第108話 プリンク大儲け
ナンバー2の映像。
プリンクが商売をしている。
「魔導インクに使うモンスターの血を空売りだ」
「はい、有り金全てで保証金を積んで空売りします」
こいつ、俺が魔導インクの代替品を作ったのを察知したのか。
どこからばれた。
ことと次第によっては処罰しないといけない。
「それにしてもライドは何であんなに商品開発が上手いんだろうな」
「血筋なのでは」
「おい、お前。あんな奴と兄弟だって言いたいのか」
「いえ滅相もありません」
どこから、情報を手に入れたか喋れよ。
プリンクと店員の話は続いたが、一向にどこからその情報が漏れたのか分からない。
「それにしても、敵の情報は集めておくに限るよな」
おっ、ついに裏切り者が分かるのか。
「はい」
「コンピュータは最先端魔道具だ、テレビモニターもな。これには魔導インクがふんだんに使われている」
「そうですね」
そうだな。
早く裏切り者の名前を言え。
「これから、量産するのにモンスターの血の仕入れがゼロなるなんておかしいだろう」
あっ、モンスターの血の代替品を作ったから仕入れをストップするように言った。
犯人は俺か。
疑ってごめん。
仕入れの情報を隠すようには言ってなかった。
隠しても物が実際に動けばばれるものだ。
「プリンク様、さすが目の付け所が違いますね」
「モンスターの血の大暴落が起きるぞ」
俺が代替品を作ったと言わなければプリンクは儲からない。
だが、代替品をたくさん作ってしまったんだよな。
魔脈に電撃を発生する魔道具を取り付けて、大量生産している。
カリーナの実家のカクルド家も大量生産してる。
くっ、在庫として眠らせておくと倉庫代も掛かるし、損する一方だ。
プリンクと俺が両方損する展開は嫌だな。
チキンレースはしたくない。
仕方ない。
カクルド家に迷惑は掛けられないし、代替品を作ったことを発表するか。
プリンクを儲けさせるのは嫌だが、俺も損するのは嫌だ。
モンスターの血の代替品を発表した。
原料が魔石だと判ると、魔石の値段が高騰。
ブラックハモンスターの養殖が上手く行っているので、しばらくすると魔石の値段は落ち着いた。
「うはは、大儲けだ。バイパンヌを呼べ」
分身ナンバー2は大笑いするプリンクの姿を見ていた。
くそっ、何か釈然としない。
代替品で俺とカクルド家は儲かったのだが、プリンクも儲かったのが気にくわない。
まあ、蛇女が呼ばれればプリンクの寿命は縮まるのだろうけど。
気を取り直して、コンピュータの開発をするか。
C言語は走るようになった。
別の言語のアイデアも伝えたいが、他のプログラム言語はほとんど知らないんだよな。
この世界の人間に任せるか。
C言語があればOSも作れるだろうし。
記憶媒体だな。
記録魔石は魔力が抜けると記録がなくなってしまう。
魔力補充用の魔石を付ければ、記録時間は伸びるんだけど、どうにも使いづらい。
10年ぐらい持つ、記録媒体がほしいな。
「サマンサ先生、記録魔石の記録時間を10年ぐらいに出来ませんかね」
「何か画期的な発明がない限り無理」
「あの」
カリーナが手を上げた。
「何かアイデアがあるの? どんなアイデアでも笑わないから言ってみて」
「コンピュータに使う魔力回路って、魔法で描いているのですよね。記録するなら、魔法で魔力回路を描き替えたらどうです」
うん、目からウロコ。
書かれた魔力回路じたいが記録。
魔導インクを変形させて魔力回路を描くわけだが、繰り返し変形するには、インクとか台紙とか工夫しなければいけない。
でもアイデア的にはありだ。
「素晴らしい。カリーナ、素晴らしいよ」
「変形する魔力回路ですか。台紙ではなくて粘土みたいな物に魔導インクを練りこんだら良いですね」
「うん、粘土なら繰り返し変形できる」
粘土だと水分が飛ばないように、密閉しないとだな。
まあ、粘土ではなくてもあんな感じなら良い。
素材は研究者が勝手に試して作るだろう。
サマンサ先生の手によって、瞬く間に100文字ぐらいが記録できる試作品が完成した。
それはクレイメモリーと名付けられた。
問題点はあるだろうけど、一歩を踏み出せたというのが大きい。
「考えたのですけど。粘土でなく粉にしませんか」
サマンサ先生がそんなことを言い始めた。
「粉だと水分の問題はなくなるけど、衝撃を与えたら粉が飛び散ってしまう」
「粉の粒を作る時に、魔導インクと鉄を混ぜれば良いんです。あとは磁石で粉が飛び散らないようにする」
まあ、ハードディスクなんかは衝撃には弱い。
そう考えるとありだな。
粘土式と粉式の2パターンで開発を進めれば良いか。
クレイメモリーとパウダーメモリーができた。
考えたら、魔力回路を描いている魔道具をそのまま流用すれば、ワンライトの記録媒体ができるな。
このワンライトの魔道具は、魔導インクと金属の台紙と魔道具のセットだ。
DVDとかブルーレイみたいに簡単にはいかない。
プリンターでDVDを作っているような感じになる。
赤いのでレッドレイと名付けた。
まあ良いか。
最初は大きくて高そうだな。
でもそのうち値段が下がるさ。
コンピュータの一式が大銀貨4枚ぐらいになるのが理想だ。
そうなる日も遠くないんだろうな。




