にサーチを行う。

 すると、つい先ほどアイス・スピアで粉砕した大きな岩の破片が散らばるあたりに、ポツン、ポツンと二つの紫色に光る反応が見えた。


(ん……?なんだろう、あの紫色の光。二つもある。岩が砕けて、岩の下にあった何かが露出してるみたいだけど)


「ガウルお兄ちゃん、あそこの岩の破片をどかしてみてくれる?何かあるみたい」

「あそこの岩の下ですか?わかりました。……よっと!」


 ガウルが、砕けた岩の塊を脇へどかす。

 すると、土の中から赤茶色でキラキラした物体が二枚、姿を現した。


「これ、なんだろう……?綺麗だけど、すごく硬そう」


 それは、大柄なガウルの手のひらよりもさらに一回り大きい、立派な鱗だった。

 私が不思議そうにそれを見つめていると、横でガウルが「……っ!?」と目を見開いた。


「これは……竜の鱗ですね。地竜のようです。この大きさからすると、かなりの大型個体のもののようですよ。しかも二枚も……!」

「じりゅう……竜なの!?鑑定!」


 思わず鑑定を試みる。


『鑑定結果:地竜の鱗、ランク:A、強力な魔力を帯びた地竜の鱗』



(すごい本当に竜っているんだ!さっき、サーチで見えたあの紫色は、Aランクの素材を示していたんだ。鑑定の結果と一致するし、これからは紫色が見えたらお宝確定だね!)


「地竜の鱗で、Aランクって出たよ。ガウルお兄ちゃん、ここには竜がいるの?」

「いえ、この辺りで地竜の目撃情報など聞いたことがありません。これほど大きな岩の下から出てきたとなると、大昔の冒険者がこの場所で落としたものか、あるいは昔ここに地竜が住んでいた名残かもしれませんね」


 ガウルは冒険者としての鋭い視線で周囲を警戒しながらも、その鱗を慎重に指でなぞった。


「セリアさん。目撃情報がないとはいえ、地竜の痕跡が見つかったとなれば、念のため冒険者ギルドには報告しておかなければなりません。周辺の危険度に関わる問題ですから、私が報告してもよいでしょうか?」

「そっか……そうだよね。わかった、じゃあこの鱗、二枚ともガウルお兄ちゃんに預けてもいい?」

「ええ、責任を持って報告させていただきます」


 私は拾い上げた大きな鱗を二枚ともガウルに手渡した。


(私みたいな四歳の子供がこんなものを持ってギルドに行ったら、間違いなく大騒ぎになっちゃうもんね。信頼できるガウルお兄ちゃんに任せるのが一番だよね)


「それからガウルお兄ちゃん。そのうちの一枚は、もしギルドでそのまま売れそうなら、売ってきてもらってもいいかな?」

「……売ってしまうのですか?地竜の鱗は、極めて高い防御力を持っているので、防具の素材として最高級の価値がありますよ。これほどの品なら相当な額になりますが……私が代理で売ってきてもよろしいのですか?」

「うん。セリアが売ろうと思ったら騒ぎになりそうだから。ガウルお兄ちゃんに、冒険者ギルドで売れそうならそのまま売ってほしいんだ」

「わかりました。セリアさんのためにも、足元を見られないようしっかり交渉してきますね」


 ガウルはニコッと笑って、私の頼みを頼もしく引き受けてくれた。



 採取を終えた私たちは、夕暮れに染まり始めた道を歩いて街へと戻った。

 宿の入り口まで送ってもらい、私はガウルに向き合う。


「送ってくれてありがとう、ガウルお兄ちゃん!今日はとっても楽しかったよ!」

「こちらこそ。セリアさんの規格外な魔法と、驚くほど美味しい料理に翻弄された一日でしたが……とても楽しかったです」


 ガウルはそう言うと、懐の鱗を大事そうに押さえた。


「私はこれから、ギルドへ報告に行ってきます。セリアさんは宿でゆっくり休んでくださいね」

「うん!じゃあ、また明日の朝、受付で待ち合わせね。明日もまた、一緒に外に行こう!」

「ええ、約束です。明日の朝、受付で待ってますね」


 ガウルは軽く手を振ると、足早に冒険者ギルドの方へと向かっていった。

 私はその背中を見送りながら、宿の扉をくぐる。


(ふふふ、今日は魔法も覚えたし、臨時収入も期待できそう。明日は何をお願いしようかな!)


 アイテムボックスの中にある調味料の残りを確認しながら、私は明日への期待に胸を膨らませるのだった。

いつも応援ありがとうございます。

誤字脱字報告も、ありがとうございます。

とても、助かります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