33話目
あけましておめでとうございます。
更新ペースに関しては・・・まぁその、頑張ります。
クーネとカッツはギルドへと向かっていた。
その道すがら、カッツのネィルたちに対する感情を和らげようと、話せる範囲ではあるが説明をしていた。
だが、それは逆にネィルたちとの関係を勘ぐられる事となる。
「そもそもさ、何でクーネはあの二人をそこまで信用できるのさ?平気と思いたいけどやっぱりどこかで騙してるんじゃないかって考えちゃうんだよ。」
「気持ちはわかるけど・・・。でもほら、考えてみてよ。ネィルがその気になればそれこそこの国一つ無くすくらい簡単に出来るんだよ?
それほどの力があるのにわざわざ私たち程度を騙す必要も無いじゃない?そう考えると機嫌を損ねるようなことをしなければきっと大丈夫だって。」
「・・・そんなネィルさんにクーネは拳骨落としてたよね・・・。そこはどうなのさ?」
「う・・・。そこはホラ、勢いと言うか、見た目のせいというか、ね?」
思わず呆れてしまうと同時にやはりカッツは不思議に思えた。そして気を付けてはいたのだが、つい「それ」が漏れてしまった。
「本当に昔のクーネと変わったね。ネィルさんの正体を知ったなら恨むくらいはすると思ってたよ。
普段は優しいのに理不尽なことや曲がったことが大嫌いで、怒ったクーネは子供達からも、それこそ魔王のように怖がられていたのに。」
「え、そうなの!?」
「う、うん。え、知ってた・・・わけじゃないんだ?」
驚いたクーネに対して驚くカッツ。誰かを叱っている時のクーネには他の誰も近寄らず落ち着くまでは子供達はみな逃げていた事から、クーネ自身も少しは自覚があると思っていたカッツはその反応に驚いたのだ。
だが、そうと知らないクーネはカッツの驚きを「カッツの知っているクーネを演じられなかった」と思ってしまい、足を止めてしまう。
(前にネィルから注意されたばっかりだと言うのに・・・。何をやっているんだ!)
思わず心の中で叫ぶ。
立ち止まったことにより少し先を行っていたカッツが気付き声をかけてくるが、それに慌てて余計挙動不審になりさらに固まってしまう。
ついには混乱してしまい、
「どうしたの、大丈夫?」
「な、なんでもない、なんでもないの!」
「あ、ちょっとクーネ、待って!」
カッツを置いて走って先に行ってしまうのだった。
(なにやってるんだ!こういう時こそ落ち着いて行動しないといけないのに何を逃げているんだ!)
どこか客観的に自分を見ている部分がありつつも、身体は走ることをやめない。
とりあえずその角を曲がった所でいったん落ち着こう、と角を曲がり、そして何かにぶつかり盛大に転んでしまった。
「いたた・・・、一体何が・・・。」
「お、おいみんな逃げろ!崩れるぞ!!」
クーネが曲がった際にぶつかったのは樽の積んであった棚の支え棒。それがずれたことで棚が樽の重さに耐え切れず悲鳴をあげている所だった。
慌てて起き上がろうとするがぶつけた足に痛みが走り、とっさに立つことができない。そのほんの少しの遅れが致命的だった。
痛みを堪えて立ち上がった時、クーネの頭上には崩れ落ちてきたいくつもの樽が降り注ぐ。
(まずい!スイッチを入れる暇が・・・!)
次の瞬間には轟音と砂埃が舞っていた・・・。
カッツが現場に着いた時は既に棚が崩れ落ち、樽はあたりに散乱していた。
周りの声から女性が一人下敷きになったらしい、と聞こえて悪寒が走る・・・。
「ま、まさかクーネ・・・。」
落ち着きを装い、あたりの人からその女性の特徴を聞き、青ざめる。
「く、クーネ!返事をしてくれ!クーネェェェ!!」
カッツの声が響くがそれに答える声はなかった。
容赦なく降り注いでくる樽に対し対処しようとするクーネだが・・・、
(間に合わない!!)
