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オカルト科学"界"の僕と多次元魔法"海"の私  作者: 坂水 雨木
第三章、異世界海上同棲生活with星と煙と他色々。
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第三話、異常発生×3

 衝撃の事実(未確定)が発覚してしばらく。

 会話、食事、散歩とドーム内でシェラタンと行動を共にし、疲れて眠ってしまった少女を寝かせ部屋を後にした。


 時刻は既に十八時を過ぎている。雪は降り続き、日も沈み外はすっかり暗くなってしまっていた。

 音もなく歩くリィムさんの後を憑いていきながら、今後について考える。


『……』


 正直なところ、シェラタンの話は平和過ぎて何の参考にもならなかった。

 ツィヤが自動翻訳をしてくれているので、リィムさんとシェラタンの会話は完璧に聞き取れていた。――訂正、クゥレが構ってきたり遊んだりで全部は聞き取れてない。でも大体何を話していたのかはわかる。


 シェラタンの話は、ほとんどが日常的なものだった。ご飯が美味しいとか、あの人の料理は美味しい、あの人は実は料理下手とか。遊んでくれる、遊んでくれない。一緒にいて楽しい。ちょっと怖い。でも本当は一番優しい。


 そんなような、少女らしい普通な話がずっと続いていた。リィムさんの優しい声が素敵で柔らかな表情はずっと見ていたいものがあった、が。それはさておき。

 クゥレの言う"宇宙戦艦"の意味がよりわからなくなってしまった。


 ここ数日、宇宙人の少女から聞く話はほとんど変わらず日々の生活についてだった。宇宙戦争のウの字もなく、宇宙(そら)の状況はツィヤから聞いたことだけ――訂正、クゥレからの謎情報もあるにはある。


 何にせよ、今はまだ謎が謎を呼ぶ謎だらけの状況だ。

 そもそもレメイラを攻める理由って何?とか、穏健派と革命派が争っている理由って何?とか、シェラタンの正体は?とか。


 クゥレのせいで余計な謎が増えたような気もするが、クゥレは細かい説明を面倒くさがる癖があるので根掘り葉掘り聞くこともできない。聞いてる途中で面倒くさがって逃げ出して、追いかけると鬼ごっことか言って遊びだすのだ。まるっきり子供である。捕まえる瞬間に全身煙になって移動する質の悪さもあるから遊びは一生終わらない。経験者の僕が言うのだから間違いない。


 とにもかくにも、結局は情報解析をしているツィヤを待てばいいだけなのだから今は待ちでいればいい。やっぱり共星種は万能だ。ツィヤ最高。ツィヤ万歳。


『……まあ、珍しく時間かかってるけどね』


 呟き、ふよふよ浮いている菱形を見やる。

 今までと違いやけに時間がかかっているような気もするが気のせいだろう。気にしすぎるのはよくない。明日か明後日か。気長に待とうじゃないか。



 明けて翌日――。


『――ジンゴ、超高エネルギー反応を三つ(・・)感知しました』

『え?』


 "どういうこと?"という疑問の言葉は声にならなかった。

 瞬間的に霊体の身体を突き抜ける衝撃。見えない波が通り抜け、咄嗟に向けた足元ではリィムさんが椅子に座って慌てていた。あわあわと辺りを見回している。可愛い。


 地震かとも思ったが、僕の身体に影響を与えたということは違う。何よりツィヤが意味不明なことを言っていた。


『……今、三つ(・・)って言った?』

『シー。はい、言いました』

『……なるほど』

『むふふー、われが当ててやろう!』


 急に横から入ってきた甘声に面倒くさくなるが、クゥレはお子様なので無視なんてしたらもう延々と絡まれるのが目に見えている。しょうがなく顔を向け、ぱぱっと答えをもらうべく聞いてみた。


