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アリフレタ帝国物語~最強皇女様の世直し旅~  作者: 天野ハザマ


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以前短編でやりました「クズヒメクエスト」を連載用に完全リニューアルです。

応援よろしくお願いします……!

「命が惜しかったら金目のものを全部出すのね」


 白昼堂々、そんな凶悪な台詞が街と街を繋ぐ大通りで放たれる。

 言ったのは腰のあたりまで伸ばしたストレートの黄金の髪をたなびかせる、青い瞳の少女だ。

 人によってはキツい印象を与える吊り目の青い瞳は慈悲など一切感じさせない光を宿していて、シャープな身体も合わせれば、いわゆる「性格の悪そうな」風にも見える。

 着ている服も布の服にズボンと非常に簡素だが……見る者が見れば素材が非常に良いことに気付くだろう。

 値段がどうというわけではなく、耐久性に優れた素材で作られているのだ。

 しかし一番特徴的なのは、そんな簡素な服装では隠しきれないくらいに少女が美しいということだろう。

 どこぞの街の一番の美女などと言われる人物を連れてきたところで敵いそうにない、そんな美少女だ。

 少なくともそこらの庶民ではないことの分かる少女が見下ろしているのは、どうやらお付きらしい青年に踏まれた男だ。

 如何にも盗賊じみた男の周囲には気絶した仲間らしき連中が倒れており、この男がリーダー……ということなのだろうか?

 対する青年のほうは、これがなんとも美形だ。

 しっかりと筋肉のついた身体を包むのは少女のそれと同じ素材に思える服と、胸部鎧。

 鞘に納めたままの剣で肩をポンポンと叩いているが、状況を見るに剣を抜くことなく盗賊どもを制圧したようだ。

 赤い髪をざんばらに切り、同じ色の丸目。多少短めにも思える眉は不機嫌な様子を隠そうともしない。

 まあ、それも当然だろう。盗賊のリーダーはこの状況でも逃げようと手足をバタバタさせているのだから。


「無駄に足掻くんじゃねえよ。やっても無駄って分かっただろうが」

「う、うるせえ! 盗賊から身ぐるみ剥ごうなんざ、なんて連中だ!」

「それが生業の連中がほざきやがるぜ」

「全くです。どうします、お嬢?」

 赤髪の男に続いてそう「お嬢」へ聞いたのは、オールバックに整えた青髪の男だ。

 こちらは赤髪に比べると線が細く、キッチリとした黒いローブを着込んでいる。

 魔法使いの証ではあるが、黒は魔法の学派である魔塔のどれにも所属していないという……まあ、野良の証明であったりもする。

 顔は赤髪の男に比べると色白で争いごとには慣れていなさそうには見えるが、こちらもまた美形だ。

 細い身体はしかし決して不健康ではなく、むしろ必要な筋肉はついていることが分かる。

 かけている細い眼鏡はキレが画青いツリ目をより鋭い印象に変え、何処か蛇のそれにも似た瞳孔が冷たい印象をも醸し出している。


「そうねえ……とりあえずスケルツォ、もう少し強めに踏んでおいて」

「おう」

「ぐえっ!」


 赤髪……スケルツォが望み通りに足の力を多少入れれば、盗賊のリーダーは「やめてくれー」と悲鳴をあげ始める。

 そんな盗賊のリーダーの正面に、お嬢は回って。その場に屈んで盗賊のリーダーの顔を覗き込む。


「あのね。あたしは別に、お金が欲しいわけじゃないの」

「じゃ、じゃあ……何なんだよ……!」

「決まってるじゃない。全部孤児院に寄付するのよ。返すのが不可能なものなんだから、せめて未来の為に使われるべきでしょ?」


 こういった盗賊が奪った金の被害者への返済は難しい。

 被害者を募ったとして、何処から何処までが本物か区別する術もない。

 ならば貰ってしまったところで盗賊退治の報酬として扱われるのだけれども。


「……は? 偽善者がもがっ」

「黙れクズが。貴様にお嬢の何が分かる」


 男の口に嵌った光の口枷が飛んできた方向には、指を向けているカクタスの姿。

 酷くイラついたその表情は「お嬢」が馬鹿にされたからなのは間違いない。


「おいおいカクタス。もう少し歌わせとけよ。こいつからアジトの場所も聞かなきゃならねえんだしよ」

「それはお嬢の心を傷つける理由にはならない」

「別に大丈夫よ? こういうの何度目だと思ってるのよ」

「いけません。見えない傷というのは本人も知らないうちにつくものです」

「いいから。スケルツォの言う通り、アジトの場所も吐かせないとなんだから」

「……はい」

 嫌そうに、本当に仕方なさそうにカクタスが指を鳴らせば、光の口枷が消えて。


「チクショウ、覚えてろよ! お前ら、次に見つけたら絶対に復讐してやるからな!」

「ああ?」

「は?」

「ヒッ……」


 とんでもない殺気を込めた視線に盗賊のリーダーは脅えたように言葉に詰まる。

 言わなければそんな目で見られたりもしないだろうに、どうして言ってしまうのか……というのは、言うだけ無駄ではあるのだろうけど。

 いや、そんな殺気と呆れの入り混じった感情による隙を生み出すことまで計算だったのかもしれない。


(緩んだ……今だ!)


 そう信じて男はスケルツォの足元から抜け出すべく力を全力で込めて。


「あ、あれ?」

「ああ、今の挑発して抜け出そうってアレか。出来ねえよ。俺がそんな半端すると思ってんなら心外だぜ」


 しかし、抜け出せない。まるで杭で地面に打ち付けられたかのように動かないのだ。


「お嬢が言っただろ? お前に出来るのはアジトの場所を吐くことだけだよ」

「あたしはスケルツォに同調しただけでしょ?」

「分かり合えてるってことだよ。そうだろ?」

「んー……そうかも?」

「妄言です、お嬢。あんなのに流されてはいけません」

「んだとコラ」

「黙れ」


 今にもケンカを始めそうな中で、此処に居る4人のどれとも違う声が響いて。

 黒装束を纏い覆面までつけた男がお嬢の影からニュッと現れたのだ。

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