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封縁乙女と学園の呪いたち  作者: コハレルギー
第一章 久遠女学園 女学生霊学研究会(K.G.S.)
2/30

K.G.S.と“縁”の力

 ――わたし、新倉つばさは、今日、死ぬかと思った。


 あの“鏡の部屋”で見た赤い目、歪んだ笑顔。這い寄る“わたし”たち。


 そして、最後に現れたのは、漆黒の扇子を手にした美しき先輩──大杉玲子。


 あれは夢なんかじゃない。現実だった。だからこそ、今もまだ、胸の奥がズキズキしてる。




 朝。教室にて。


「……おかしいな。玲子先輩って、ほんとにいたよね?」


 机に突っ伏してぼやくと、隣から美鈴が「いたでしょ」と呆れ声で返す。


「鏡の怪異も、あの除霊も……」


「信じられないけど、ぜんぶ、本物だったね」




 その日の午後、旧校舎のある一室では──



久遠女学園 女学生霊学研究会(K.G.S.)

縁封乙女えんふうおとめ報告書》 No.103



 依頼名:旧校舎三階・鏡の異変調査


 対象:鏡面に発生する擬態型怪異(擬似自己投影型)


 状況:深夜、複数の生徒が“鏡の自分”に襲われる報告あり。現地にて封縁乙女・大杉玲子が対応。


 対応内容:結儀式《鏡封映陣》を展開し、縁の歪みを制圧。対象の回収および封縁完了。


 備考:一般生徒二名が現場にいたが、負傷なし。怪異への感応反応強め。今後も要観察。



【玲子の個人結儀式日誌 抜粋】


 “鏡の縁”がひどく濁っていた。

 一人の霊ではなかった。感情の澱が累積した集合体。

 結儀式《鏡封映陣》にて対象を捕縛。封縁完了。


 ……目撃者がいたのは誤算。

 でも、あの子――新倉つばさは、見込みがあるかもしれない。


 ※追記:K.G.S.の名前を“秘密結社”と言われた件については、後日クラリスに抗議する予定。



【つばさの感想メモ】


『あれは本当に、鏡だったのか。

 “わたし”じゃない“わたし”が、あんなにもたくさん……。

 そして、助けにきてくれた玲子先輩。

 黒髪に月光。制服の裾が揺れて、手には黒い扇子。

 超・美しかった。映画かと思った。

 怖かったけど、でも……また会いたい。

 今度はちゃんと、お礼が言えるように。』



【K.G.S.部内補足資料:桐嶋クラリス聖蘭】


 所属:久遠女学園高等部二年/K.G.S.部長


 縁系統:神仏しんぶつえにし


 使用アイテム:十字架(銀製)※本人私物


 信仰体系:外見・言動はクリスチャン風だが、実際には仏教真言をマントラ(聖なる音)として除霊時に使用。

 宗教的整合性よりも実践的効果を優先。


 性格:外見は完璧なお嬢様だが、言動は常に“想定外”。

 計画性ゼロの発想力と、突き抜けた行動力により、部員たちからは陰で「ポンコツ女」と呼ばれることも。


 口癖:「ふふ〜ん♪」「……それって、いい感じ?」「やばい、考えてなかった☆」


 備考:信仰の整合性については、部内でもたびたび議論の的になる。



 ──そして、まだ知らない。


 わたし、つばさがこの“K.G.S.”という世界に、どっぷり関わることになるなんて。


 次の放課後――クラリス部長との、衝撃の出会いが待っているとも知らずに。


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