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Demon's Blood  作者: ette
5/5

一粒のぶどう


「それで、アイン君は何でこんな所にいるの?森の中は危ないよ?」

レリィさんが聞いてくる。

でも、わからない。

ここにいるのだって、昔からだし。

森の中は危ない、の?


「アイン君靴は?親は?」


靴?親?

外なんて出たことないから靴なんて必要ないし、親なんていない。

親・・・


「・・・・・」

僕が何もしゃべらないでいると、


「おい。」

ガトーさんがしゃべった!!


ガトーさんは強面だから少し怖い。

ちらっ と見てみると、

??鞄を漁ってる。


「食べろ。」

そう言って何か取り出した。


「・・・・・」

いいにおい。

甘酸っぱいにおいがする。

見たこともない食べ物。

僕は毎日パンと豆スープあと肉を一口、後は研究員の残飯しか食べたことがない。


確かに腹が減っている。

でも、危険だ。

ほんとにあれは食べれるのか。

毒が入っているかも。

そもそも、なんでこんなに優しくしてくれているんだ。

と、警戒する。


「ぶどうじゃない。いつ採ったのよ。私もも~らい。」

とレリィさんが喜んで一粒とっていく。


あっ。

・・・おいしそう。


「お前も食え。ロイス達ももうすぐ戻って来る。」

とガトーさん。


そういえば、

「・・・(じー)」


「・・・ロイスならあの研究所にまた入っていった。危険もないから詳しく調査しなおすんだ。」


どうやらわかってくれたらしい。

そう言ってガトーさんも、ぶどう・・・とやらを一粒食べた。


「はい、どうぞ。おいしいわよ。」

レリィさんが一粒渡してくれた。


危険かもしれない。

でも、こんなに優しくしてくれたのは初めてだ。

お腹も減った。


意を決して一粒口に入れる。

途端。ぷちっと皮を突き破り、甘酸っぱい味が口いっぱいに広がる。


おいしい。


こんなにおいしい食べ物は初めてだ。

おいしい。おいしい。

止まらなくなる。


「くすくすっ、そんなに急がなくてもちゃんとあるわよ。」

レリィさんが笑って言った。

そして、沢山とってくれた。

ガトーさんもまた鞄をあさっている。


優しい人たちだな。

おいしいな。


気付くと目が熱くなっていた。

目から涙があふれてくる。

こんな気持ちで泣くのは初めてだ。

今日は初めてがたくさんだ。





レリィとガトーは少年を温かい目で見ていた。


ロイスに聞いて訳アリなのはわかっていた。

少年が寝ているとき、もし魔人だったら殺さなくてはいけないかもと思っていた。

でも、起きてみると杞憂だったことがすぐわかった。

この子は色々わかりやすかった。無口で無表情なのに、その分、目が沢山語っている。

始め、ガトーを怖がっていたことも、ロイスという名が出てきたら不思議そうに周りを見回してみたりして。多分、初めて見たのだろうぶどうを、好奇心に満ちた目で見て、でもそれと同時に警戒して。一口食べて目を輝かせ、沢山食べている姿は本当にただの子供だ。


でも、まさか泣くとは思わなかった。

泣きながら、それでもおいしそうに食べている。

私もガトーも何にも言えなかった。

この子について何にも知らないけど。同情してしまった。

かわいそうに。

今まで辛かったんだね。

努めて明るい顔を作り、優しく話しかけてやるしか今はできない。

そんなことしかできない自分が少し歯がゆい。

でも、たった一粒のぶどうで喜んでもらえたと思うと少し救われる気がする。






そして、ぶどうを食べ始めて少しの時間が経ち、アインが反応した。

食べるのを止めて、研究所の方を向く。


ガトーとレリィがどうしたのだろう?と思ってすぐ、理由がわかった。

金髪に緑色の目をしたなかなかのイケメン、ロイスが怒気をまとわせ、そして、水色の髪、水色の目をした見るからに優しそうな男の人が沈痛な表情で出てきた。


「あっ、おかえり。・・・どうしたの?」

とレリィ。


ロイスは僕の顔を見たとたんに怒気を消して

「おっ、起きたか!・・・おい、レリィ。なに子供泣かせてんだよ。」

と、言った。


「な!?ちっ、違うわよ!!それより、ロイス!あんた、この子の眼、どこが赤いのよ!!いらん心配しちゃったじゃない。」


「え??でも、あの時・・・あれぇ??」

と顔を近づけてくる。


「このきれいな青い目の!!どこが!!赤なのよ!?」

と、レリィさんが後ろから僕の顔を両手ではさんでくる。


「いや、でもあの時は確かに・・・」


「まだ、言い逃れするの!?」



・・・なにこれ、どういう状況?


「まぁまぁ、少年が困ってますよ。」

水色青年がロイスの前に割り込んで「おいっ!」 僕の真正面に来る。


「私はスネアと言います。あなたは?」

えっと・・・


「アイン。」


「そうですか。よろしくお願いします。アイン君。」

「お前、アインて言うのか。よろしくな。血もきれいに拭いてもらってるみたいだし。よかったな。」


ロイスさんに言われて今気づいた。

両手に、顔についていた血が無くなってる。

レリィさんやガトーさんを見ると、「そこの川でね。きれいになったでしょ。」とのことだ。

「髪がぼさぼさに伸びてるし、かわいい顔してたから最初は女の子かと思ったわ。」

とレリィさん。


「俺も最初はどっちかわかんなかったぜ。」

とロイス。


つまり、男だとわかるものを見られたというわけか・・・

「髪も後で切ってあげるね。」



「・・・そろそろ本題に入りませんか?」

呆れ交じりにスネアさんが言った。

「少し、重い話になりますからね。果物でも食べながら話しましょうか。」


「いいの?結構まじめな話になるんでしょ?」


「まぁ、いいじゃねぇか。アインもまだ食べたいだろ?」


「・・・(こくん)」


「アイン君にも少し話を聞かせてもらう必要がありますからね。」



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