そう思った瞬間にものすごい勢いで身体を持っていかれ、一瞬意識が遠のきそうになる。
その直後に響き渡る轟音。
舞い上がる砂埃を見つめ、恐怖とともに助かったことを知り安堵した。
「間一髪でした。大丈夫ですかクーネ様?」
「え!?だ、大丈夫・・・ってあなたは!」
しゃがみこんでいたクーネの横に立ち、声をかけてきた人物。
それはネィルの命令でジグラッドの様子を伺っていたはずのダークエルフ、ゲルグムであった。
疑問の表情を察したゲルグムは何故ここにいるかを簡単に説明した。
「ジグラッドがまもなくこの町に到着する」と言うことを。
そして砂埃の向こうからクーネを呼ぶカッツの声が聞こえ、「後でまた会いましょう」と言葉を残しゲルグムはその場を立ち去る。
あまりのことにカッツの呼び声に返事ができずに呆然とするクーネであった。
しばらく呆然としていたクーネだが、塞がれてしまった道を迂回してきたカッツがクーネを見つけ抱きしめる。
「あぁ、良かった!本当に無事でよかった!!」
「・・・カッツ?」
「何をそんなに驚いたのか知らないけど変な事を言ったのなら謝るから。」
「え、あぁ。うん、ごめんカッツ。あなたは悪くないの。私の勝手な勘違い・・・。ごめんなさい。」
カッツが立ち上がり、手を差し伸べられクーネも立ち上がる。
周りからの心配の声に愛想笑いを浮かべつつ、二人は足早にその場を後にした。
ギルドにたどり着いた二人は今の状況と船を奪った者達について聞き込みをはじめ、そして驚きの事実を知ることになった。
船を奪った賊のリーダー、それはかつて魔王討伐の時にジグラッドと共に戦った『戦士ザレス』と言うのだ。
「まぁ気持ちはわかるがな。国のお偉いさん共の決定はみんな憤りを感じている。だから一部を除いてみんなザレス様に協力的なのさ。」
情報を教えてくれた戦士風の男性が答える。
「決定?何が決定されたの?」
「なんだ、姉ちゃん知らないのか?魔王を倒したジグラッド様を封印しようとしてるらしいぞ。
『今後再び魔王のような存在が現れた時、必要になる力を絶やしてはならない』と言う名目を掲げているが、本人の意向を無視しすぎだろう?
そしてそれを全ての国の王が決定してるということは、ジグラッド様が国を起こしたら面倒なことになる、と考えているなんて事は頭の悪い俺にだって想像できるさ。」
戦士の説明を聞いて絶句するクーネ。あまりのことにカッツへと振り返ると同じように驚いているようだった。
「いや、まさか・・・。そんな馬鹿な話が本当に決定されるなんて。聞いてはいたけど、いくらなんでも英雄に対してそんな事しないだろうと思っていたのに・・・。」
「だろ?俺らもそう思っていたのに、いざ蓋を開ければこのザマさ。」
肩をすくめ苦笑いする戦士。さらに聞けばこの町にいる警備兵の大半も、役目上従っているようだがやる気と言うものはもう無いらしい。
これでは賊もやりたい放題、対処も遅れる訳である。と納得するクーネ。
その瞬間、腕に微振動が走った。
「わ・・・。」
「ん、どうしたの、クーネ?」
「な、なんでもない。ちょっとビックリしただけ。」
「確かに。まさかこんなことを本当にするなんて思わなかったよ。」
戦士の答えに驚いたと勘違いしたカッツ。誤魔化せたことを確認して軽く腕輪に触れると、頭にネィルの声が響いてきた。
(取り込み中だったか、すまんな。)
(ううん、大丈夫。どうしたの?)
(あぁ、ちょっと早めに相談したいことが出来てな。もし平気ならば早めに戻って来れぬか?)
(いいよ。こっちも言っておきたいことがあったし。)
(そうか。なら予定より少々早いが宿で落ち合うとしよう。)
その声を最後にネィルの声が聞こえなくなる。
酒場には行っていないが、今回の情報だけでも十分なものがあった。
しかし・・・。
「教えてくれてありがとう。カッツ、少し早いけどいったん戻りましょう。」
少し暗い顔をしつつ戦士にお礼を言い、カッツを伴いギルドを出る。
(そうか、こういう風になるのか・・・。)
考え事をしているクーネを心配しつつ、重い足取りで二人は宿へと向かっていた。
宿に戻った二人が部屋に入ると、すでにネィルとエルミスが居り、さらにもう一人がネィルの近くに立っていた。
それに気付いた二人はその人物の顔を見るなり
「アリス!?」
「アリス様!?」
同時に声を上げた。
そんな二人に軽く頭を下げ、その後に言葉を繋ぐ。
「はじめまして、クーネさんとカッツさんですね。こちらのネィル、さんから聞いております。」
「あ、そ、そうです。」
アリスの挨拶にカッツはしどろもどろで答えるが、クーネはネィルの名前のところで一瞬間が空いたことに気付きネィルを見る。
その視線の先にいた者は、ふん、と鼻を鳴らし目を逸らした。
「えっと、アリス、さん。もしかしてだけどネィルのことは・・・?」
「・・・はい。本人から聞きましたから。」
その答えにクーネはため息を、カッツは意味を理解しネィルとアリスを交互に見て混乱するしかなかった。
今年もよろしくお願いします。
・・・よろしくしてください!!
(ちゃんと更新すればいい事なのですが)




