第四話 体育の授業にて
「アレンくんって、勉強得意なの?」
「いや、得意かどうかはまだちょっと…」
俺は前の世界では魔法が主流だったのでこっちの科学については分からない。
ーまぁ見たことない公式ばっかりだし、こっちじゃ科学っていうのが発展してるらしいからこれはこれで面白いからな
と思うと俺は再び黒板を見る。
ーこれはもっと勉強しないとこっちの世界じゃ通じないな
俺はこれからこの世界で生きていくんだから
そう思ったのだった。
「アレンくん次は体育だから着替えて校庭な」
そう言う彼はクラスの委員長。
名前は宮本健という。
爽やかイケメン。
誰にでも優しい。
「わかったよ。ありがとう」
「気にしなくていいよ。これも僕の役目だからね」
ー責任感強いな
俺が関心する。
「それじゃあ、今日の体育はサッカーだ」
体育教師の人がそういう。
「まずはペアでパス練習、後半は試合だ!」
「アレンくん僕とペアを組もうか」
宮本くんが俺を誘ってくれた。
「あ、ありがとう」
ーよかったー誰も誘ってくれないのかと思った。とりあえず一安心だ
「それじゃいくよー」
宮本くんがボールを蹴った。
そこそこの速さのボールが迫る。
ーこれって【身体強化】使っていいのかな?
魔法が使える人間がいないって絵里さんが言ってたから使わない方がいいのかな?そもそも俺って使えるのかな?
俺はとりあえず【身体強化】は使わずにボールを返した。
「お、なかなかいいね!前の学校じゃサッカー部だったの?」
「いや、俺はサッカーは初めてだよ」
「えっ?!サッカーやったことないの?」
ーサッカーってひょっとしてこの世界じゃ有名なんだろうか?そもそもルール知らないんだけど
「サッカーのルールは知ってる?」
「ごめん、知らないんだ」
「後半は試合って言ってたから簡単に説明するけど」
そういって宮本くんが俺にルールを教えてくれた。
ーなるほどボールをゴールに決めればいいのか。細かいルールもあるみたいだけど、とりあえずはじめのうちはゴールに決めようってことか
「なるほど、わかったよ」
「アレンくんは僕と同じチームだね」
「あぁ、よろしく」
「もう試合が始まるぞ」
そういう彼はサッカー部に所属している源田元気くん。
めっちゃ元気がいい。
背がでかい。
筋肉もりもり。
角刈り。
そんなステータスだ。
「それじゃあ、頑張ろうか」
「そうだね」
ーなんかみんな気合入りすぎじゃない?
どうしてこんなに気合いが入っているかというと、普段は男女で別々に授業を受けているのだか今日は女子の授業が早く終わり男子の試合を見に来ている。
というわけである。
「おっしゃーーおめぇらいくぞぉぉーー!!!!」
「「「「「おーーーーーー」」」」」
ーす、すごい…これなら古龍でも倒せそうだ
前の世界には魔王がいたがアレンが生まれるよりずっと前に勇者と呼ばれるパーティーに倒されていた。
平和な世界となった。
そんな世界で最強だったのが古龍種だが、普段は温厚でこちらがちょっかいを出さなきゃ攻撃されない。
しかし、古龍種の素材は貴重で価値があるものだったので毎年3回程度討伐パーティーがギルドで結成され古龍を討伐していた。
が、討伐成功率は5%未満とかなり低かった。
「アレンくんパス!」
「おっおう!」
ーやばいどうしようやったことないから目立たないようにしてたのに
宮本くんがこっち見てグッとを送ってくる。
あとは任せたぞかっこいいとこ見せてやれ☆と言わんばかりの
ー変な気遣いいらないよぉーーー
心が叫んでいた。
ー任されたからには、これをゴールまで運ぶ。
【身体強化・中】
ブオヮーン
俺は一人二人と敵チームを抜いていく。
ーおっできたぞ
「お前らーーこれ以上抜かせるなーー!」
「「「まかせろー!」」」
「くっ、お前らあとはまかせ、た、ぞ」
「「「源田ーー」」」
「くそっ、臨時につき私が指揮をとる」
源田くんに変わって川崎夢透くんが指揮を取っていた。
川崎くん
身長はそんなに高くはない少なくとも源田くんよりは低い
細身だが意外にも筋肉はついている
七三に分けられた髪は崩れることを知らない
帰宅部だが放送委員に所属しているようだ
俺はその横を何事も無かったかのように通り抜ける。
「あ、あとはまかせ、た、ぞ」
デジャブ
そう言わずしてなんという。
そんな状態だった。
「最後の砦となった俺をそう簡単に抜かせるわけにはいかん」
そういう彼は郷田龍司くん
体格は源田くんと同じかそれ以上
髪は角刈りではなく坊主
サッカー部ではなく野球部
そんなステータス
後で聞いた話だと料理が得意らしい
知らんがなって感じですね。
ーこれは、一筋縄ではいかないかな仕方ない
【身体強化・強】
できた。俺でもできるんだな
俺は心を落ち着かせる。
ボールに意識を集中させる。
ボール空中に蹴りあげる。
そのまま俺も郷田くんの頭上を越え
そのまま空中でボールめがけて足を振るう。
ズバーーーーン
「き、きまった…」
俺の口からそんな言葉が漏れる。
「「「「きゃーーーー♡」」」」
女子からの黄色い声が聞こえてくる。
「アレンくん」
グッ!
宮本くんが親指を立てポーズをとる。
「アレンくん。なんだかとんでもない動きだったね。人生で初めて見たよあんなの!」
「アレンよ」
と郷田くん。
「アレンよ」
と源田くん。
「アレン殿」
と川崎くん。
「「「あれは、なしだろ!!!」」」
ーこの人たち息ぴったりだな
かくしてアレン初めてのサッカーは終わった。
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