セリアのステータス
お待たせいたしました。
少し長くなっています。
最後までお楽しみ頂ければ幸いです。
宿に戻ると、父が食堂の掃除をしているのを見つけ、私は意を決して切り出した。
「パパ、ただいまー!お友達を連れてきたでしゅよー!」
「おかえり!ん?お友達って、その後ろにいる人かい?」
父は、私が連れてきた友達が、歳の離れた大きな男性ということに目を見開き一瞬驚いたが、すぐに優しい表情に戻った。
私の後ろで黙っていたガウルが、一歩前に出て父に向って挨拶をする。
「はじめまして。ガウルといいます」
「セリアと友達になってくれたんだって?ありがとう」
父がガウルに優しく話しかける。
「セリアさんは優しくて素敵なお嬢さんですね」
自分の娘を褒められたパパは嬉しそうに、うんうんと頷く。
「それでね。ガウルおにーちゃんのことで、パパにお願いがあるんだ」
「お願い?」
「ガウルおにーちゃん大きいでしょ!それで、一人部屋だと窮屈で寝れないこともあるみたいなんでしゅ。野宿するっていってたけど、二人部屋なら野宿しなくてもいいかなと思って連れてきたんでしゅよ」
父は、私の話を聞きながら、ガウルのことを見ていた。
ガウルは父に見られて、少し居心地が悪そうに、体を小さくしていた。
「二人部屋に一人部屋の料金で泊めてあげられないかな?代わりに、セリアのお願いをガウルおにーちゃんに一つ聞いてもらうんでしゅよ」
父は顎に手を当てて、考える仕草をした。
「セリアはいつも手伝いをしてくれるし、セリアの友人なら安くするよ。それに確かにガウルさんは大きいし、一人部屋だと窮屈だろう」
「よかったね!ガウルおにーちゃん!」
「本当にいいのですか?私は野宿でも大丈夫ですよ」
ガウルのほうを見ると、少し心配そうな表情をしている。
「あはは!そんなに心配しなくても大丈夫だ。それにセリアにお願いごとされてるんだろう?一体、何をお願いしたんだ?」
「明日、セリアの護衛として、町の外に一緒に来てもらうんだ!ガウルおにーちゃんは強いでしゅよ」
「薬草の採取に行くのか?でも、外は危ないし、ガウルさんに迷惑をかけたらダメだよ」
父はガウルに迷惑をかけるのではないかと心配しているようだ。
すると、ガウルが懐から冒険者ギルドのプレートを出し、父に見せた。
「お嬢さんを預かるには頼りないかもしれませんが、森には近づかず、安全に採取できるようにお守りいたします」
(ガウルお兄ちゃん...かっこよすぎる...)
「ガウルさんはBランクの冒険者なのか。セリアの護衛より、他に仕事したほうが稼げるだろう。セリアのお願いを聞かなくても、部屋は気にする必要ないよ」
(ちょっとパパー!せっかくのチャンスなのに何言ってるのー)
「いいえ、セリアさんの友人として、セリアさんと一緒に少しだけ町の外に行くだけです。大切な友人ですから、しっかり守ります」
(今日、会ったばっかりなのにガウルお兄ちゃん、本当に良いひとすぎるよぉ)
ガウルは言葉遣いも丁寧で、誠意を持って伝えてくれたため、父も頷いてくれた。
「ありがとう。セリアのことをよろしくお願いします。セリアもガウルさんの言うことは、ちゃんと聞くんだよ」
「はい。ガウルおにーちゃん、ありがとー!」
ガウルは、父に許可をもらい、ほっと安心して、セリアのほうを見て頷いた。
私は最高の笑顔でガウルを見上げ、親指を立てた。
これで明日は薬草採取に行ける!
「そうだ、ガウルおにーちゃん夕食はどこかに食べに行く?」
「いいえ、特に予定はありませんよ」
「じゃあ、一緒にご飯たべよ!その時に、明日の相談もしたいの」
「わかりました」
ガウルの受付をし、部屋の鍵を渡したあと、私も自室に戻った。
自室に戻った私はベッドに座り、胸を高鳴らせてナビに話しかけた。
(ナビ、鑑定スキルがレベルアップしたね!やったー!嬉しい!)
