契約。
なんと、そこから現れたのはしなやかな肉体をもった豹でした。本当に肉食獣いたんだ。なんて呑気なことを考えている場合ではなかった。ココからどうやって逃げようか。そう考えていると、その豹は私に気付いたようで、一歩ずつのっそりと近づいてきた。
近づいてきて初めてわかるその大きさ。大人など軽々と乗っけてしまいそうなおおきさ。びっくりだ。私など一口で食べてしまえるのだろう。まぁ、食べられてやる気はないが。
『おまえ、こんなところでなにしてるんだ?』
はい。こえがきこえました。目の前の豹から。倒れていいですか?気絶してもいいでしょうか?
しなやかな体に、艶がある真っ黒な毛皮、全身混じりけのない黒なのにその瞳は優しい白色、しゃべらなければただの綺麗で大きな豹が、しゃべったことで普通ではなくなりました。
あれ?てことは、話したら食べないでいてくれるかな?でも、その前に…
「触っていーい?」
みなさん、お忘れかもしれませんが私は動物が大好きです。余談だけど、私は動物と武器などが大っ好きです。え?武器なんて初耳?それはそうでしょ。いってないもん。だって武器ってめっちゃかっこいいの!作り方使い方なんでも知ってます!はぁ、ほれぼれしちゃう。
あ。いまはそれよりこの豹!大きくだきごこちがよさそうだし、艶のある毛皮もきっときもちいいはずッ!
黒豹さんは一瞬驚いたような顔をしたがしゃがんでくれだ。
これは、さわっていいってことだよね?いいんだよね?
そろそろ私の我慢も限界なのでがばッと抱きついた。最初はびっくりしたけど、危なくなさそうだしいっか。いざとなったら首にひも付けてつれて帰るか。
『・・・・・お前は、我が怖くないか?』
わしゃわしゃ撫でているとおそるおそるという感じできいてくる。
怖い?怖いッていうかでかいだろ。
「こわくないけどびっくりしたッ!」
それを聞いて安心したのかふっと体の力を抜いた。
『そうか。・・・・・我は月獣だ。人に会うのは500年ぶりだ。』
月獣?聞いたことないな。珍しいのかな?500年てもうおじいちゃんじゃないの?
頭のなかでいろいろ気になることが増えていくので一つずつ潰すことにした。
「げっじゆうっていっぱいいるの?まず、げっじゆうってなまえなの?」
色々きになるが先ずはこの二つから聞いとく。
てか、このこ欲しいなぁ。家で一緒にくらせないかな。
『ちがう。月獣は私たちの種族名だ。・・・・・・大体のものは死んでしまって我が最後の生き残りだ…』
真っ黒な体にさらにくらい影がさしたように見え、私はなぜかぎゅっと抱きついた手に力をいれた。
すると月獣ははっとしたかおでこちらを振り向いた。
さみしんだね。前では親友と呼べるような人もいなくほぼ一人を楽しんでいた私だけど、この子はさみしかったんだね。んー。一人が嫌だなんて今の私にはあまり理解できないけど、いつか理解できるかな?
まず・・・・
「じゃー、フィーがお名前つけてもいーい?」
名前をつけないとね!
やさしく呼びかけると嬉しいそうに顔をひとなめした。
「んー、じゃあ……ネージュでどーかな?」
ネージュは三回ほど呟いてまた私の顔をひとなめした。
『いい名だ。・・・・ありがとう。』
改めてお礼を言われると照れるな。まぁ、ここまでは序の口。ここからが本題だ。
「ねーね。ネージュ。」いつも兄達にお願い事をするときのように困った顔をしてネージュを見上げる。
『なんだ?』
キョトンとしている顔がかわいらしい。やっぱり、このこ欲しいなぁ。
「私、ネージュがほしい。」
そう言うとと私の体がふっと浮いた。え?っと思ったらネージュに服をくわえてなげられたらしい。トンっと着地した場所はネージュの背中の上だった。
『我を望むか。・・・・・ならばその望みを叶えよう。・・・・・我は何時でもそなたのそばに。』
そう言うと器用に首を後ろに向け、覗きこんでいた私に触れるだけキスをする。
ん?正直いって相手が獣だからあまり気にしないが複雑だ。
しかも、なぜかへそのあたりがあつい。なんで?
周りにだれもいないのをちらっと確認して、襟元からへそのあたりをのぞみこむ。
あれ?なんか模様のようなものがある。なにこれ…
ネージュ=雪