『じゃあ三つ答えよろしくね。はいさんにーいち」

『宇宙戦艦!かみさまっぽいの!かみさまっぽいのそのに!』

『ごめん、宇宙戦艦以外わからないんだけど』

『ジンゴはばかだなー』


 空中で仰向けになり態度悪く首だけ曲げて悪いことを言うので、騒がしい口を手のひらで塞いで遊ばせ、改めてとツィヤに目を向ける。


『ツィヤ。三つってどういうこと?』

『シー。順に説明しましょう』


 場所は十七都市のドーム。いつものように仕事中のリィムさんや職員の人がいる。ドーム内上空を浮遊しながら、ツィヤの丁寧な解説を聞く。


『一つ目は昨日と同じ艦隊同士の砲撃戦による余波です。純エネルギーは結界が防いだため問題ありませんが、結界外の海は大きく荒れており注意が必要です。二つ目は第十七都市より遥か西方、海上に生じたエネルギー体です。わたしの観測では超常存在の顕現が確認できました。見かけは竜です。三つ目は十七都市東方、こちらは海中ですね。海の中深くに異常なエネルギーの高まりを確認できました。多数のエネルギー体が観測されましたが、海中は探索範囲外なので姿形は見ていません』

『……ふむ』


 つまりそれは。


『端的に?』

『シー。一つ、宇宙戦艦の攻撃。二つ、神の顕現。三つ、神の顕現』

『クゥレの言ってること合ってたのか……』

『シー。はい。粒子雲霊種として感知したのだと思われます』

『んふふー、われすごいだろー。ほめていいぞ』

『はいはいすごいすごい』

『きゃふふー』


 なでりこなでりこ。

 妖精を適当にあしらって真面目な話に戻る。


『宇宙戦艦の方はいいんだけどさ、神様って何?まさかと思うけど僕が話した僕の世界の神様と同類な感じ?』

『シー。そこまではわかりません。ですが強大なエネルギーを保持していることは間違いありません』

『対処法は?』

『現段階では不明です。要観察対象です』

『わかった。ありがとう』


 どういたしましてとピカピカ光るツィヤ。

 さて……にしても、だ。


『……どうする、か』


 眼下のリィムさんは他の職員と色々話している。先の地震だか衝撃波だかわからないものの影響はあっても、神様顕現のアレコレはまだ知らないらしい。教えてあげよう。


『ツィヤ。リィムさんに説明よろしく』

『シー。わかりました』


 かくかくしかじかあれやこれや、というわけでツィヤに耳を傾けたリィムさんが何もない廊下で躓いて周りに心配されていた。可愛い。


(え、なに?なに?え?……どういうこと?)


 なんにもわかっていないリィムさんが可愛い。表面上真顔だから内心なんて読み取れるわけないけど、僕は特別な精霊だからなー。心の声聞こえちゃうんだよねー。やー困っちゃうなー。


『ツィヤツィヤ』

『シー。何でしょうか』

『ジンゴがきもちわるいかおしてるぞ』

『あれはニヤケ面というものです。そっとしておいてあげるのがよいでしょう』

『そっかー。ジンゴー、そのかお頭わるいぞ』

『暴言が直接的過ぎる……』


 クゥレの発言に現実へ引き戻されたが、それはそれとして。

 戸惑ってるリィムさんに再度の説明を行うツィヤを横目に、僕は僕で動いてみる。これでも霊体でポルターガイスト(微振動)も使えて感知能力もそこそこある精霊なのだ。


 宙を飛び、建物の屋根を突き抜けリィムさんから離れられる限界の距離まで行く。

 ツィヤの言っていた都市より東西遠くに意識を広げる。

 雪に塗れた街と海と、灰色の雲。遥か遠く、強大なエネルギー反応が――――。


『あるわけないか』


 当たり前の話だけど、ツィヤが超遠くって言ってたのに僕が感知できるわけがない。僕のふんわり察知能力なんてできて水平線、目に見える範囲程度なんだ。海の中深くはもちろん、海上でも遠かったらわかるわけがない。


 諦めてツィヤとクゥレの下に戻り、ふよふよしていたマリテュールと戯れる。ついでにクゥレとも遊んでおく。


 色々変化があって僕にできることもあるかなと思ったけれど、特に何もなかった。

 情報が得られたといっても、それも全部新しいことで既存のこと(宇宙戦艦とか)について発展があったってわけでもない。まだ待ちの時間だ。情報が錯綜して楽しそうにピカピカしているツィヤからの報告待ちである。


 リィムさんも。


(どうしようかしら。誰もわかってない、のよね。これ……。私だけ知らされても困るんだけど……。他の人に話そうにも状況わからないし、悪戯に混乱させるのもよくないわ。……本当、どうしようかしら)


 ……うん。結構困ってた。

 まあなんていうか、お互いもうちょっと情報出揃うまで待ちましょうか!

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