≪はい、セリア様。鑑定スキルのレベル5到達、おめでとうございます≫
ナビによると、鑑定スキルがレベル5になったことで、以前より読み取れる情報が増えたという。
≪セリア様、さっそくですが、ご自身を鑑定いたしましょう≫
(え?前に人には使ったらだめって言ってたよね?)
≪はい、セリア様以外に使用するのは、今後も控えてください。しかし、ご自身のステータスを確認するのは問題ございません≫
(そういえば、すっかり忘れてたけど、異世界といえば「ステータスオープン」とかいうと、自分のステータス見れるんじゃないの?)
≪ステータスオープンというスキルは、ナビは把握しておりません。ステータスの確認は、鑑定および魔道具のみとなっております≫
ナビに説明を受けたが、ナビが把握していないだけで、実はあるのかもしれない...
いつもより、気合を入れて唱える。
「ステータスオープン!!」
シーン。
何も変化なし。
≪セリア様、どうされましたか?≫
(いいえ、なんでもないです...)
うん、ないのね。
ナビの言うことは、ちゃんと聞こう。
うん...
≪鑑定スキルがレベル5になると、人物鑑定で保有スキルが分かるようになります。この情報は、セリア様が今後、周囲の人々や、やがて来る鑑定の儀までに、どのスキルを他人に対して「表示」し、どのスキルを「非表示」にするか決める上で、非常に重要な情報となります≫
(なるほど!じゃあ、さっそく!鑑定!)
【鑑定結果】
セリア
レベル:1
体力:25
魔力:999,999
魔法属性:火、水、風、土、聖
スキル:魔力カンスト、防御スキル、鑑定、サーチ、経験値増加、アイテムボックス、言語理解、地球調味料セット
私は自分のステータスを見て、思わず息を飲んだ。
スキル欄には、私が知っているもの以外に、いくつか知らないスキル名が並んでいたことに驚愕した。
(防御スキル? 地球調味料セット?)
私が最も衝撃を受けたのは、見たこともない奇妙な名前のスキルだった。
(ナビ!この『地球調味料セット』って、一体何のこと!?これは、絶対必要なスキルだと思う)
≪歴代転生者アンケート第3位「とにかく食が合わなくて困った。前世の味が恋しい」との声より実装されました「地球調味料セット」です。スキル内容を確認したい場合は、鑑定結果のスキル部分に直接指で触れてみてください。詳細が確認できます≫
言われるがまま、私は画面上の「地球調味料セット」の文字にそっと触れた。
すると、小さなウィンドウが開き、詳細な説明文が表示された。
【地球調味料セット】
前世(地球)で調味料として使用されていたものを、一覧から取り出すことができる。
使用する際は『地球調味料セット』と唱えることで、取り出し可能な調味料の一覧が表示される。
取り出したい文字に触れるか、言葉にすることで取り出すことが出来る。
1回で取り出せる数は最大99です。
※使用回数に制限はありません
(すごい!まさか、こんなチートスキルがあったなんて!歴代転生者のみなさん、ありがとぉぉぉ!)
私はさっそく試してみることにした。
「地球調味料セット」
私が唱えると、視界全体を覆うほど巨大なリストが目の前に展開された。
リストには、本当に数えきれないほどの調味料がずらりと並んでいた。料理には欠かせない砂糖、塩といった基本のものから、前世で使っていた味噌、醤油、焼肉のタレ、さらには飲料のコーラやビールなどの酒類まで、多種多様な品名が羅列されている。
(なんでコーラやビールまで調味料扱いなの!?)
一覧には、これって調味料だっけ?と思わず、ツッコミをいれてしまうものまで含まれている。
(あ、そうか!コーラで肉を煮込むと柔らかくなるとか、天ぷらの衣にビールを入れるとか、それも調味料として含まれてるのかな?調味料って書いてる割には適当ね。でもラッキー!)
