おはよう昨日のわたし
うっすらと目を開ける。そのときに、目を開けるという意識はなくだだ自然と瞼が開くから不思議だ。これが目を覚ますということ。
枕の横に置いておいたスマホの時刻は朝の9時を記していた。パスワードを入力し、LINE を開くと恋人からのメッセージが届いていた。
今日会える?
今日は仕事が入っていなかった。少し考えて文字を打つ。
うん、会えるよ。何時?
返事を返したら、白い布団をめくって、ベッドから這い出る。昨日あったことを考えていたら天地がひっくり返ったというか、なんとも言葉にしようのない気持ちとなり落ち着かなかった。
ポコンと着信の音が鳴る。かと思ったら次にはもう電話がかかってきた。
「望?ごめん急にかけて」
「ううん、大丈夫だよ。今日会おうね」
「嬉しいよ。なかなかシフトとかでさ、会えないからね。場所はあそこ。いつもの」
「わかった。時間、11時でいい?」
「おっけ。お洒落してこいよ」
壮真は笑う。
「なにそれ。いつも頑張ってるじゃん」
望も同じように笑う。
互いに了承したので電話を切る。いつものように窓を開けて朝の風を取り込むと、いつも より柔らかい風が入り込んでくるようだった。
キッチン、キッチン、と心の中で思いつつパジャマから部屋着に急いで着替えた。 望はキッチンが大好きだった。一人暮らしを始めてから、キッチンという空間が聖域となるなんて思いもしなかった。
喜びも、悲しみも、丸ごと受け止めてくれる空間だ。 料理に凝り始めたのも実家から自立して一人で暮らし始めてからのこと。
「なんたる革命!」
料理は幸せの革命だった。




