第14話 魔力操作
「ピークニック、ピクニック。川沿いは空気もおいしくて気持ちがいいね」
拾った枝をふりふりしながら、川沿いに緩やかな山道を登っていく。思ったより大きい川で水量も多い。反対側に渡るのは難しそうだ。
◎[ほんとにピクニックみたい。魔物もいないね]
◆[川沿いで見晴らしも良いし、わざわざ山からはでてこないか]
△〚川に魔物はいないの? ほら、ワニとか〛
「えっ!」
思わず川から離れる。考えてなかったけど、確かに水の中に魔物がいてもおかしくはない。恐る恐る川を覗き込むが、透き通った川は底まで見通せた。
「魚はいるっぽいけど……、あ、ヘビみたいなのがいたわん。魔物ではなさそうかな」
細長くて、少しくすんだ金色っぽい背中が見えた。
◇〚うなぎ……?〛
∈[おおー、捕まえるのにゃ]
▽[確かにうなぎっぽいな、これはつかまえるしかないだろ]
リスナーのみんなが捕まえる気満々だ。捕獲できれば食べられ……食べられよね?
「捕まえてもいいけど、どうやって捕まえたら良いわん?」
△〚罠かな、うなぎ筒だっけ?〛
◎[普通に釣るとか]
▽[網で一網打尽]
◯[何か良い魔法とか持ってたりしない?]
「魔法! どうやったら使えるの?」
魔法スキルは持っていない。というか、魔法の話はこれまで聞いたこともなかったけど、もしかしてアップデートで追加されたとか?
◆[使えるようになるだろうとは言われてるが、まだ使えたプレイヤーはいない、と思う]
∈[第二陣で選べるようになった魔人が『魔力操作』のスキルを最初から持っているのにゃ。そこから魔法スキルが生えるんじゃないかと予想されてるにゃ]
▽[魔人以外での『魔力操作』スキルの取得方法もまだ不明]
『魔力操作』スキルか……。そう言えば、花見イベントのランクイン報酬でもらったスキルチケットがあった。あれで取得できないかな? とりあえず、スキルパネルを開いてっと――
「ふぁっ!」
❤〚どうしたの?〛
◯[何かあった?]
「……『魔力操作』スキルが生えてる」
まだ有効化されていないが、スキルパネルに『魔力操作』が表示されていた。アンメモでは六角形で構成されたスキルパネルによってスキルが管理されている。新しくスキルが登録可能となる場合、良く使用していたスキルに隣接する形で選択可能なスキルが表示され、これを俗にスキルが生えると呼んでいる。
∈[にゃ、にゃ、にゃんのスキルから派生したのにゃ!]
◆[こらこら、スキルを聞くのはマナー違反だぞ]
「別に秘密にすることもないから良いけど、『浮遊』スキルから派生しているね。単独で外側に位置してるから間違いないと思うわん」
二周目に『浮遊』スキルだけに隣接している。これは『浮遊』スキルから単独で派生したので間違いない。
◆[『浮遊』って、あの浮くだけのく……役に立たないって言われてたスキル?]
∈[え、わん太あの糞スキル持ってたのかにゃ!]
◆[糞スキル言うな!]
『浮遊』は1メートル程浮き上がることのできるスキルだ。特にそれ以外の用途もないと言われており、取ったプレイヤーも早々に破棄して違うスキルに変更していた。
「ふっふっふ、君たちは『浮遊』スキルくんの真の実力を知らないのだよ」
そう、ボクの『浮遊』スキルは凄いのである。それをリスナーのみんなに教えるしかない。
◎[ナ、ナンダッテー]
∈[浮くだけじゃないのかにゃ]
「浮くだけで動けないこの『浮遊』スキルを検証に検証を重ねた結果、常時3mm浮いて歩けるパッシプな固有スキルに変化したのです!」
ドヤ側でリスナーに『浮遊』スキルくんの真の実力を披露する。
◆[え、固有スキルって?]
∈[固有スキルもだけど、変化ってなんなのにゃ!]
◎[3mm浮くって、それはそれで微妙な……]
微妙って、靴を履いていないボクにとっては非常に重要なポイントなのです……




