1話、懐かしい響き
外に出るとむっとした空気が体を包み、病院で冷えた体が数秒で台無しになってしまった。
ギラギラと刺す太陽に頭痛がして、目を細める。
確か今日は40℃近くまで上がると言っていたな。
病院から出た俺は、いつも通りスーパーに寄り、惣菜を買って帰った。
玄関の扉を開けると、元気よく短足の犬が出迎える。
「ただいまハル」
短い尻尾を一生懸命振るその姿に頬が緩んだ。
くしゃくしゃと首の辺りを撫で回してやる。
ペタンと座って気持ちよさそうに目を細めている。
少しすると飽きたのか、そそくさと自分の寝床まで帰っていった。
ハルのためにつけていたクーラーのおかげで部屋は涼しく、俺は靴を脱ぎ、すぐにソファーに倒れ込んだ。
時計は4時を指していた。
外から聞こえてくる蝉の声と、クーラーのゴーゴーという音、そして、自分の心臓の音が嫌に耳に鳴り響いていた。
ブー、ブー
メールの着信音が鳴り響き、体を起こす。
机の上に手を伸ばし、手に取って確認する。
酒井京吾
サカイ、たしかキョウゴと読んだはず。高校時代の友人だ。
ここ数年会っていなかったせいか、随分と懐かしい名前に感じる。
メールには簡潔に「開いてる日、飲みに行かないか」と、書かれていた。
「いいよ、いつにする?」と返事を送ると、少し間をおいて、スケジュール表が送られてきた。
自分自身の空いている日と照らし合わせ、四日後を提案した。
携帯を持ったまま、横になり、枕に顔をうずめる。
気温のせいか、ひどく疲れている。すぐに瞼が重くなり、それに身を任せて目を閉じた。
酒井京吾 16時22分
宛先:西城康介
件名:水田も来るから、よろしく。