少しは、この世界の食生活に慣れてきていたが、前世の記憶がある限り、本当に美味しいと思える食事を口にしたのは、今日の串焼きぐらいだ。
一覧を見ていたら、つい口にしてしまっていた。
「コーラ、ひとちゅ...」
目の前に現れたのは、缶にはいったコーラだった。
「あ、あ、コーラでしゅ」
そっと手に取ると、とても冷たく冷蔵庫から出したばかりのように冷えていた。
小さな手では空けるのが少し大変だったが、プシュ!といい音を立てて、開けることに成功した。
その瞬間、泡のはじける小さな音と、少し甘くスパイシーな香りがする。
ゴクリ
まだ飲んでいないのに喉がなる。
そっと口元に缶を持っていき、傾ける。
ゴクッゴクッゴクッ。
「プファァァ!おいしいよぉぉ」
気が付くと、久ぶりの地球の味に自然と涙が溢れていた。
突然トラックに轢かれて亡くなり、気が付けば異世界で生まれ変わっていた。
前世の自分の死を悲しむこともなく、ただこの世界で自分なりに一生懸命生きていた。
でも、コーラを飲んだ瞬間、前世の記憶が鮮明に思い出された。
両親は他界してしまっていたが、友人に別れを言うこともできず、また会社で唯一母のように親身になってくれた先輩にも迷惑をかけてしまっただろう。
いまの人生は両親にも恵まれており、何不自由なく過ごしているが、だからといって地球で亡くなったことに後悔がないわけでも、悲しくないわけでもなかったのだ。
前世を思い出して寂しくなり、そして前世の自分は本当に死んでしまったのだと、なぜか急に実感した。
≪セリア様...どうされましたか? ≫
(ナビ、ごめんね。驚いたよね。前世のことを思い出しちゃったんだ。前世での死を悲しむことなく、ここまで目まぐるしく頑張って生きてきたから、急に涙が溢れてきちゃって...)
≪セリア様...≫
私は溢れる涙を拭かず、そのまま静かに涙を流し続けた。
どのぐらい泣いていただろう。
今日やっと前世の死を本当の意味で受け入れられたような気がした。
(ナビ、もう大丈夫)
私は涙を拭き、ぬるくなってしまったコーラを一気に飲み干した。
(えっと、たしか防御スキルがあったね)
≪歴代転生者アンケート第4位「痛いのは慣れていないから、強力な防御がほしかった」との声により実装された「防御スキル」です≫
(えっと、これも大事だから詳細確認しておいたほうがいいよね)
防御スキルの文字に触れる。
【防御スキル】
レベル:1
物理攻撃、魔法攻撃のダメージが50軽減される。
単体バリアのみ使用可能。
12時間有効。
詠唱『バリア』
(物理も魔法も防げるって、チートすぎでは...でも50って、どのぐらいなんだろう?私の体力25しかないのに防御スキル使ったら、75になるってことでいいのかな)
≪はい、バリアを使用した状態だと体力が75になると考えてよいでしょう。また、防御スキルが有効な状態であれば痛みは感じません≫
(とりあえず、これは外に行かなくても、使えるなら常時発動しておきたいスキルだね)
≪まだ魔物と戦うこともありませんでしたが、これから町の外へ出る機会が増えるようであれば、使用したほうがいいかもしれません≫
(とりあえず、明日外に行くし使っておこう。バリア!)
詠唱したが、何も変化は感じられなかった。
(これ成功してる?)
≪はい、成功しております。鑑定結果をご覧ください≫
ずっと鑑定結果を出したままだったので、画面を確認する。
【鑑定結果】
セリア
レベル:1
体力:25(防御+50)
魔力:999,999
魔法属性:火、水、風、土、聖
スキル:魔力カンスト、防御スキル、鑑定、サーチ、経験値増加、アイテムボックス、言語理解、地球調味料セット
(本当だ!成功してる!それにしても、魔法属性が多い気がするけど、どうなんだろう)
≪歴代転生者アンケート第1位「使えない魔法属性が多くて、全然異世界楽しめない」との声により実装された、魔法基本属性適性セットです。基本である、火・水・風・土の4属性に加え、セリア様は創造神より聖魔法の適性も与えられています≫
(パパは、火と水の2属性だったよね。2属性ぐらいが普通なのかな?)
≪はい、1~2属性の適性が平均でしょう。数は少ないですが、3属性以上適性のある魔法使いもいます≫
(3属性ぐらいまでなら、表示してもいいのかなぁ)
≪セリア様は、6歳の『鑑定の儀』までに『カモフラージュ』を使用し、どの能力を開示するのか考える必要があります≫
(そうだね。これから、ちゃんと考えるよ。ナビもアドバイスお願いね!)
≪はい、セリア様≫
よし、明日のお出かけの準備もしないと!
ブックマークや評価など、いつもありがとうございます。




