表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

63/383

38.息子、娘がダダをこねて仕事に行けない【後編】



 冒険者としての仕事をしにいこうとしたリュージ。


 だが娘が行くなと引き留めてきた。


 玄関先にて。


 しばらくドッタンバッタン大騒ぎ(簡易表現)したのち。


 ルコがつかれたのか……ぜえはあ……と息を切らして、おとなしくなった。


「ふう……ようやく静まりかえりましたね。さ、りゅー君。今のうちに。ルコの面倒はお母さんにお任せあれ」


 どんっ、とカルマが自分の胸を手で叩く。

 その顔は恍惚の表情だ。「今の最高に娘を持つ息子の母っぽいのぉおおお…………」


 母の言葉を聞いて、ルコがピクンッ、と体を大きく振るわせた。


「やぁ……」


 ごおぉおおおおおおお、と先ほどよりも大きな魔力が、ルコの体内から放出し出す。

「母さん!」


「ん? あ、やべ」


 母も危険を察知したのか、「変身っ!」

邪竜の姿に変化して、【とう!】


 と家の中で邪竜となった母が、そのまま真上に飛ぶ。


 ばごおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!


 と音を立てて、家の天井を破壊し、母が空高く舞い上がる。


 リュージたちには、母がかけた無属性魔法【結界バリア】に包まれていた。


 母が飛んでいった天井を、見やる。


「やーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」


 どっっごぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!


 遥か上空にて。


 青い炎の、爆発が起きていた。


 それは先ほど、母を吹っ飛ばしたものより、何十倍も破壊力のある爆発だった。


 びりびり……と地上にいるリュージたちの鼓膜を振るわせる。


「か、かーーーーーーーーさーーーーーーーーーーーー」「ただいまー」「ーーーーーーん、お、おかえり……」


 母は何ごともなかったかのように、すちゃっ、とリュージたちの前に着地する。


「あ、壊れてますね。なおしときます。ていや」


 母が万物創造スキルを発動。


 壊れた天井が元通りになる。


 一方でルコはというと。


 今の爆発で、魔力を使い果たしたのだろう。


 カルマの胸の中で、すやすや……と眠っているではないか。


 リュージたちはその場でへたり込む。


「さ、りゅー君、シーラ。ルコが寝ている今がチャンスです。お仕事にいってください」


 ふぁいとっ、とカルマがリュージたちに、明るい笑顔を向ける。


 ふらふら……とリュージたちは立ち上がる。


「母さん……。その……ごめんね」


 申し訳なかった。とんでもない子供を、リュージは生んでしまったことに対して。


 だが母はきょとん、と首をかしげている。

「何を謝っているのですか?」


「だって……僕のせいで……」


「りゅー君のせい?」


 リュージは今さっき思ったことを、母に伝える。


「何をバカなことをおっしゃりますか。息子に娘ができて喜ばない母はいませんよ」


 にっこり笑って、カルマがリュージの頭を撫でる。


「それに元気があっていいじゃないですか。こんなのかわいいものです」


 確かにハイパー無敵な母にとっては、大悪魔なんてかわいいものだろう。


「お母さんは息子に娘ができてとても嬉しいです。家族ができてとても幸せです。だからりゅー君はお気になさらず」


 ね、とカルマが笑う。


「うん……」


 この強い母がいてくれて、本当に良かったと思うリュージ。


「さっ! おはやく」

「うん……じゃあ母さん。ルコを、よろしくね」

「はぁああああああああああああああああああ!!!!!」


 カルマが目をクワッと見開いて叫ぶ。


「りゅー君に、息子にっ! 頼られたのおおおおお! うっれしいいいいいいいいいいい!!」


 ひゃあ! と喜びの舞を踊る母に、リュージは苦笑した後。


「じゃあ、いってきます」

「はい、いってらっしゃい!」


 リュージは自分の仕事へと、、向かうのだった。

お疲れ様です!


次回もよろしくお願いします!


ではまた!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