和洋折衷ロリが強すぎる
短いですがキリが良かったのでこれで1話。
決死の思いで相手をしてた敵が、なすすべもなく消し飛ばされて巨大な魔結晶とドロップアイテムに変わっていく。
希少種『連盟魚』の成れの果て。
圧倒的な光の砲撃の前には、魚の群れなどまさしく雑魚に等しかった。
――和洋折衷ロリが強すぎる。
それが忌憚なき明良の感想だった。
「スッキリしたー。なんか話をするのに邪魔だったから消しといたよ。もしかして余計なお世話だったー?」
和風ゴスロリ童女は、明良の側までてくてくと歩いてきてそう聞いてきた。
「いや、助かった。ありがとう」
あのままでも逃げおおせられたかもしれないが、救助してくれた人物を無下にするほど明良は腐ってはいない。
それが面の整った美童女であろうとだ。
「そっか良かった。君がナナシだよね? ボクは蛇ノ目っていうんだーよろしくねー」
「!? え、ああ、うん。よろしく」
有無を言わさず握手されてぶんぶんと上下に振られる腕。握られたことにまったく気づかなかった。
それよりも童女、本人曰く蛇ノ目は、先程からナナシに会いに来たような素振りを見せている。
「俺に何か用なのか?」
「うーん、用っていうか……面白そうだから会いに来ただけ。みたいな?」
「はあ?」
それは理由としてくだらな過ぎるのではないだろうか。もちろん、助けてもらった手前、口には出さないが。
「ボク、君みたいに強い人が好きなんだよ。好きな人には直接合ってみたいのが人間の性ってもんでしょ?」
「まあ……」
目の前の蛇ノ目を見たあとでは、強いと言われてもピンと来ない。
「階層に見合わない頭抜けた実力。希少種相手に物怖じしない度胸。うん、ボクの思った通りだね」
蛇ノ目はニコニコしながら明良を褒めている。むず痒すぎてそろそろ皮肉の一つでもでそうだった。
「あの」
「でもそれだけだ」
「え?」
「ボクの思った以上ではなかったのが残念でならない」
「は?」
唐突に下された辛辣な評価は、明良の余裕を崩すのには充分だった。
まさかあれだけ褒め称えられて奈落のどん底に突き落としてくるとは、罵倒が特技の明良も度肝を抜かれた思いだ。
「じゃ、ボクは帰るから。後片付けよろしくね。そこの魔結晶とかはナナシにあげるよ」
今までに見たことないソフトボール大の魔結晶をゴミと言い捨てて、蛇ノ目は地下階段の方に引き返していった。
「えぇ?」
思わず疑問のぼやきが出てしまうほどには理解不能な人物だった。
とりあえず地下階段で待つ仁と叶恵のところまで追いつく。
「なんか助かったんだけど、何あれ? 自分のこと蛇ノ目って言ってたけど」
明良の質問に反応したのは叶恵だった。「蛇ノ目!?」と弾けたように顔をあげる。
「蛇ノ目はトップクラスのシーカーの一人よ。シーカーランキングの序列6位。使う武器とシーカーネームから『番傘』の蛇ノ目って言われてるの」
「ろっ……!?」
ランカーだとは薄々感づいていたが、一桁台の大物だとは思わなかった。
コメント欄を開くとこちらもお祭り騒ぎであった。
『蛇ノ目初めて見たwお人形みたいだったなw』
『なんだよあの傘、あんなのチートやwww』
『まあ先行組の一人ですしおすし……』
先行組。ダンジョン黎明期において率先してダンジョンダイフに挑み、深層を開拓していった者たちのことだ。
――ん? てことはつまり見た目より年食ってるのか?
「もしかしてロリババa……いや何でもない」
『ほぼ言っててワロタ』
『ナナシよ、そこには触れてはならぬのじゃ』
『消されるw消されるw』
明良が悪口を行ったところで何かするとは思えなかった。それは蛇ノ目を間近で見て、会話をした当事者だからそう感じたのかもしれない。
――アレは多分、興味の対象以外どうでもいいタイプだ。
そして常日頃から頭のネジが一本どころじゃなく飛んでいる。
「ところで蛇ノ目ってLvいくつ?」
「それくらいランキング見れば直ぐにわかるでしょ?」
叶恵の言う通り、シーカーランキングには登録したシーカーネームとシーカーLvが表示される。今誰が一番深層に潜っているかが直ぐに分かる仕組みなのだ。シカ地下に帰還すれば、すぐにでも蛇ノ目のLvはわかるだろう。
それでも今知りたそうにウズウズしている明良を見て、仕方なくスマホで検索しようとすると、すでにコメントで答えが出ていた。
『蛇ノ目はシーカーLv46だよ』
『ソロでね』
明良たちの目が点になったのは言うまでもない。




