第66話 グリフォン討伐
クラフティ達は俺がいなくなったので、好きにやっている。
その様子を分身ナンバー3が見ていた。
「名誉勇者様、宿の代金を払って下さい」
宿の従業員にそう言われてクラフティはなんと従業員を殴り飛ばした。
「俺達は真勇者だ。気分が悪い。金は払わないからな」
これ以上食い下がると斬られるとでも思ったのか宿の従業員はすごすごと引き下がった。
「スロベニー、討伐依頼はなんだ?」
「グリフォンよ」
「そんな小物、冒険者ギルドにやらせろ。民のためなんだから、ただでやってくれるだろう」
「そうね。民は奉仕しないと」
カルエル、お前も民のひとりなんだぞ。
奉仕したことがあるのか。
きっと、貴族は民とは違うと言うんだろうな。
そんなことを言ってからクラフティは冒険者ギルドに赴いた。
「ギルドマスターを出せ」
「アポは取ってありますか」
「お前、馬鹿か。真勇者を下に見ているのか」
「分かりました。伝えてきます」
しばらくして、ギルドマスターが現れた。
驚いたことにギルドマスターは分身に目をやった。
ふん、かなりできると見た。
「何用ですかな?」
「グリフォン討伐に冒険者を出せ」
「依頼か。ならば通常の手続きをするんだな」
「真勇者の頼みを断るというのか。王国の弓引く行為だ」
「では、お金は国に請求するとしよう」
「好きにしろ」
グリフォン討伐隊が組まれた。
グリフォンはAランクモンスター。
空を飛ぶので厄介だ。
冒険者達はみんなやる気がないようだ。
バリスタぐらいは必要だが、弓すら手にしてない。
やがてグリフォンが出没する地域に入った。
キェーという鳴き声が聞こえ、グリフォンが現れた。
「魔法を放て!」
クラフティの号令のもと、討伐隊は魔法を撃ち始めた。
魔法は当たらない。
空を飛ぶ生き物に当てるには、誘導弾か、速射砲みたいな物が必要。
グリフォンは羽ばたいて羽を飛ばしてきた。
羽には魔力がこもっているらしく、鋼鉄の鎧も貫いた。
「使えない奴らだ。こうやるんだよ」
グリフォンが低空飛行したところを見てクラフティがジャンプ。
グリフォンを斬った。
だが血も出なければ羽毛も飛び散らない。
「あれっ」
この行為に怒ったのかグリフォンはクラフティに狙いを定めた。
爪とくちばしの攻撃でボコボコにされるクラフティ。
攻撃が途切れてから、クラフティは四つん這いで逃げ始めた。
「撤退だ。お前らしんがりを務めろ」
クラフティは誰よりも早く逃げた。
このままだと怒ったグリフォンがやらかすに違いない。
仕方ない奴らだ。
無限死、バネに圧縮された高濃度の魔力が、回転しながら目にも止まらぬ速さで勢いよくグリフォンに伸びていく。
そしてグリフォンを包んだ。
落下するグリフォン。
落下した音を聞いてクラフティが振り返った。
そしてグリフォンの死骸に駆け寄った。
剣で突いて死んだのを確認。
「どうだ。俺の一撃を見たか。表面は傷つけずに内臓を破壊する技だ。効果が表れるまで時間が掛るんだ」
えっ、そうなの。
知らなかった。
そんなわけないよ。
グリフォンはピンピンしてただろう。
グリフォンの羽手裏剣で傷ついた冒険者達が治療している。
もちろんカルエルは治療したりしない。
「グリフォンに触るな!」
クラフティが大声を上げた。
「討伐者全員に素材の権利があるはずだが」
「お前らぜんぜん役に立ってなかった。俺が一撃で倒したんだから、素材の権利は真勇者パーティのものだ」
「くっ、抗議するぞ」
「好きにしろ」
冒険者ギルドを敵に回したな。
まあ、俺は関係ない。
クラフティ達は宿に、女と役者と子供を待たせていた。
「くっくっくっ、グリフォン討伐の金がたっぷり入ったから豪勢に行くぞ」
「ええ、ストレス発散は大事よね」
「癒し手にも癒しは必要です」
朝になり、クラフティは手紙を書いた。
そしてそれを出すと一週間、部屋にこもった。
中で何をしているのかはまあ良いだろう。
そして手紙が着いた。
それを持つと冒険者ギルドに赴いた。
「冒険者ギルドは無条件で真勇者の管理下に置かれる。大臣からの命令書だ」
おーおー、大臣はそんな命令書を出していいのかな。
いざとなったらトカゲのしっぽ切りか。
宿に帰ったクラフティ達。
「平気なの?」
スロベニーがさすがに心配になったようだ。
「平気さ。ややこしいことになったらファントムが全て被ってくれる。俺達のリーダーだからな」
えっ、そんなことを考えていたのか。
穴がありすぎだろう。
俺は既に王様に報告したぞ。
ああ、クラフティはファントムと王様の関係を知らない。
王様も俺の報告を聞いて水面下で動いているのだろうな。
こいつら、破滅一直線だな。
知ーらないっと。
こいつらに警告してやるほどお人好しじゃない。
そうそう、クラフティ達に密偵が付いたんだよな。
魔力の流れでいるのが分かる。
裏にいるのは王様かな。
噂に聞くに、王家の影だと思う。
いることは分かるが歩く時に足音を立てない。
忍び込む時も出入りする人が扉を開けた時に一緒に入る。
凄腕という以外にない。
きっと、王家の影でも精鋭だろう。
そうでなければ冒険者ギルドの密偵だな。
ギルドマスターもきっと抗議しているはず。
大臣に握りつぶされたかも知れないが。
いや、冒険者ギルドの役割は大きい。
グランドマスター辺りなら王様と伝手があるに違いない。
冒険者ギルドと王様がツーカーの関係でも驚かない。




