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冒険に、ついてこないでお母さん! 〜 超過保護な最強ドラゴンに育てられた息子、母親同伴で冒険者になる  作者: 茨木野
4章「初孫編」

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39.邪竜、孫と一緒に息子の様子を見に行く【前編】

お世話なってます!



 息子(リュージ)たちが冒険に出かけてから、1時間後。


 息子の娘、ルシファーのルコが、ぱちり……と目を覚ました。


「おや、ルコ。お目覚めですか?」


 カルマはルコを抱っこして、リビングのイスに座っていた。


 その手には【鏡】が握られており、息子の様子をばっちりと監視していたところである。


「…………ぱぱ。どこ?」


 起きてそうそう、きょろきょろと、ルコが尋ねてくる。


「お父さんはシーラとともに、お仕事に出かけましたよ」


 すると……じわり、とルコが涙を浮かべるではないか。


「うう……。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」


 ルコの目から、大量の涙が放出される。


「あ゛ーーーーーーーー! あ゛ーーーーーーーーーーーー! わーーーーーーーーーーーーーーーん!」


「どうしたのですかルコ……? よしよし」


 カルマはルコを抱きかかえて、あやすが、しかしルコは泣きまくっている。


「ぱぱーーーーーー! ぱぱーーーーーーーーーー! わーーーーーーーーーーーーーーーん!!」


 どごおおおおおおおおおおおおおん! 

 

 ばごおおおおおおおおおおおおおん!


 ずっごおおおおおおおおおおおおん!


 わめき散らしながら、ルコはカルマの体を押しのけて、息子の元へ行こうとする。


 そのたびに青い爆発(おそらく魔法かスキルかと思われる)が起きる。


「りゅー君がいなくなって悲しいのですね。わかる。その気持ち、お母さんとってもわかりますよっ!」


 結構な殺傷力の爆撃を受けているというのに、カルマは無傷だった。


 それもそのはず、カルマは神を殺した最強の邪竜。


 子供の癇癪(ばくはつ)ごときで、傷つく存在ではないのだ。


「しかしどうしたら泣き止むのでしょうか」


 どーんどーん! と爆発を起こしながら、大声でルコが泣く。


 別にカルマは平気なのだが、爆発のたび、衝撃で家の家具などが吹っ飛ぶのは困る。


 吹っ飛んで壊れ、そのたびにカルマがスキルで治すのだが……。それも結構面倒だし。


 何より、孫が泣いている。それがいただけない。いけない。


「どうすれば泣き止むのでしょうか……。教えて神様(りゅーくん)」


 神様と書いて息子と読むカルマであった。

 カルマはテーブルの上に載っていた【鏡】を手に取る。


 そして鏡に映る、息子の姿に問いかける。

 すると……。


 ぴたり……。


 と、ルコが泣き止むではないか。


「ぱぱっ。ぱぱっ。ぱーぱっ」


 ルコが鏡に向かって、笑顔を向けるではないか。


「ぱーぱっ! ぱーぱっ!」


 ぺたぺた、ぺちぺち、と娘が鏡を叩く。


「ぱぱぁ……?」


 しかし次第に、ルコの顔が曇り出す。


「ぐす……。わーーーーーーーーーーーーーーーん!!」


「おやおやどうしました?」


 よいしょっ、とまた抱っこし直して、頭を撫でる。


「ぐす……。かるまぁ……。ぱぱ。むし。るぅ。かなしい……」


 すんすん、と鼻を鳴らしながら、ルコが言う。


「無視? りゅー君が……。ああ」


 と合点がいく。


「あなたこれ、映像ですよ。この中にりゅー君が入ってるわけじゃないです」


「えいぞー……?」


 なにそれ、とルコが首をかしげる。


「りゅー君たちが冒険をする姿を、遥か上空にある場所から撮影して、ここに移しているのです」


「かるま。せつめい。へた。いちみり。つたわらない」


「むぅ……難しいですね、説明って」


 ううん、と悩んだ後。


「とにかくこの鏡の中に、りゅー君たちがいるわけではないのです」


「なるほど。すべて。りかい」


 理解した後、ルコがクシャ……っと顔をしかめる。


「ぱぱぁ~……」


 ぐすぐす、と孫(ルコ)がぐずりだす。


「そんなにりゅー君が好きなのですか?」


「すき。ぱぱ。だいすき。ずっと。そば。いたい」


「ほほう」


 この孫とは、話が合いそうだった。


「わかります。その気持ち、とぉってもよくわかります」


「そーか。わかる。かるま。わかる?」


「ええ、わかりますとも。りゅー君の側に24時間、365日、片時も離れたくないというその気持ち、とってもよくわかりますとも」


「おー。かるま。はなし。わかる。いいやつ?」


 カルマを嫌っていたルコだが。


 リュージ大好き、離れたくない。


 その点において、カルマと同意見らしい。

 ふたりともウンウン、とうなずく。


「しかしですねルコ。現実問題、りゅー君には仕事があるんです。母がついて行ったら迷惑……」


 そのときだ。


 カルマの脳裏に……電流が走る。


【大義名分】という四文字が、カルマの脳裏を横切っていった。


「…………」


 ニヨニヨ、とカルマがこらえるような笑みを浮かべる。


「ルコ。どーしても、お父さんに会いに行きたいですか? 会いに行きたい! しっかたないなーーーーーー!!!」


 ルコの返事を聞く前に、カルマがとっても良い笑顔浮かべる。


「しっかたないなー! よし!」

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