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《2》予期もせず、死んだんだか?!

稚拙な文章ながら二話目を投稿しました。しばらくは作風が安定してこないと思いますがぜひ皆様からのお声掛け頂ければ幸いです。


第一大規模改稿 2019 4/29

旧1話を二話に持ってきました。読者の皆様、ごめんなさい

 ここで一つ。現状を説明するにあたって、俺が死んだという話をしよう。加えて復活するということも付け加えておく。


 なに、そう重たーい話じゃない。ただただふつーに生活していただけなのに、神様の失敗で車に轢かれて豆腐みたいにぐっちゃぐちゃのスクランブルエッグにされて本人に会って転生!って話だ。テンプレだろ?すでに転生は始まってるし、きっとそれなりに悪くない新生活が()()()()()()


 しかしまぁ、それを語ろうにもどうしたって前提ってもんがある。そこを理解してもらわないとね。とんでもなくくっだらない滑稽な話さ。どうか笑ってくれ。

 しかし、世界のどっかに神様がいるってんならきっと君にも明日に起こるかもしれない話だ。



 これはもう3日も前の話になると。





 ___________________________________________





「じゃあなー。」


  俺、柳原照史(やなはらあきと)は、特にこれという意味もない別れの挨拶を友に告げ、一足先に帰ろうとする。


「え?早くね?カラオケ行こうぜ?」


「そうだよー。せっかく金曜日だよ?一緒に行こ、柳原くん!」


 いつも一緒にいる、男女2:3の5人からなぜそんなに早く帰るのか怪訝(けげん)そうに、今日が金曜日なだけに、ありがちな誘いをされるも、今日は俺にとっては重要な日なのだ。


「すまん!今日はMMの発売日なんだ!」


 そう。今日は俺の大好きなアクションゲームのタイトル、メイガスモンスターズの発売日なのだ。


 俺は、今日から次の登校日の前夜まではぶっ通しで遊ぶほどの無類のゲーム好きを自負しているので、正直、ゲームをする方が友達との約束よりも優先される。


 多少付き合いが悪いが、その程度で崩れる付き合いはいらないし、ましてや、俺を束縛する恋愛なんていうストレスフルものはまっぴらごめんこうむりたいね。

 俺は比較的、自由主義者だ!その中で好きな人に巡り会えたらその人と一緒にいたい!


 別に人と関わりたくないってわけじゃない。ただただこちらのテリトリーを一方的に侵害されたくないだけだし、そのテリトリーが(いびつ)にゲームにかけては広いってだけだ。

 男子も女子も分け隔てなく接してはいるが、そこだけはどうしても譲れないから、ご理解をいただいている。


「相変わらずなのな……。体壊すなよー……。」


「ゲームのことだとすぐこれよねー。そこだけなんとかなっちゃえばすごーくモテると思うのになぁ…。」


「そうよ。そこだけが問題だけど、それに関しては仕方ないんじゃない?柳原くんだし。」


 相変わらずの言われよう。まぁ、そんな可もなく不可もないのが俺の評価としては妥当だな。陰キャのようにいじめられる対象でもなく、陽キャのように注目を集めるわけではないのが俺の立場。


 もっとも、左手に残された一本の傷跡がつけられた時にはそれなりだったが…。いまや見る影もないな…。


 過去を思い出して、左手の傷がズキリと痛んだ。


「すまんなー。今度誘ってくれよ!」


「あぁ、そのうち声かけるわ。」


 もはや典型となったゲーム発売日のやり取りをして返事も片手間、教科書類をバックに無理矢理押し込む。たとえあらぬ方向へ曲がろうとも関係ない。


「そいじゃ、一足先に失礼!」


 そう言って昇降口へ全力疾走する。途中人にぶつかりそうになりながらも上手い具合に躱せるのは、いつもこのようなことをしているからだろう。ゲームに出てくるモンスター追いかけられても逃げ切れる気さえもしてくる。


  そして、乱雑(らんざつ)に靴に履き替え、駐輪場の自転車にバックを投げ込み、風をきって帰り道にある書店の二階ゲーム売り場に駆け込み、ビッグタイトルなだけに残り一つになっていたパッケージを掴み、レジの店員の(のろ)さにもどかしさを感じながらも会計を済まし、エナドリを10本購入し籠城準備を整えて、家に駆け込みゲームを起動させたのがもう3日前。


 今日はすでに日曜日、それも太陽はもう山の向こうに落ちようとしている。


「終わったぁ…いやぁ、今回もストーリーが濃かったなぁ…」


 まだ幾分(いくぶん)かやり込み要素と呼ばれるものは残しているが、ひとまずストーリーを完遂しきった。この3日間、素晴らしく有意義に過ごせた。


 やはり人生とはかくあるべきで、幸せもまた本人が望むままにあるべきだ。金持ちだけが幸せなんて世界が終わってる。資本主義のこの国でも幸せのあり方くらいは自由でいいじゃないか?


  スマホをつけて大人気SNS、 Chatter(チャッター)を起動する。話題はすでにMMで持ちきりでトレンド入りもしている。ひとまずグループのDM「攻略前線部隊」を開く。ゲームでの最も進んでいる人たちを前線組あるいは攻略組などと呼び、サイトなどに攻略法を上げるため、あるいはタイムアタックでやっている人たちの集まりだ。102名いる。


 《拙者、現時刻をもってMM攻略しきったでござる》


 とチャットする。反応は様々だ。《早っ》と驚く人もいれば《負けたぁ…》などと挑まれてもいない勝負に勝ち、《遅ぇwまだやってたのかよw雑魚じゃんw》などと(あお)ってくる輩もいるが、この手合いはまだ終わっていない奴らに多いので無視をする。


 適当に返信をしつつ、タイムラインのヘッドラインハイライトを眺め好きな絵師の絵にいいねをつけて回る。


 素晴らしい。神絵師(かみえし)は文化財にすべきだな。


 《何も食べてないでござる。コンビニ行ってくる(ドロン)》


 などと言い残し部屋から出る。着替えも億劫(おっくう)でましてや髪型など直さず、高校生らしく薄く生えた髭も剃らずに家を出た。ゲームクリアの高揚感と水は飲んでいたがほぼ食わずのせいで力の入らない体をふらふらさせながらこの後のことを考えていた。


 なにぶん課題もなにもやってはいないし、寝てもないから寝たい。


 課題は…明日やろう…。『明日のことは明日悩めば良い。今日は今日で過ごすのだ。』たしか聖書にもそんな文言があったはずだからなんとかなるだろ。…普段は全く信じちゃあいないけどな。


 …にしても、困った時には神頼みってのはちょうどいい。悪いことが起きたら全部神様のせいにしちゃえば良いのだから。


 ひとまず適当にカップ麺2個とコーラ、ポテチを一袋、お気に入りの漫画の新刊一冊を購入し、ボテボテと立ち読みしながら家路を歩く。睡眠不足と栄養失調で目眩がした。ふらりと飛び出した車道に突如音もなく、後ろから来た何かにはねられて俺は空を舞った。アスファルトの味はしなかった。


 こんなことが起こるのもきっと神様のせいだ…。


ここまでお読みいただきありがとうございました。ここをこうしたほうがいいなどご意見をございましたらぜひコメントを残していただければ幸いです。

ありがとうございました!

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