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【VTuber】猫乃わん太 through Unmemory World Online【ぬいぐるみ系】  作者: 水城みつは
第二章 正式サービス開始!

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第63話 紅葉狩り4

「兄さん、危ないやろ。見境なく襲ってくるなんてどこの蛮族かと思うたわ」

 へたり込んでいたトレントさんが落ち葉や土を払いながら立ち上がった。


「ごめんなさいわん。てっきり新種の樹木系モンスターかと思ったわん」

 伐採する気まんまんで飛びかかったので返す言葉もない。


▽[これはわん太が悪いな]

∪[ところで、樹木系の種族なのかな?]

◯[良く見ると着物っぽい服を着てる]


「ふむ、そちらはここらに住んでいる猫妖精ケットシー犬妖精クーシーですかな。改めまして樹妖精もみじん秋人あきんどと申します」


商人あきんどってことは何か面白いものを売ってたりするわん?」

 そういえば大きいリュックを背負っている。


「いや、確かに商人あきんどやけど、今のは名前が秋の人で秋人あきんどや。まあ、気に入ったのがあれば買うていって」

 秋人あきんどさんは背中のリュックを降ろして中から色々と取り出し始めた。


∪[酒や! 酒があるじゃないか! 栗のお酒?]

▽[前回の花見イベントの時のアイテムもあるぞ]

∈[家具や雑貨もあるのにゃ。って商人NPCはこっちにもいるのかにゃ?]


「ワイの一族はあちこちに散らばって活動してるさかいに見かけたら買うたってや。ほら、その凶暴なわんこも買えるだけ買ってや」


「ボクも悪かったけど凶暴って失礼だわん。お詫びも兼ねて、とりあえず買い物をするけど……」


 ところ狭しと並べられているのは紅葉狩りイベント限定アイテムに前回の花見イベントのアイテム。

 基本的に他では買えないアイテムばかりだ。


「で、何を買うてくれるんや? ちっとは負けてやらんでもないが」


「じゃあ、全部買うわん!」


「……はぁっ?! 全部ってなんやねん、全部って!」

 あきんどさんの髪の毛っぽい葉っぱが赤くなる。


「全部っていったら全部わん。そこに並んでるアイテム全部買うわん」


◯[札束《MP》で殴っていくスタイルw]

▽[わん太のやつは実際、金《MP》持ってるからなぁ]

∈[富豪ムーブ羨ましすぎにゃ]


「ほら、やっぱりイベント限定アイテムはコンプリートしとかないとね」

 あきんどさんとのトレード画面にオーケーを出す。


「まじか……。お大尽なわんこ様だったとは思いませんで……これからもよろしゅう頼んます」

 途端にあきんどさんの腰が低くなった。


「ちなみに、ボクは猫乃わん太。ぬいぐるみ系VTuberだわん」

 くるっと回ってポーズを取った。


「はい、わん太様ですね。猫乃わん太……」

 名前を復唱したあきんどさんの顔がこわばる。


「もしかして、新しくここらへんの王様となった、猫乃わん太様だったりします?」


「よくご存知ですね。わん太様はこの島『わん太王国』の王様です」

「うむ、わん太殿がここら一帯を治めておられる。この森を抜けた先の町やパウリの街などもわん太殿が新しく造られたのですぞ」

 シルヴィアさんとゴルディさんの言葉にあきんどさんの葉っぱがみるみるしおれてゆく。


「あのー、もしかしてワイ、無礼伐ちとかで伐採されたりします?」


◎[わん太様に逆らったからなぁ]

∪[うんうん、王様に結構横柄な態度だったから伐採あるかも]

◯[島の主だし、大金持ちだし]


「いや、みんな、伐採なんてしないわん! あきんどさんもそんなに怯えないで!」

 リスナーが調子に乗って悪ふざけをするから、あきんどさんが震えてしまっている。


「そうそう、優しい王様ですから。おかけで私達も町を造って定住するようになったんですよ」

「うむ。わん太殿に怯えなくても大丈夫ですぞ。ところで、お主はなぜこんなところにおったのだ?」

 そう、それが気になっていた。ここは道も通っていない森の中だ。


◎[今回のイベント用NPCは森の中にいるとか?]

◆[アンメモってNPCらしいNPCはいないぞ。いつの間にか増えてはいるがイベント専用で配置されることは多分ない]

∈[そうそう、いわゆるゲームのNPCと思ってると大変なことになるにゃ]


「伐採されないんなら良かったです。いや、ワイもこない森の中で迷うことになるとは思っても見なかったんや……」


 どうやら、あきんどさんは東の森を抜けた先の小さな漁村から西へ、つまり、ボクたちの街の方へ商売をしに来ようとしていたらしい。


「海側からは森へ続く道があったんだ」

 平原側からは海側へ続く道は見つかっていない。猫妖精ケットシー等ここらをテリトリーとしていた皆も東側への道は知らなかったらしいのでだいぶ古いものかもしれない。


「確かに舗装されてはおったけど、かなり古い街道やったな。そう思うと何で残っていたのかも不思議なぐらいや」


「ダンジョン化している可能性もありますな」

「ダンジョン?! って、あのダンジョン?」

 これまでいくつかダンジョンに入ったけど、森がダンジョンになっているのは聞いたことがない。


「なにもダンジョンは洞窟や地下だけにできるものではありませんの。遺跡型のダンジョンと同じように、すでにある森や平原などもダンジョン化する場合もあります」


◯[言われてみると、迷いの森とかお約束だよね。あれはダンジョンかも]

∈[アンメモにこれまでないタイプのダンジョンかもしれないにゃ。調査よろしくにゃ!]

∪[すでに紅葉狩りどうなった状態なのがウケルw]


「まあ、モミノッキーは充分すぎるぐらい狩ったし、イベントアイテムもゲットできたからダンジョン探索に……って言うと思ったら大間違いわん!」


❤〚わん?〛

∈[え?! 行かないかのにゃ?]

◎[ダンジョン探索!……お預け?]


「あきんどさんを置いて行くわけにもいかないし、今回は軽く様子見のつもりで来てるからね。そんなわけで、今日はここまで。また日を改めて東の森ダンジョン(仮)調査にはいくわん。それではばいばいわ~ん!」


◯[ばいばいわーん!]

▽[またなー]

∈[ちゃんと調査するにゃー!]


―― 本日の配信は終了しました……




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