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スピリット  作者: 猿飛
信念
99/102

ラーム教1-3

青年はラーム国に帰郷し、またいつもの生活に戻る。動物を狩り、それを食べ、売り物にする皮革をこしらえる。青年は孤独だった。今となっては家族も居ない。集落はあるが殆ど顔を出さず山に籠もっている。そんな生活を続けてこの一生を終えるのだ。


欲望は人間を蝕む。人間だから欲望があると言われるが、そんなの動物全てにあるだろう。腹が減っては獲物を狩る。それを他の動物がまた狩る。自然の摂理だ。ベッドの上で人生悔いなく終わる生命は人間しか居ない。それを求めるのが人間なのだ。より豊かな人生を過ごそうともがき苦しむ。追い求めるが故に思わぬ苦難に見舞われる。いや、自分からその未来に向かっているのだ。その事を受け入れられずに過去に因われる。記憶とは厄介で邪魔な機能なのだ。それを美化したがる。より美しい思い出となるよう塗り変える。そもそもそんな物を追い求めなければ生き長らえるのに。


20日後、再び青年はアーク国を訪れた。この日も盛況で用意した商品は全て売れた。また、あの宿に泊まろうと思ったので荷物をまとめて街を歩いた。

宿に着くと主人は青年の事を覚えていた。前回はそそくさと部屋を出てしまったので、あまり休めた気がしなかった。今回はゆっくりと過ごそうと決め、部屋に入る。

ベッドで横になり、うとうとしているとガシャガシャと騒音を立てながら誰かが廊下を歩くのが聞こえた。察するに四、五人は居そうだ。音が止まったと思うと青年の居る部屋のドアを叩いた。

「失礼。我々はアーク国護衛隊の者だ。あなたに伺いたい事があるのだが、少々よろしいか」

青年は無言で部屋のドアを開けた。やはり五人、鎧を纏った兵士がドアの前に立っていた。

「ご協力感謝する。先日、この通りで殺人事件がありましてな。どうにも目撃証言が取れずに途方に暮れております。何かご存知ないか」

青年は何も知らないと告げた。

「そういや、旅のお方とお見受けするが、どちらから?ラーム国ですか?」

そうですが、と青年は答える。

「なるほど。アーク国へは何をしに?」

青年は皮革の切れ端を取り出し護衛兵に見せた。これを売りに来たんだと言いながら。

すると護衛兵の目付きが変わった。仲間内でひそひそと何かを確認している。

「夜分に申し訳ないがご同行願いたい。その皮革を持ってね」

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