25話目
なんだかんだで一ヶ月以上もあけてしまってごめんなさい!
クーネ達が小屋に入ると、ルシールが必死にネィルへと弁明している所だった。
「・・・だから決して殺そうとしていたわけではなく、あくまで脅しであって。
ただ、アタイの名前を知っていたと言うことは、正体を知っていると言うことなので、まぁ勢いで怪我くらいは、とは・・・。」
「わかったわかった、別に本気で怒っているわけではない。ただもう少し穏便にだな・・・。おぉ、来たか。」
クーネ達に気付いたネィルは手招きをして近くへと呼ぶ。それと同時にルシールの方へも合図を送り、
「エルミス様、それとクーネ殿、先ほどはとんだ無礼を働いてしまって申し訳ない。」
二人に向かって頭を下げた。
「いいよいいよ、別に怪我もなかったし。それよりネィル、頼まれてた素材は渡したの?」
「おっと、そうだったな。ルシールよ、これでいいのだろう?それで完成にはどれくらいかかるのだ?」
ポータリーフを渡しつつ、頼んでいた物の完成を聞いてみると、すぐ出来るとの事だったので待つことになった。
ポータリーフを受け取ったルシールは、工房になっている奥の部屋へと入り、10分ほどで戻ってきた。その手には白い球体を持っており、クーネ達の前へと置く。
「ふむ、これがそうなのか?」
「はい、これに印を施せば完了となります。ここでやってしまいますか?」
「そうだな。エルミス、少し説明するぞ。これはお前専用の『武器』だ。そしてこの武器とお前を繋ぐことで、いつでも呼び出すことが出来るようになる。
私がロストエナジーを呼んでるのと同じだな。まぁこの形状なら持っていても問題ないだろうが、万が一手元に無い時でも、すぐに呼び出すことが可能だ。」
説明を受けながら、目の前に置かれた球体を突いてみるエルミス。特に抵抗も無くコロコロするばかりでとても武器には見えず、訝しげな表情をするが、それを見越したようにルシールがネィルのあとを継いで説明を始めた。
「実はこれ、流体金属と言う物で今は球体で固定されているのですが、エルミス様の魔力によってお好きな形に変化させることが可能なのです。
こう見えてかなり高密度の物体なので、よほどのものではない限りは思い通りに変化させられると思います。」
本来は重さも相当あるらしいのだが、重力魔法の印を施しているらしく、重さも抑えてあるとの事だった。
それを聞いて興味を持ったエルミスは、何をすればいいのかをと聞くと、用意してある魔法陣の上で、自分の血で印を刻めばいいらしく、その準備に取り掛かる。
その間暇になってしまうクーネは、なんとなく部屋を見渡した時にありえない『物』を見つけ、驚きとともにその『物』へと近寄り手に取った。
「なんでこれがここに・・・?いえ、確かに設定はあったけど話の中では一度も出してなかったはず・・・。」
自分の書いた物語に登場することの無かった『物』。設定のみの存在が今ここにあることにクーネは少しの不安を感じた。
この『物』の事をルシールに聞こうと振り返ると、すでに三人は工房の方へと移っているらしく、誰もいなかったので仕方なく元の場所に戻し、自分も工房へと向かうことにした。
クーネが工房を覗き込むと、ちょうど印を刻むところのようで、エルミスが指先をナイフで斬っている所だった。
指先からこぼれる血で球体へと印を書き込み、その後ルシールが呪文を唱えると魔法陣が、続けて球体が光りだし、血印が溶けるように消えていく。
光りが消えると、球体がゆっくりと浮き上がり、エルミスが手のひらを出すとそのままの速度でその手へと収まる。
「どうですか?問題はないと思いますが・・・?」
「そうですね。少し精神的に重い感じがしますが・・・。」
「ふむ、その辺りは馴染めば感じなくなるだろう。どうだ、説明通りの事が出来そうか?少し外で試してみるとしよう。」
外へと出る三人。それを見て、とりあえずルシールへ聞くのはこの一件が終わってからにしようと決め、クーネも外へと出た。
庭の一角にはルシールが作った武器の試し用にいくつかの的の置いてある場所があり、みんなそこへと向かった。
たどり着くとエルミスは球体を地面に置き、頭の中で剣を思い浮かべ、そのイメージを球体へと送る、
すると静かに浮き上がり、目の前で光に包まれ一本のロングソードに変化し、それをエルミスは手に取って見た。
重さは球体の時と変わらず、軽く振り回してみても形が崩れることも無いようだった。
今度はそのまま父であるバルギスの愛剣を思い浮かべ、持っているロングソードへと投影する。
再び光に包まれると徐々に大きくなり、光が収まると大剣を手にしていた。
「ほう、ここまで再現できるのかか。」
「はい、性能と言う意味では当然劣りますが、普通に扱う分には問題ないと思います。」
「なるほど、しかしこう見るとやはりエルミスもわが娘よ。」
「あの剣を片手で扱う様はまさにバルギス様ですね。さすがです。」
大剣になってもやはり重さは変わらず、自分以上の大きさである大剣を片手で振り回すエルミスに二人は感想をもらしていた。
次にエルミスはその大剣を空へと放り投げ思念を送る。空を舞う大剣は思念を受けた途端にその場でとどまった。
さらに思念を送るとその送られたイメージどおりに空中を舞い、エルミスは一つの的に狙いを定め、
「行って!」
掛け声とともに空を舞っていた大剣が的を目掛けて加速し、そのまま粉砕し地面へと突き刺さる。
そしてゆっくりと持ち上がり、球体の形に戻りながらエルミスの元へと戻り、手に収まった。
今度は球体のまま空へと放り投げ再び思念を送る。そして今度は目を閉じ、球体の方へと意識を集中させるエルミス。
すると頭の中に球体を中心とした視界が広がり、上空から自分を含めた四人の姿を確認することが出来た。
そのまま球体は動き出し、少し離れた所で見ていたクーネの下へと近付き、楽しそうに廻り始める。
最後にクーネの頬に軽く触れると一気に空へと上昇していく。肉眼では見えない位置まで飛んで行き、エルミスが目を開け
「おいで。」
つぶやくと遥か上空にあるはずの球体が、目の前へ召喚され何事もなかったように浮いていた。
大きく息を吐き、その場にしゃがみこむエルミス。慌ててルシールが駆け寄るが手で「大丈夫」と合図され、
「ちょっと楽しくてはしゃぎすぎました。でもすごいですね、これ。」
「気に入っていただけて何よりです。とりあえず『魂天珠・イルミティ』と名づけております。しかしお好きなように呼んであげてください。」
「ええ、ありがとう。少し考えてみます。」
エルミスは目の前に浮いている球体を二、三度突くと軽く撫でてから懐へとしまうのだった。
更新ペースが不定期になってしまってますが長い目で見守ってください・・・。




