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雨のち晴れ  作者: ありり
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俺のその後

数ヶ月が過ぎた。


季節はゆっくりと変わり、街の空気も少し柔らいできている。


最近の出来事といえば——


相馬と佐川が結婚した。


式はしないらしい。


「今さら恥ずかしいですから」


佐川はそう言っていた。


相馬も苦笑していた。


「会長、どうかその話は……」


だが、俺は言った。


「写真くらい撮れ」


二人とも渋い顔をしていたが、


「記念になる」


「あとで後悔するぞ」


そう何度も言った。


最近、二人とも少し前向きになっているらしい。


佐川がこの前言っていた。


「夫も少し考えておられるようです」


まあ、いい。


二人のことだ。


きっと落ち着いた、いい写真になるだろう。


それから。


結からは、たまに写真が送られてくる。


スマホに通知が来る。


開くと、北海道の景色。


広い空。


牧場。


大学のキャンパス。


そして。


結の笑顔。


「……元気そうだな」


思わず声に出る。


一人で笑っている自分に気づく。


結はちゃんとやっている。


あいつは、もう大丈夫だ。


そして俺は——


引っ越した。


長年住んでいた、あのマンション。


思い出が詰まった場所。


結が生まれて。


妻と暮らして。


いろんなことがあった家。


離れるのは少し迷った。


だが。


節目だと思った。


新しい生活。


新しい時間。


最初は1LDKにするつもりだった。


一人だし。


猫もいるとはいえ、それで十分だと思っていた。


だが。


荷物を整理していて気づいた。


妻の思い出の品が多すぎる。


写真。


小物。


服。


いろいろ。


「……無理だな」


結局。


2LDKになった。


もう一部屋はほとんど物置みたいなものだが。


それでも。


捨てる気にはなれなかった。


それに——


「おい」


ソファの上の猫を見る。


「ニャー」


虎柄の猫。


名前はトラ。


そのままだ。


「ひねりも何もない」


だが、呼びやすい。


トラは気に入っているらしい。


新しい部屋を見渡す。


前よりは少し狭い。


だが。


十分だ。


場所も、以前住んでいたところとほとんど変わらない。


ただ一つ。


違うことがある。


妻が眠る寺に、少し近くなった。


「……まあ」


悪くない。


窓の外を見る。


トラが足元に来る。


「なあ」


頭を撫でる。


「どこか行くか」


旅行。


ふと思う。


北海道。


結のいる場所。


あいつの暮らしている街を見てみるのもいい。


それとも。


家族で行った場所。


白川郷。


結が三歳の時。


妻が計画した誕生日旅行。


あるいは。


妻と二人で出かけた場所。


海。


温泉。


いろいろある。


「……」


人生は続く。


ゆっくりと。


それでいい。


トラがまた鳴いた。


「ニャー」


俺は笑った。


「まずは」


窓の外を見る。


「どこに行くか、決めるか」


静かな部屋に、午後の光が差し込んでいた。


明日は晴れるだろうか。

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