《8》幼馴染との昼間の時間はすこし特別なんだが!
当作品を開いていただきありがとうございます!
8話目になりました!いよいよ稚拙な文章ながらも、自分の進化の時が参りまして少しだけ面白みを追求できたと思います。まだまだ足りないと思っているので是非コメントなどを残していっていただけたら幸いです!
昼休み。一から四限までぶっ続けに勉強する学生にとっては待ちわびる時間。そして食事という五限に睡魔という悪魔を呼び出す召喚儀式を行う時間。購買戦争の人気メニューを取り合うべく戦士たちはチャイム後の礼と同時にロケットスタートを決める。だからこそ四限の教師は時間厳守をしていないと生徒から恨みをかうことが多い。まぁ、弁当組の俺には関係ない。高みの見物ってやつだ。今も外は人の頭が蟻のように群がっている。是非とも入りたくない。あれはまさに戦場だ。
弁当を持って立ち上がり、廊下側一番後ろの榊の後ろから廊下へ立つ。左右をよく確認し、戦士の強行軍ぶつからない位置を陣取り、弁当を持ってない左手を体から一人分空ける。榊が苦笑しながら言った。
「お前は、まぁいつも通りか。」
「あぁ、いつも通りだ。肩をしっかりしておかないとな。」
言い終わるかどうかのうちに首の真横をふわっと花の匂いがして高めポニーテールが駆け抜ける。それと等速で俺もガクンッと引っ張られる。腕を取られたまま後ろ向きに全力疾走。本日も抜けなくて何より…。そのまま攫われるように走る。なんてシュールな攫われ方だろ。
「ほらほらアキ!行くよ!早く早く!」
はいはい、もう突っ走ってますよー。うわー、周りの目がすげーいてぇ。皆さーん勘違いしないでくださいねー。付き合ってませんよー。はーい。道開けてねー。見えてねーけどー。
無抵抗で中庭へ。藤のツルでできた屋根の下に校則ギリギリの髪の色や、黒のワイヤレスヘッドフォンが特徴で少し鎖骨と胸の谷間が見える大胆にワイシャツを着崩した上半分だけをまとめたポニーテール、いや幼馴染、新島真実と並んで座り、持ってきた弁当を広げる。
これが俺の昼休みの日課だ。どっちからと言うでもなく、15年も一緒にいれば一年で同じクラスだったもので二人でよく話していたらいつのまにか出来上がっていた関係。
どちらも友達がいないと言うわけではない。俺には榊や長門がいるし真実には真実でしばし別の女の子といるのを見かけるし、性格は快活ながらも、柳眉に凛とした瞳でスッキリとした顔立ちで、身長は女子の中では高めで162cmあり、見た目クールなイメージをうける真実は知名度は平均よりも高めだ。
「もう少しなんとかならないのか?毎度腕が抜けるのを覚悟しているんだが?」
「えぇ〜そんなこと言わなくてもいいじゃん?アキも実は楽しんでるんでしょ?」
ギャルっぽい口調で、にししっと悪戯小僧のように白い歯を見せながら笑う彼女は肩が触れ合っているほど近くに座っている。この距離感が俺たちの心の距離を証明している。
「まぁ、な。それなりに。こんなスリリングな昼休みは滅多に経験できないからな。」
やれやれと言わんばかりの態度でに皮肉たっぷりな返答をする。
「じゃあいいじゃん?」
「はぁ、いいんだか、悪いんだか…。」
たははっと苦笑いするあたり、さしずめ、もうクラスではグループができていて今更混ぜてもらうのも難しいのだろうと言うのは簡単に予想できる。
真実の悩みはいわゆる、陽キャの悩みだろうか?あいにくと陰と陽の間を行き来している陰陽師の俺らからすれば分からない悩みだ。
「それでもお前ならなんとかなるだろ。いつも通りに混ざれば。」
「無理だよ。なんとなくだけどね。……こうでもしないとアキと一緒にいられないもん。気づきなよバカ。……」
はっきりと言った前半に比べて、消え入りそうな後半の独り言も聞き逃さなかった。記憶が引き継がれていれば当然、「記憶」するために必要な「感覚」というものも引き継がれているわけだ。「藤堂」記憶から察するにこいつはすこしツンデレ気味だ。そしてこればかりはすでに恋愛フラグが立っていることはわかっていた。逆に他は全くわからないのだが。それぐらい彼女はわかりやすい性格でもある。
