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76 アレスくん、可愛い顔してすっごいのねー!

ニガリッソ男爵領の冒険者ギルドで、クライフさんからの手紙を持参したあの日から2週間が過ぎた。


受付のネビルさんとシオールさんには、僕たちのAランクのミスリルっぽい冒険者カードを見て、子供の偽造を疑われちょっとした騒動となった。

とは言え、持参した手紙は半信半疑のネビルさんにより、無事ギルマスのバラクネスさんの元に届られ、僕たちのギルドカードも受付の魔道具を通され偽造カードではないことが証明された。


そして受付の2人からは謝罪と共に過多なボディータッチを頂き、事あるごとに「アレスくん、可愛い顔してすっごいのねー!」と抱きしめられたり撫でられたりと、可愛がられてしまう。

それを止めようとリーゼとクラウも抵抗するのだが、2人も僕と同じように捕まり「ふふふ。リーゼちゃんもクラウちゃんも必死になっちゃって。かっわいー!」と連日のように可愛がられてしまう。


このニガリッソ領では冒険者パーティは数えるほどしかいない上、AランクはおろかBランクもいないようだ。領内は農業が主産業であり、ほとんどの土地を畑と田んぼ、酪農の放牧地などになっている。

一部では工芸品として、木材や稲わらなどを使った雑貨などの作成もしているようだ。冒険者はあまり必要としていないのは、唯一の異界の『迷いの森』が攻略済みで魔物暴走(スタンピード)の恐れも無いためだとか…


受付の2人と仲良くなったのを良いことに、男爵家についての情報を集めていた。各産業での税収はそれなりにあるようだが、どうしても異界からの収入面で他領より劣るらしい。

その為、男爵家はあまり潤っていないはずなのだが、かなり派手に金を使っているらしい。Cランクの冒険者パーティである3組は、あの男爵が後ろ盾であるクラン、『王国の裁定者(アビターキングダム)』に所属しているとも聞いた。

なのでクランメンバーがここや他の領で獲た素材を、冒険者ギルドを通さずにどこかへ流しているのでは?と噂になっているようだ。


だが、最近は僕たちが捕まえたあのダイダルスとか言うクランマスターが捕まり、男爵様もかなりイライラしているようで、屋敷に勤める侍女などからのグチなども聞いているとのこと。


その程度の調査しか進まない中、ギルドのすぐ近くの宿を借り森でまったり狩りをしながらの日々を送っていた。そもそも調査任務なんてどうやれば良いのか?と思っていた。


そんな中、あの暗部の死神さんにも遭遇した。と言うかギルドの食堂で普通に呼び止められ相席したりもした。素顔なのかは分からないが普通に見た目はおじいちゃんだった。名もベルーガと名乗っていたが多分偽名だろう。

僕たちが受付の2人に聞いた情報を話すと概ね知っている情報だったそうだ。逆に死神さんからは男爵が他国に素材を流している、と言うのは確定事項だとの情報を得た。

有力な情報ではあるが、これをネイリン子爵様に報告したところで、すでに暗部が知っている情報だ。依頼の成果としては乏しい物だろう。


いっそ[隠蔽]全開で男爵家に忍び込もうかな?と思いつつも、流石に実行に移せずにこの2週間『迷いの森』で狩りを続けていた。


『迷いの森』は外周、中層、深層に分かれている。


外周では森ウルフ、森ゴブリン、そして風巻栗鼠(かぜまきねずみ)が出現した。新しい魔物としてはマジックモウルと言う土に潜る30cmほどの魔物が出現し、穴から顔を出してはスキルでボコボコと這うように土が迫ってくる攻撃を仕掛けてくる。


その柔らかくなった土部分に足を取られると、鋭い爪で足を切り裂かれるのだが、動きが遅いのでひょっこり顔を出したところを難なく討伐していく。スキル玉から[土壌変化]という地面を操作するスキルを獲た。

手を地面につけ発動すると、目の前の土が10mほど一直線にボコボコと盛り上がるスキルだった。かなり深いところまで変化するようで、足を突っ込んでみるとずぶりと膝ぐらいまで埋まってしまった。今のところは使い道がなさそうだ。


