表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オカルト科学"界"の僕と多次元魔法"海"の私  作者: 坂水 雨木
第一章(蒼海星)、雪の季節と海上同棲生活の変化。
34/101

第二話、"レメイラ"という世界と異種族。

 レメイラという世界の、レメイラという惑星の、レメイラという国の、レメイラという都市の、街の中心部に位置するドームにて。


「本日は遠いところからお越しいただきありがとうございます」

「はい、いいえ。こちらこそお招きくださりありがとうございます」

「道中で担当の者から話があったと思いますが、私が十七都市にて他世海との外交を担当しているリィム・シィステラです。よろしくお願いします」

「はい。わたしがショレアウィネメエアトウァム……失礼しました。わたしがショトの【伝え聞く者】です。ツキとお呼びください。よろしくお願いします」

「はい、ツキさん。私の方でも耳にはしています。ショトの方は役割を個々の生と結び付けているとか」

「はい、いいえ。役割でもありますが、生という形は少し違うかと。わたしたちは生きているというより在る、というモノなので」

「あぁ、そうでしたね。失礼しました」

「はい、いいえ。構いません。わたしたちもレメイラの方のことをまだまだ知りませんので。間違えることも多いでしょう。そのための交流、外交です」

「ええ、はい。そうですね」


 日本式に直すと、レメイラ星レメイラ国レメイラ県レメイラ市となる。

 なんだこれ、絶対どこかの一つでしょ。というか、そもそも地球に世界の名前なんてあるのかな。冷静に考えると一度も聞いたことないんだけど。


 今も一度レメイラという単語が出てきた。

 タイミング的にどうなんだろう。これは相手が異種族なことを鑑みて、世界、もしくは国をレメイラと称しているのが正しいような気がする。僕の勘だと世界だね。仮定だけど、やっぱりこれからは世界をレメイラと称していこう。僕の世界名は……世界船第一宇宙第三惑星地球号……はやめておくとして、普通にアースとかで。響きがかっこいいし。


 リィムさんの世界をレメイラ。僕の世界をアースと。これで決定。


「先んじて書面でお互いの世海について伝えてあるとは思うのですが、順に話していきましょう。まずは私からレメイラのことをお伝えしますね」

「はい。よろしくお願いします」


 一年と少し越しに名前が決定したところで、リィムさんと今日初登場の謎種族との会話に参戦する。参戦といっても実際はただ見守るだけではあるんだけど。いつも通り気持ちよ。気持ち。


 今回の種族は菱形(ひしがた)をそのまま立体にして、惑星の周りを公転する衛星のような謎の光が取り巻いている無機物系生物だった。周回する光が通った後には宙空に青白いラインが敷かれ、残光から強い神秘性を感じる。


 目や口に当たる部分は存在せず、大きさは人の頭程度。

 僕の耳に聞こえる声はリィムさんの使う言語と同じで、珍しくレメイラ外の種族が言葉を合わせてきているようだった。


 基本的にリィムさんたちは魔法石を用いて翻訳魔法を使っているので、どの世界のどんな種族とも意思疎通ができている。僕も英語の勉強をしないでその魔法使えるようになりたいと思うが、人の夢は夢。儚いものである。


 菱形種族が言葉を発するに従って衛星の輝きに強弱が生じる。これが彼らの言語系に関わる何かなのかもしれない。面白い種族だ。


「――レメイラについてはこんなところでしょうか。ざっくりとではありますが成り立ちから文化までお伝えできたかと」

「はい。ありがとうございます。わたしも多くの世界を見てきましたが、これほど簡単に海道(かいどう)が開いているところは初めてです。とても興味深いです」

「ええ、はい。私たちも海道には困らされています。ただそのおかげで多くの交流が進み、技術や文化の革新が起きてきたとも言えますので……難しいものです」

「はい。なるほど……。了解しました。詳しいことは改めて後ほどお尋ねします。それよりも先にわたしたちの世界、ショトについてお伝えさせてください」

「はい、わかりました。よろしくお願いします」


 一度話が終わったのか、リィムさんが水液晶から離れる。

 そういえばこの水液晶、当たり前に受け入れていたけれど、どういう原理で出来ているのだろう。魔法石だろうか。魔法石か。


 理解できないものはすべて魔法で片付く。すごい、魔法って便利。


(ふぅ。とりあえずレメイラについて説明は終わったわね。後はショトの(かた)の話か……どうなのかしら。向こうからの資料だと情報群体として存在しているって書いてあったけれど……さすがにちょっと難解よね、ショトの人たち)


 それは僕のセリフだよ、リィムさん。

 急に新情報入れてくるじゃん。急すぎてびっくりした。ええーっと……何?どういうこと?


