彼女の鳴く声は~2(終)~
前回からの続きです。
頭の中で呆れつつ前を向く。
そこで、駅の階段の下に捨て猫がいることに気がついた。
おいおい、嘘だろ。
捨て猫を見るなり、足は俺の意思と関係なく猫の元へと駆け出していた。
「こんなに幼いのにどうして」
捨て猫の側にしゃがみこむ。
捨てられていた猫は二匹だった。
一匹は、まんまるで愛くるしい顔をした白い毛並みの猫。
大きな瞳で見つめられると思わず抱きしめてしまいそうになる。
もう一匹は、艶やかな黒く気品のある毛並みの黒い猫。
白い猫のほうはどことなくやさしい感じがしたが、こっちは違う。
目がすこし鋭いからなのか、クールな雰囲気をしていた。
そして両方に共通するのは、幼いということ。
生まれて、少ししたらすぐに捨てられたかのよう。
冬の寒空の下ではとてもじゃないが、生きていけないだろう。
猫がいるダンボールの箱の中には、大きめのタオルが敷いてある。
しかしこれだけでは駄目だと、俺でもわかる。
「寒いよな。ほら、これでちょっとは暖かいだろう」
首に巻いていたマフラーで白い猫を包む。
黒い猫はリュックの中にあった、買ったばかりの厚手なシャツで包んだ。
「ごめんな。家で飼ってあげたいけど出来ないんだ」
にゃあ。
か弱い、いまにも消えてしまいそうな声で白い猫が鳴いた。
家で飼う――ということも考えたが、やはり無理だ。
俺のアパートじゃ動物は禁止されている。
猫くらいなら隠せそうだが万が一見つかった場合、俺も住む場所がなくなってしまう。
それはさすがに勘弁してほしい。
だから今はその声が、感謝の声だと思いたい。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
育てる自身も無いのに捨ての子を拾うか、育てられないからとその場に見捨てるか。
やさしさって難しいですね。
それではまた、次の物語も読んでいただけるならその時お会いしましょう。




