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あの子と秘密組織と世界の真理とストーカー  作者: 呂目呂
第二章 あの子とストーカー
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4.もうガンガンいくしかなくね?

 俺はキリカさんにこっぴどく叱られた。

 二ノ瀬香乃葉さんとの接触は固く禁じられていたから。

 数時間ネチネチと説教をされ、彼女に対する機密事項についての説明を受けた。それは、俺が今後彼女と接する許可が渋々だが降りたという事だ。

「鮫島からの報告では、まあ不可抗力だったそうですし、好都合な面もありますから、特別に今回の件は不問にします」

 いや、もう充分叱られたんだけどな。

 好都合というのは、夜間のジョギング時に俺が付きっきりで彼女を守れるからだ。

「あなたモテ期来てるんじゃない? ルナさんに、香乃葉様。それに公園で変質者と連絡先を交換したんですって? 良い傾向ですよ」

 なぜモテ期の頭数に変質者が含まれているんだ。

 やっとキリカさんから解放され、自由を味わっている俺の前に、

「やっほ、オツカレ~」

 とルナが現れた。

 今日もご機嫌だ。いつも研修とやらが終わると俺のところへやってきて、その日の出来事やグチを話していく。

 彼女はテーブルに二人分の飲み物を置き、イスに座るや否や二ノ瀬香乃葉さんについて俺を質問責めにした。好奇心を剥き出しにしてあれこれ尋ねるルナに、俺の残った体力が削り取られてゆく。

「マジチャンスじゃね? いつコクんの? ルナ、メッチャドキドキしてんですけど!」

「なんでルナがそんなに興奮してるんだ?」

 それにとても楽しそうだ。

「だあってー、タケシがやっと、憧れの香乃葉ちゃんと話して? これから毎晩夜の公園で会う? マジやったじゃん! ルナ超嬉しいよ!」

「ただのジョギングの付き添いだよ。任務込みの。それに告白なんてしないから」

「はあ!? 何言っちゃってんの? ワケわかんない。もうガンガンいくしかなくね? 向こうから一緒に走ろうとか言ってきてんでしょ? うーわマジでスエゼン? みたいな。

 タケシ単純で、ドーテーだし、女の子からしたらチョロすぎってカンジだし、マジ狙ってきてるって。香乃葉ちゃんがムード作ってきたら、まずコクって? したらゼッテー、チューとかするじゃん? そんでさ……」

「頼むから落ち着いてくれ。ルナが言ってる事の方がわけわからないよ」

「タケシのがわかんねーっつうの! バッカじゃね? 好きなんだろ? もうマジさ、任務とかもカンケー無くね?」

「いや、だって一応組織で任務を与えられてるから、こうして彼女と接点が持ててるんだし……」

「カンケーねーっつってんだろ!」

 ガン、と下からテーブルを蹴り上げた。怒りのこもった目で俺を睨みつける。

「テメー、グジグジ言ってんじゃねーよ、ストーカー野郎。殺すよ?」

「……」

 本物の殺し屋から凄まれると、シャレにならない位怖いんだが。

「そーゆうのマジでキメえし。3年もストーカーしたらもう良くね?

 ゼッテーコクれよ? ルナ見に行くし」

「告白とかしないし、見に来るなよ。

 俺は彼女と話ができただけで夢みたいな気分なんだぜ? それに二ノ瀬さんが俺を好きになる事は絶対ありえないから、ルナが思ってるようにはならないからな?」

「ウケる、マジドーテー」

 さっきから童貞とかうるさいよ、ほっといて欲しい。

「その香乃葉ちゃんさ、ルナ一回しか見た時なくて、よく知らないし。けど、話聞いてるとミエミエってゆうか。マジ誘ってるし」

 どんな頭の構造してんだよ。俺の話聞いて、どうしてそう思えるのか理解できない。

「だからルナ、研修終わったら香乃葉ちゃん見に行くし。したらどんな子かわかって、タケシにアドバイス? できるし」

「……なんでルナは、他人の恋愛にそこまで情熱を注げるの?」

「てかタケシ、マジ頭わりーし。決まってんじゃん?」

 ルナは唇をすぼめて眉をしかめる。相変わらずルナの言動は要領を得ない。

「つーか、ルナの任務って、香乃葉ちゃんの警護だから」

「は?」

「タケシがストーキングしてる時とか、車で待機してピンチの時だけ助ける? みたいカンジで。ルナ尾行とかできないし、けど人殺すの得意で、テキザイテキショ? とかキリカさん言ってた」

 二ノ瀬香乃葉さんとジョギングしてる間もルナに見張られるのか……。後で何を言われるかわからないな。

「あとルナ、前居た組織に狙われてんじゃん? だからタケシと組んでたら安全? 的な」

「申し訳ないけど、俺は二ノ瀬さんに関する事以外はただのボンクラだぜ? ルナが襲われても助けられないよ?」

 そう言った途端ルナはテーブルをバンバン叩いて笑い出した。

「はっきり言い過ぎ! マジウケる! タケシがルナより弱えの、前の組織の奴ら知らねーし。タケシと居ればビビるし、いんじゃね?」

 話しながらも、ルナは何がおかしいのか笑い続けていた。

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