「わたしたちの世界は標準的な宇宙拡張型です。シィステラ様の住むレメイラもまた、わたしたちと同じと先ほど伺いました。大きく違うところと言えば、やはり深海の有無でしょう。主惑星含め、わたしたちの世界に深海は存在しませんでした」

「そうですね。わたしもショトについては事前の資料で読ませてもらいました。深海で世海間の繋がりを得たわけではなく、惑星同士が発するエネルギーの衝突で生まれた星穴(せいけつ)を利用したとか」

「はい。ショトには深海が存在せず、代わりに星穴と星脈(せいみゃく)がありました。詳しくは後ほどお伝えしますので、先にわたしたち、共星種(きょうせいしゅ)の成り立ちをお話します」


 落ち着こうか、僕。

 現状わかっていることを整理していこう。


 一、今日は謎種族との対談日。

 二、謎種族は情報群体と呼ばれているらしい。

 三、ショト、がおそらく謎種族の世界名。


 情報群体、というのはきっと形式的な略称であって、正式なものじゃないだろう。僕ら人間で言う、ヒト、のようなもの。ただまあ、そこからでもわかるものは多い。


 情報群体。群体はもともと一体の生物が分裂して増えたもので、個体の概念がなく群れそのものが一体の生物……という解釈であっているはず。つまり、この菱形種族はここにいる一人だけでなく、他の場所にいるたくさんの仲間と意識を共有している、とかかな。


 情報と付くぐらいだから、意識よりは本当に情報なのかもしれない。常に仲間同士で情報伝達を行っていて記憶を共有している、と。だから本質的には群体で、でも個々で行動するからには一定の自意識もあった方がいいとかで、記憶は共有しているけど自我は薄くとも確立しているよ、という感じでどうだろう。


 前にそんな生物が出てくるSF小説読んだんだよね。意外と的を射ている説あるよ、これ。


「――という形で、わたしたちは星脈のエネルギーと巨大隕石の無数の破片から生じました。わたしたちの星に高度知的生命体は存在せず、また長期間に渡り発生することもありませんでした」

「なるほど……。レメイラに人間種がいるのと比較して、ショトにはツキさんたち、共星種がいると」

「はい。ショトでは宇宙全域を回ってもわたしたちの他に高度知的獲得体はいませんでした。今後はわかりませんが、現状ではショトにおいて共星種のみが明確に思考を示して他世界へ向けて活動しています」

(共星種か……。私たちと違って宇宙に目を向けて、しかも全域を巡れるほどの技術はあるわけよね。一応高い技術があるって聞いてはいたけど、自立的に他世海へ干渉できるほどの種族は初めてかもしれないわね。……まあ、私たちも深海由来の技術とか使ってアレコレしたら宇宙全域くらいぴょいってできるらしいけど)


 むむむ、と難しい顔で話を続けるリィムさん。

 再び超情報を放り込まれて僕は混乱している。


 えー。なんだっけ。

 世界名ショトで、生き物としては情報群体で、正式名称が共星種。宇宙全域掌握済み、しかも他世界に干渉できるレベルの技術力持ちと。


 リィムさんたちの方は薄々察してたけど、頑張れば宇宙全域ぴょいっとできるんだ。……ぴょいっとってどういうこと?


「多くの世海を巡っている間に海道に通じる世海を見つけたんですね」

「はい。海道を通りレメイラには繋がりました。まさか世界間の繋がりがあのような形で存在するとは思いもよらず、一度ショトにある海の底、深海も隈無く探したほどです」

「その結果、ショトには私たちの言う"深海"がなかったということですね」

「はい。未だ深海の謎は解けず、深まるばかりです。興味深いです」

『リィムさーん。ぴょいっとってどういうことですか?教えてくださいよー』


 何もなし、と。


 しかしなんだろう。地球とは結構な技術格差があるもんだね。地球人類的に少々のショックはある。けど……うん、僕の知る怪異もたぶんショトの人たちとかレメイラの人たち並みにやばい代物だとは思う。


 冷静に考えて科学力と怪異のなんやかんやを組み合わせたら凄まじいことになりそうだし、単純な比較はできなさそう。


 神様とかね。もうね。僕の理解の範疇を超えているよ。


『はぁぁ……僕もリィムさんたちの会話聞けるようになったらなぁ』


 溜め息を一つこぼし、小難しい話を続ける二人の会話を右から左へ聞き流す。たまに流れてくるリィムさんの心の声を深く考えることはやめた。すごく疲れるから。


 ぼんやりと空中をふわふわ浮遊し、ポルターガイストで遊んでいると時間は瞬く間に過ぎていく。

 気づけばお昼を過ぎ、夕方を迎え、夜になった。外は一日中雪だったので夕日は見られなかった。


 リィムさんと共星種の人の話は終わり、菱形さんはふよふよ浮かびながら別の場所へ移動していった。来賓の方が寝泊まりする場所に向かったのだろう。

 後ろ姿(前後が僕には見分けつかないが)を見送っている途中、何やら彼もしくは彼女の持つ衛星が弱く点滅していた。


 案内役の人と会話するにしても、今日見てきた光り方とは違って気になる。


『リィムさん。ちょっと見てきますね』


 一声かけてその場を離れる。

 反応がないのは当然として、ある程度の距離なら彼女から離れられるので共星種の人を追う。


 ドーム内の会議室を出て、広い通路を進むと共星種の人の背中にはすぐ追いつけた。リィムさん的に言うならぴょいって。


『どうも共星種の方。僕の名前は石海甚伍。ワールドアース、太陽系第三惑星地球出身の人間さ。今は訳あってリィムさんに霊体として取り憑いているけど、本当は肉体があるんだ。謎の技術があるならポルターガイストについて詳しかったりしない?』


 くるくる回りながら念力で星を振りまいて(気分だけ)軽薄に語りかける。

 もちろん反応などあるはずもなくて、いつも通りやれやれと首を振って――。


『――ノプス、ピリノプス』


 ……なんて?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