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「今のは――なんだ?」


「えーと、教えて偉い人たち」


 小金井が自分の力に呆然となっている最中、桜庭さくらば叶恵かなえがコメント欄に所見を求めていた。


――コメント――


『今のってスキルじゃない?』


『あー、魔力を消費して使うやつか』


『スキルって未だに習得方法がよく分かってないんじゃなかった? かなちんに引き続き小金ニキも有能やな』



「小金君! 多分今の、スキルって奴みたいだよ!」


「え、マジ!?」


「スキル……小金騎士が」


 ――魔力、そしてスキル。

 シーカーたちが摂取する魔結晶からは、魔力という未知のエネルギーが得られる。このエネルギーは電力などの別のエネルギーにも変換でき、魔結晶が高値で売却できる理由である。


 現代のクリーンエネルギーの話はさておき……


 スキルとはシーカーが何らかのきっかけで使える特定の技のようなものだ。


 強い覚悟、心に根付く劣等感、他者への執着や想い。これらがスキルの種として育ち、かつ体内の魔力が規定値以上に達するとスキル発現となるのが、現在もっとも有力な説である。


 スキルは多種多様にあるものの、必ずスキルが発現するとは限らない。そして、シーカーの数だけスキルは存在するといわれている。


 小金井の場合は、挑発効果のある叫び――"ウォークライ"。タンク職に発現しやすいと言われる優秀な挑発スキルだ。


 どんな状況であっても、敵対している存在の視線と意識を奪う。知能のレベルによって影響度は違うが、多くのモンスターには効果が抜群で、最低でも十秒ほどは発動者を狙い続ける。それがウォークライ。


 明良を狙っていた天使たちが、皆一斉に小金騎士に向かっていく。それを見た小金騎士が、叶恵から離れて敵を引き付け始めた。自分の役割(ロールがなにかようやくはっきりしたのだ。


 小金騎士は叶恵に視線で合図を送り、大声で叫んだ。


「おっしゃあ! 遠からん者は音にも聞け! 近くば寄って目にも見よ! この小金騎士様が雑魚天使共の相手をしてやんよ!」


「ウラアアアアアッ!」


「ラアアアアアア!」


 県に殺気を漲らせて突進する天使。矢じりを引き絞って小金騎士を狙い定める天使弓兵。それらを小金騎士一人で全て受けきることは到底不可能だろう。


 だが――


「僕から目を離すとはいい度胸だなキモ天使ども」


 小金騎士を襲おうとする天使弓兵の陣に突っ込んで、明良がメチャクチャに荒していく。斬り落とし、切り刻み、切り捨てる。その所業ときたらシリアルキラーのようであった。


 そしてもう一人。ヘイトが小金騎士に向いた瞬間、攻撃に転じた者がいた。


 空間が歪んでいるような発声とともに深淵言語アビスペルが紡がれる。深淵からの使者を召喚する為の祝詞。人に許された禍々しき奇跡の力、深淵魔法アビスマギ



来たれ(リ・ラェ)深淵から(リ・レ・ラァ)使者(リリァ)踊れ(ロ・ロェ)炎獄(レ・ロゥ)子らよ(ロ・ラォ)――――『ファイアダンス(ルァリラ・ラ・ル)』!」


 第6階層『不死軍駐屯地』で披露してみせた魔法と同じなのは、呪文を詠唱し始めた段階で、明良にも小金騎士にも不思議と理解できた。


燃やせ(ロ・ラェ)



 



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