表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『卑弥呼プラン:邪馬台国の希望 3人の隠密スペシャリスト〜魏・呉・天竺から世界最強の文明をリバースエンジニアリングせよ〜』  作者: あっちゅ寝太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
56/57

3話:【起動】―― 邪馬台国OS、千年へのアップデート (プランの完遂。列島の未来の確定)

いつも応援ありがとうございます。他3作品、およびエッセイ・俳句への温かいご声援にも心より感謝いたします。

本作は、3世紀の邪馬台国と大陸をひとつの「巨大な回路図」と捉え、歴史の謎を現代のエンジニアリング視点で論理的に解き明かす、異色の知略サバイバル戦記です。

【本作の基本プロトコル】

亜那 阿知寝あちね:大陸の数理を解析する天才アーキテクト。

与太彦よたひこ:現場主義を貫く、泥臭くも凄腕のフィールドエンジニア。

卑弥呼ひめみこ:国の未来を演算し続ける「大和OS」の設計者。

神話やロマンの裏に隠された、古代の「技術者たち」の命懸けのデバッグ作業。

後半に向けて物語の演算速度(クロック周波数)はさらに加速します。彼らが辿り着く「究極の暗号」の結末を、どうぞ最後まで見届けてください!

第十一章 第3話:偽装の幾何学 ── 台風と盗掘への「解答」

 卑弥呼の亡骸を収める場所を求めて、二人は日田の盆地を見下ろす険しいみねに立っていた。そこは、地図にも記されぬ断崖であり、常に激しい上昇気流が渦巻く「空の結界」であった。

「……与太。ここを墓所とするのか。日田の盆地でも、博多の平野でもなく」

 阿知寝あちねの問いに、与太彦は不敵な笑みを浮かべ、泥に汚れた設計図を広げた。

「旦那、九州の空は、数年に一度はすべてを押し流す『荒ぶる風(台風)』が通りやす。教科書通りの立派な墳丘なんて造ってみなせえ。百年もすれば土が痩せ、千年経ちゃあ暴かれちまう。俺たちが造るのは、権威を示すための『山』じゃねえ。時を止めるための『遮蔽物シールド』でげす」

 与太彦が指し示した図面には、一見すると不自然なほど複雑な「溝」の網目が描かれていた。

「水の流れを逆算しやした。土石流が起きるたびに、むしろ土が厚く積み重なるように『逆流の溝』を掘っておいたんでさ。風が吹けば吹くほど、雨が降れば降るほど、山が墓を隠し、守る仕掛け……。自然という名の自動メンテナンスシステムですよ」

 阿知寝はその幾何学的な溝の配置を見て、目を見開いた。

 それは天竺で学んだ「フラクタル」の概念に近い。不規則に見える自然の崩壊さえも、計算された「入力」として利用し、墓所を地中深くへと埋没させ続ける設計。

「……なるほど。破壊を利用して永続を得るか。だが、与太彦。自然は欺けても、後世の『人間』の欲は欺けまい。いつか、この場所を特定する者が出る」

「分かってらぁ。だからこそ、この墓には『物理的暗号』を仕込みやした」

 与太彦は図面をめくり、断面図を指した。

「金目のもんや鏡、魏の法典の写し……。泥棒が欲しがるような『デコイ』は、一番目立つ場所に置いておきやす。だが、そこを一口ひとくちでも掘ってみなせえ。絶妙なバランスで支えてる砂のプラグが外れ、入り口は永遠に埋没する。欲に目がくらんだ連中がそこを『本尊』だと思い込んでいる間に、仕掛けは完結するんです」

「……では、本尊は」

「そのさらに三丈(約九メートル)下。地質学的に『空洞』と認識されねぇ特殊な岩盤の隙間で、女王様には眠ってもらいやす。……そこには金属器メタルの一片も置かねぇ。ただ、阿知寝の旦那が持ち帰った、あの茜色の絹に包まれてな」

 阿知寝は静かに感嘆の息をついた。

 後世、どれほど探知技術が発達しようとも、岩盤と同化したその「隙間」を見つけることは叶うまい。そこには反射すべきデータも、観測すべき空洞も存在しないのだから。

「……完璧だ、与太彦。貴様の土木は、すでに神の領域プロトコルに触れている」

「へへ、旦那の数理があったからこそですよ。……さあ、始めやしょうぜ。歴史を欺く、最後の大工事だ」

 二人のエンジニアは、自分たちの主を「無」へと還すために、最後の手を動かし始めた。

 九州の山々を吹き抜ける冬の嵐が、彼らの作業を隠すように、乳白色の霧をさらに深く、重く立ち込めていった。


最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。

本作『卑弥呼プラン』は、いよいよ7月10日をもちまして、全57話の幕を閉じることとなりました。天才アーキテクトたちの命懸けのデバッグ作業の結末を、どうぞ最後まで見届けていただけますと幸いです。

さて、本作のような「徹底したロジックと生存戦略」を描いた歴史ドラマがお好きな皆様へ、すでに全八章で完結しているこちらの作品をご案内いたします。

■ 完結済『泥田と田楽 桶狭間』(全八章)

絶望的な兵力差を覆すため、織田信長が放ったのは「音」と「情報の刺客」でした。

諸国を放浪し、京の知恵と堺の富をその脳髄に蓄積(データベース化)した男・秀吉と、「機能美」を追求する魔王・信長。

幼少期に共有した「泥の記憶」を基盤に、二人の天才が交わったとき、桶狭間の豪雨さえも、緻密な観測と情報網センサーによって手繰り寄せた必然の勝機へと変貌します。

過酷な泥土を生き抜くための「野生の合理性」と、土地に根ざした「物流の理」。精神論や根性論を排し、全く新しい視点で信長と秀吉の戦いを再定義した、知略サバイバル戦記です。

合言葉は、「川の深さは?」「赤味噌の濃さよ」。

『卑弥呼プラン』の熱量のままに駆け抜けられる一気読みに最適な一作ですので、ぜひこちらもURLから戦場を覗いてみてください!

https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/3147505/


いつもお読みいただき、本当にありがとうございます。全57話の物語も、いよいよ残すところあとわずかとなりました。

本作では「邪馬台国」「遣魏使」という大きな歴史のうねりの中に、呉・洛陽・天竺という3つのルートを同時に進行させる試みに挑戦しています。現代の知恵であるAIの力も借りながら資料を集め、時系列を編み込んできましたが、国境も文化も異なる3つの物語を一つの結節点へと収束させる作業は、想像以上に険しい道のりでした。

何分にも俄物書きの身ゆえ、時系列の重なりや描写に万が一不整合な点が生じておりましたら、ひとえに私の力不足です。どうか寛大な心でお許しいただければ幸いです。

張り巡らされた知略の糸が、どのような未来を形作るのか。最後までお付き合いいただけますと嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