照れ隠しの暴力はないが、悪口は言われる。それも漫画やアニメで鉄板の「バカ」などなど。決して理不尽なものではなく、軽いものなのでそれはそれで可愛いし、 すこし泳がせてもいいのだけれど、生憎悪態をつかれて喜ぶ感覚は持ち合わせてないんでね。
よし、せっかくの機会だからすこし趣向を変えてやろう。「藤堂」記憶にあることを応用して「柳原」感覚からのある行動を実行する。
「《なんとなく》ならなんとかなるだろ?だいたいお前の友達も昼だけお前がいないのを変に思ってると思うぜ?」
あえて煽るような発言をする。
「なによ。文句あるの?」
予想通り。俺を否定するように少し冷たいとげのある声が返ってきた。
「別に。……望むならいつでも一緒にいるだろ。」
少し声のトーンを下げて、格好つけて正面に立ち、座っている真実の手をすっと取りながら斜め上から目を見つめる。
「ちょっ!アキ!なによいきなり…っ!離して!」
突然の幼馴染らしくない行動に、真実はたじろく。今までの藤堂照史はこんなことをしてない。
「やなこった。ねぇ、どうして、どうして昼しか来てくれないんだ?」
振りほどこうとしてきた真実の手をより強く握りしめて、追加で左手は背に回す。
「あっ……。その…でもなんの理由もなく行けないじゃん…。」
言葉が詰まってさらに小さく、消えそうな声が聞こえた。聞こえてないはずの独り言が聞かれて恥ずかしかった上に理由を求められた挙句、見つめられて逃げ場を消された彼女は顔を真っ赤にして視線を切るようにプイッと横を向いてしまった。それでもなお、少し微笑みながら、横顔の彼女の目をしっかりと見つめる。
「RINEでもしてくれれば反応するのに。それに今更理由なんているか?ずっと一緒だったのに。」
赤くなった彼女に追い打ちをかける。火がついたように今度は紅くなった。心なしかポニーテールがしおれているように見える。
「…そうね。」
俺の方に向き直った彼女はまるで仔猫のようになっていた。じっと俺の目を見つめてきた。保護欲のようなものがかき立てられる。そのまま強く抱きしめたい欲求を抑え込む。
「…アキ、これからもずっと一緒にいてくれる?」
「あぁ。きっといるよ。」
取っている手を自分に引き寄せるように強く握りしめた。
「…ありがと。」
今度は俯いて隠れようもないヘッドフォンの中に縮こまった。完全に牙を抜かれて黙り込んでしまった。
決まった!!完璧!二重記憶をもった俺の方はまさに無敵!イヤッホゥ!!
少し前まではそのままラブコメ系あるあるの「ん?何か言ったか?」のテンプレ行動からの毒づきを食らうはずだった「藤堂」記憶の俺は「柳原」記憶ももった俺になったことでこんな芸当もできるようになったのだ!!
やっべぇ!ツンデレをデレさせんとちょーかわいい!今後もやっていこう!こんなことをできるのは他ならぬ幼馴染で素性を知り合っている真実だからこそだな!!
そうか、お前だけか。……なんかごめん。素に戻って真実一人をいじめるようで申し訳ない気持ちになった。どかっと再びとなりに腰を下ろした。どれくらいかはわからない、なにも言わない時間が、見上げた雲が視界の端から端まで過ぎるまで続いた。
「…すこし、眠くなった。」
黙ってしまった真実に加え、なぜか込み上げてきた罪悪感にいたたまれなくなってしまい、沈黙を突き破るようにくだらない言葉が口をついて出てきた。
「ん。」
「ん?」
とんでもなく短い返事と、「これを使え」とものを差し出す返事を混ぜた声がした。声がした方を見ると、真実がぴったりと両足をくっつけてスカートを折って多めに露出させた太ももペチペチと叩いていた。
「いいのか?」
「ん。」
ガシッと乱暴に頭を掴まれてそのまま寝転がされた。膝枕。信頼の為せる業だな。すこし照れ隠しか、顔が見えないようにか、両手で押さえつけられていて上は見えなかったが、目を瞑っていたので問題はない。穏やかに吹く風と暖かな陽気で膝の上の頭同様に、意識も落ちていく。このまま残りの昼休みが何事もなく鐘がなるまでゆっくりと確実に過ぎていく。
…はずだった。
ここまでご一読ありがとうございました!
今回でほんの少しだけ進化できたと思うのでほかの話も改稿していきます!是非もう一度足を運んでいただけたら幸いです!
この進化は一重に皆様あってのものです!重ねて御礼を申し上げます。ありがとうございました!