中層ではオークにオーガ、ビッグボアと見知った魔物しかいなかった。


深層になるとエルクとリトルワイバーンが出現するほか、ファイアスネークという火を吐く赤い大蛇がいた。

固有スキルは[火炎]だったので率先して集め、Lv3になったところで火の鳥をイメージしながら発動してみたり、少し興奮気味に遊んでしまった。クラウもそれを真似して色々な魔物を模して魔力が尽きるまで遊んでいた。


その間リーゼは新たに[譲渡]した[疾風]と[突進]を使い、僕とクラウの出した炎を追いかけ遊んでいたようだ。終わってみたら何がそんなに楽しかったのかと思ったが、いつもと違う汗を掻き、たまにはいいかと笑い合った。


何も進展しない中、ギルドに途中経過を報告すると「もう戻ってきても良い」と返答があったとのことで、僕たちはもう暫くしたらベイリン子爵領に戻ることに決めた。


だがその前にやりたいことがある。

そう思って昨日から『迷いの森』の外周に入り浸り、[カマイタチ]を目当てに風巻栗鼠(かぜまきねずみ)を狩りまくった。

今までもかなりお世話になった便利スキル[カマイタチ]。Lv1だと言うのにそれなりの威力に広範囲へのばら撒きも可能だったこのスキルなので、ぜひともLv5まで上げておきたい。

さらにはリーゼに[譲渡]しておきたいと思っていた。


消費魔力は5と軽いし牽制に使い勝手が良いだろう。[斬]や[突く]の一撃はあるもののそういったスキルが無いリーゼに使ってほしかったからだ。

2日かけて殲滅する勢いで3人で狩り続けた結果、[カマイタチ]のスキル玉を12個つんすることができた。


宿に戻るのが待ちきれず木陰でリーゼに[譲渡]すると、悩ましい声を上げた後、興奮気味に中層に突撃していった。喜んでくれたようで何よりだ。

そんな油断しきっていた僕たちは、周りをたくさんの冒険者に囲まれていることを、気付くこともできなかった。


――――――

アレス クラス:大盗賊 Lv59

体力540 魔力590 外殻520

力74 硬61 速81 魔68

――――――

Up [突く/Max+3/強烈な一撃]

Up [疾風/Max/風のように早く駆ける]

Up [カマイタチ/Max/風の刃を複数飛ばす]

Up [睨む/Max/恐怖を与える威圧の瞳]

Up [竜巻/Max/暴風の渦を操る力]

Up [突進/Max/強烈な突進攻撃]

Up [危険察知/Max+3/身に及ぶ危険を察知する]

Up [土壌変化/Lv4/目の前の土を掘り進め足場を崩す]

Up [火炎/Lv4+1/炎の矢を飛ばす]

――――――


――――――

リーゼロッテ クラス:剣士 Lv47

体力470 魔力240 外殻940

力140 硬56 速84 魔28

――――――

New [疾風/Lv3/風のように早く駆ける]

New [カマイタチ/Lv2/風の刃を複数飛ばす]

New [突進/Lv2/強烈な突進攻撃]5

New [危険察知/Lv3/身に及ぶ危険を察知する]

――――――


――――――

クラウディア クラス:魔法使い Lv46

体力230 魔力1610 外殻460

力55 硬27 速82 魔192

――――――

New [竜巻/Lv2/暴風の渦を操る力]

――――――


------------------------------------------------------------

[迷いの森]

ニガリッソ男爵領にある小規模な森。ハリン伯爵領と帝国側と跨っているので、森を通っての領土の移動は違法行為となる。外周、中層、深層に分かれているが、すでに攻略済みで中心地にボス部屋などはない。


出現する魔物※既出魔物の[]内は取得可能な固有スキル


[外周]

森ウルフ[疾風] 森ゴブリン[危険察知] 風巻栗鼠(かぜまきねずみ)[カマイタチ]


マジックモウル

30cm程の土に潜む魔物。固有スキルの[土壌変化]を使い、目の前の土ををボコボコとほぐし足を取られると前足の鋭い爪で切り裂かれる。消費魔力は5。素材は魔石のみ。


[中層]

オーク『力』の能力玉 オーガ[睨む] ビッグボア[突進]


[深層]

エルク[突く] リトルワイバーン[竜巻]


ファイアスネーク

全身が赤い3mほどの大蛇。頭から尾まで金のラインが左右に入っている。口を大きく開けて固有スキルの[火炎]を放ってくる。近づくと噛みついてくるが毒はないようだ。[火炎]の消費魔力は5。素材は魔石と表皮。

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