第28話 そして冒険へ
小夜とシルヴィは再び、目的地向けて進路を進めながらしばらく会えなくなるシルヴィと最後の雑談をしなざら歩を進める。
魔法の訓練を毎日怠らないこと。できるだけ人を助けること。良くしてもらったら感謝を忘れないこと。大きな壁にぶつかってくじけそうな時は周りをみて一人で抱え込まず誰かに助けてもらうこと。
きっとそれは小夜のこれからの冒険の中で実際に体験することであり、旅を続ける上で大切なことであった。
「大丈夫ですよ。シルヴィさん私はきっと色んなことを経験して必ずここに帰ってきますから!」
小夜は振り返り笑顔で云った。
「シルヴィ…その呼び方」
逆光でほんの一瞬だが、彼女の背が伸び、幼かった顔は美しく勇ましい女性の大人に視えた。
「どうしたんですか?イオンさん?」
「いえ、なんでも」
シルヴィは少しの間驚いた表情を見せたが、すぐにいつもの表情で答え再び歩き出す。
門の前では数十名の警備兵が小夜を見送るために来ていた。
「嬢ちゃん達者でな。時々故郷のユ○バにも手紙出したりしてやれよ」
あの時の兵士の姿もありその言葉が思い出させた。
「あ…はい…ユ○バに手紙書きます」
(実際手紙なんて書く人いるのかなあ?)
すると、一人のベテラン兵士がこちらに近寄ってくる。
「いやぁ、以前は手荒なマネしてしまって済まなかったねぇ。まさか、転移者で世界復興の旅する冒険者だったとは…」
「いや…あの時は、私もそんなことになるとは思ってなかったですし、こちらも身分証明書と学生証間違っちゃったりして恥ずかしかったですしすみませんでした」
小夜は少し恥ずかしがりながら呟く。
「では私の見送りはここまでです」
そうゆうとシルヴィは足を止め小夜に答える。小夜は一瞬寂しそうな顔を浮かべたが、すぐに笑顔で答えた。
「じゃあ、いってきます。イオンさん、本当にありがとうございました。必ずこの世界を救ってきますね」
小夜は笑顔で答えるも少しだけ目元に光るものが見える。
「ええ、ご武運を」
シルヴィは優しく微笑み小夜を見送る。
そして彼女は初めてこの国から一歩を踏み出した。
カンカンカンカンカン
「魔物の軍勢が攻めてきたぞ!!住民を早く中に入れて門を閉めろ!!」
へ?
遠くの方から地、空と無数の魔物が迫っていた。
「いきなり、詰みそうなんですけど」
小夜は第一歩を踏み外した。
「じゃあ小夜殿出発しようか!その前にまずはここを片付けなきゃだけどね!」
小夜の横には金髪碧眼のキラキラした笑顔を向ける男が立っていた。
「ブライトさんっ!?まさか一緒に来る仲間ってブライトさんだったんですかッッ!?お城の警備はどうするんですか!?」
小夜はこの状況のこともあってか驚きふためき質問する。
「ははっ!その事なら大丈夫!僕を送り出すかわりに昨日付で各地にいた他の隊長達を収集してね!僕がいなくてもこの国は大丈夫!!それに世界を救う旅に出るからにはそれなりに役に立つ剣が必要だろう?」
小夜は唖然としながら聞いていたが、途中からなんだかおかしくなり笑い出す。
「なんですか!それ(笑)まあいいです!じゃあお望み通り剣として今から戦って下さいね!」
グエンはコクリと頷き、旅のために国王陛下から預かったこの国最強の剣と伝えられる宝剣を力強く抜く。その剣は刀身が紅くなっており、メラメラとしたオーラまで見える、マナを宿す剣だった。
敵は目の前まで迫っており、小夜はそれを目視すると目標に狙いを定め手を広げ攻撃の準備をする。
小夜は冒険者になって一発目の魔法を放った。
初級魔法 ブレイズショット




