第52話 侵入
森。
地面の奥。
さっきαが出てきた場所。
今はもう静かだった。
ただの土。
ただの森。
セナはコックピットの中でモニターを眺める。
表示されているのは座標。
地下構造。
さっきのハッチ。
「ここだよね」
小さく呟く。
センサーを下へ向ける。
残響が流れ込む。
フィルタ無し。
地面の向こう。
空洞。
人工構造。
セナが目を細める。
「……うん」
「うまく隠してる」
バスティトの大型ブレードを引き抜く。
「じゃ、開けよ」
刃が閃く。
一撃。
地面が裂ける。
土が吹き飛ぶ。
その下。
装甲。
巨大な円形ハッチが現れる。
セナが小さく笑う。
「ビンゴ」
⸻
次の瞬間。
警報が鳴る。
地下反応。
急増。
モニターが赤く染まる。
セナが眉を上げる。
「うわ」
地下構造図。
赤い点。
一つ。
二つ。
三つ。
増える。
まだ増える。
「……そんなに?」
地面が開く。
巨大ハッチ。
その奥。
格納区画。
灰色の機体がせり上がる。
αシリーズ。
一機。
二機。
三機。
四機。
五機。
まだいる。
セナがぽつりと言う。
「うわー工場じゃん」
⸻
αが動く。
一瞬。
距離が消える。
大型ブレード。
振り下ろし。
セナの目が光る。
「速っ!」
バスティトが横へ跳ぶ。
地面が裂ける。
衝撃。
森が吹き飛ぶ。
セナはモニターを見ながら言う。
「迷いゼロ」
「おもちゃめ」
⸻
レールキャノンが光る。
セナが言う。
「はい撃ーつ」
発射。
空気が裂ける。
一直線。
バスティトが消える。
変形。
自由形態。
四足。
地面を這う。
砲撃が外れる。
地面が蒸発する。
セナが呟く。
「それ直線すぎ」
⸻
三機が同時突撃。
ブレード。
完全同期。
兵器の動き。
セナが笑う。
「所詮兵器の戦い方だね」
バスティトが急停止。
旋回。
小型ブレード。
閃光。
一機の腕が飛ぶ。
火花。
でも。
αは止まらない。
セナが小さく頷く。
「そう来るよね」
⸻
包囲。
七機。
完全封鎖。
セナはモニターを見ていた。
地下構造。
通路。
エネルギーライン。
奥。
さらに下。
一番深い場所。
巨大反応。
セナの目が止まる。
「……あ」
少しだけ笑う。
「そこだね」
LNS中枢。
⸻
αが一斉攻撃。
ブレード。
砲撃。
逃げ場なし。
セナが操縦桿を握る。
「それじゃ」
バスティトが変形する。
強行離脱形態。
脚部が折り畳まれる。
低い姿勢。
ホバーバイク形態。
セナが言う。
「真ん中行くよん」
レールキャノン発射。
バスティトが突っ込む。
弾丸の間を滑る。
灰色の機体の隙間。
加速。
滑走。
地下ハッチへ。
セナが呟く。
「突撃ー!」
バスティトがそのまま。
地下へ。
落ちる。
⸻
地下空間。
巨大。
人工洞窟。
無数の通路。
格納区画。
αシリーズが並ぶ。
セナが少し目を丸くする。
「……ほんとにあるんだ」
警報。
赤い光。
αが一斉起動。
セナは操縦桿を握る。
バスティトが四足形態へ戻る。
残響が流れ込む。
むき出しの感覚。
奥。
さらに深い場所。
巨大な反応。
セナが小さく息を吐く。
「近い」
背後。
無数のα。
消去兵器。
セナが前を見る。
「さーて」
操縦桿を倒す。
バスティトが加速する。
「どこまで守れるかにゃあ」
赤紫の機体が。
地下都市へ。
突っ込んでいった。




