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スピリット  作者: 猿飛
信念
102/102

ラーム教1-6

青年は牢の隣にあった倉庫から幾つか武器になりそうな物を見繕った。階段を上がり、鉄扉を開けると廊下に出た。左は廊下が続き幾つかの部屋がありそうだ。右は少し行ったところの正面に扉があり、急いで出て行ったのか開きっぱなしだ。その向こうは建物の外に通じている。まだ陽が昇っていそうだ。廊下に窓は無く外からは見えない。そして兵士達の気配も感じられないがいつ何処から現れるか建物の構造も分からない状況では予測も出来ない。ひとまず外に出るか…いや、左にある幾つかの部屋を物色してからでもいいだろう。兵士の制服や鎧があれば変装出来る。さすがに倉庫にはその類は保管されていなかった。


青年は廊下を左に進み一番手前にあった部屋のドアをゆっくりと開ける。人気は無い。中に入るとベッドが二つ横並びで置いてあり、必要最低限の家具しかなかった。恐らく見張りの休憩室のようだ。見る場所もあまり無い程でここには役立つ品物は無かった。ゆっくりと廊下に戻り次の部屋の扉を開ける。この部屋は机と椅子が三セット置かれているだけで他は何も無い。諦めて次へ移る。

廊下を挟んだ向かいの部屋へ入ると、面積は広いが壁に沿ってびっしりと棚が備えられていた。ここは更衣室か、よし。棚に置かれた木箱を一つずつ漁り制服を探す。殆ど兵士の私服が詰められているだけで制服らしい物が見つからない。国の情勢も相まって皆駆り出されているのだろう。非番の奴は居ないのか。探し続けていると入口から対角線上の隅に木箱が重なっているのが見えた。幾つか下ろすと制服が入っていた。しめた。余り物の制服が何サイズかに分かれて保管されている。自分に合いそうな物を取り出し着替えた。だが、武装もしていない兵士は怪しすぎる。武器と武具もあれば完璧なのだが。


その後も幾つか部屋を物色したが鎧などは見つからなかった。鍵の掛かっている部屋も幾つかあった。恐らくその何処かに保管されているのだろう。青年は仕方なく先程の出口へ向かう。その時、外から一人の兵士が戻ってきた。

「おい、お前。ここで何してる」

まずい…見つかってしまった。

「鎧も付けずに何をしていると聞いているんだ。答えろ!」

「あ、い、いやぁ。腹の調子が悪くて用を足していたらいつの間にか誰もいなくなってしまって…何やら捕虜が逃げ出したとか?私もすぐ支度しようとしたのですがドアの鍵を閉められてしまって…」

「とんだ間抜け野郎だな、この一大事に。今開けてやるからちょっと待ってろ」

そう言うと兵士は一度外に出て別の兵士を連れてきた。鍵番なのだろう。更衣室の向かいにある部屋の扉の鍵を開けた。

「さっさとしてくれ。鍵を閉めて私も早く捜索に戻らないと」

「すまない。ところで敷地内には居ないのかい?その捕虜は」

「居たとしても"城内"じゃないだろうな。今は他の建物や庭なんかを調べてる。隣の図書館か備蓄用の蔵か。まぁあんだけ拷問されてんだ。逃げ回る体力もないだろうよ。すぐ見つかるさ」

その兵士は鼻で笑いながらヘラヘラしていて外の様子をチラチラ気にしていた。青年は部屋の入口付近で立ち止まりこう言う。

「そりゃあ良かった。あんたが来てくれて助かったよ」

「礼はいいからさっさと支度してくれよ」

「あぁ。だが"片付け"なきゃいけないものもあるんだ」

「片付け?何呑気なこと言ってんだよ。さっさと済ましてくれよ」


「お前と一緒にするな」


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