表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『卑弥呼プラン:邪馬台国の希望 3人の隠密スペシャリスト〜魏・呉・天竺から世界最強の文明をリバースエンジニアリングせよ〜』  作者: あっちゅ寝太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
47/57

5話:【衝突】―― 外圧という名の負荷テスト (大陸からの追撃と、朝鮮半島勢力との最終決戦)

第九章:【かん】 ── ことわりの追走と対馬の「絶対境界」

第5話:絶対境界 ── 対馬での同期

 朝鮮半島の南端、狗邪韓国くやかんこく

 天竺からの北方の荒野を、阿知寝の「演算」による限界速度で駆け抜けた八十八騎。そのひづめが最後に叩いたのは、冬の凍てつく海岸の砂であった。

「……間に合ったか」

 阿知寝はラクダから飛び降り、水平線を睨んだ。

 彼らがこの数ヶ月で走破した距離は、常人の想像を絶する。だが、すべては計算通りだ。第2話で先行発信した「医学パッチ」が、卑弥呼を帯方郡たいほうぐんで数週間留まらせ、体力を回復させつつ、阿知寝との「合流待ち」をさせるためのバッファ(時間稼ぎ)として機能していたのだ。

 目の前には、白く牙を剥く冬の玄界灘。

 魏の使節船団は、この異常な暴風雨に足止めを食らっている。しかし、阿知寝には分かっていた。この嵐のノイズこそが、魏の追手を振り切り、邪馬台国が自律するための「壁」になることを。

 対馬、鰐浦わにうら

 水平線の彼方、暗雲を切り裂くように、規則正しい明滅が放たれている。与太彦が命を懸けて維持し続けている、倭国の「クロック信号」だ。

「与太彦の光……。そして、あの巨大な質量は女王さまの船団か」

 阿知寝は懐から、天竺で授かった「零」の演算盤を取り出した。

 天竺の数理でパルスを計り、荒波の周期を数式へと置換していく。今、彼の脳内では、大陸側を駆け抜けた「知」と、列島側で帰還を待つ「意志」が、対馬という境界線インターフェースを介して、一分一秒の狂いもなく同期シンクロし始めた。

「船を出せ! 狙うは光の一点のみ!」

 八十八名の精鋭が、海岸に隠していた快速船に飛び乗る。

 阿知寝は船首に立ち、「零」に基づいた舵取りを叫んだ。

「左三十度、波の谷間を『無』として抜けろ! この嵐には規則性アルゴリズムがある。ノイズに惑わされるな。光の信号だけを信じろ!」

 その時、対馬からの光が一段と強く輝いた。

 荒波の向こうから、卑弥呼が乗る魏の快速船の影が浮上する。

 

 大陸を一周し、世界のことわりを書き換えるコードを手に入れた阿知寝。

 そして、魏の権威をその身に纏い、邪馬台国を次なるフェーズへ進めようとする卑弥呼。

 二つの巨大な情報の塊が、対馬の海上でついに衝突するように合流した。

「……女王さま、お迎えに上がりました。これより『大和OS』の最終アップデートを開始します」

 荒れ狂う海上で、船と船が接舷される。阿知寝の手が、卑弥呼の冷え切った手に、天竺の「零」と「医学」を繋ぐために伸ばされた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