75 アレスちゃんのお荷物になってしまいますわ!
「セシリ!こっち!」
「はい!ユリア様!」
私は、目の前にいるビッグボアに[結界]を使いつつ足止めを行い、そこをセシリが剣で止めを刺してゆく。
「サルアちゃんは後方のオーガを狙いますのよ!」
「はい!カロナ様!」
カロナっちはサリアに指示を飛ばしている。そして手に持つ杖で何度目かの[祈り]を使い、私たちの能力を底上げする。
そうこうしている間に、セシリが次々と後続のオーガとビッグボアを屠っていった。
「ふう。今日もそろそろ終わりですわね!」
カロナっちが額の汗を拭いながらそう言っていた。確かにそろそろ魔力がやばい。
私は外殻が多いからこの辺の魔物であれば、何とか捨て身で守ることはできるけど…カロナっちの[祈り]が無いと攻撃手段が少し心許ない。
そんな中、セシリとサリアは倒した魔物から魔石を回収し終わり、私たちの横に待機している。
「レベルもそれなりに上がってきたけど、やっぱり20階層付近は少し厳しいね」
「仕方ないですわ!前衛がセシリちゃんしかおりませんし!」
そしてカロナっちは「オーホッホ!」と口元に手をあて笑いだす。
王都の冒険者ギルドで情報を求め日々聞き込みをしていた私とセシリは、アレス兄ぃと知り合いだという『風の旅団』というパーティから、兄ぃが王都から追い出されたらしいという話を聞いた。
さらには担当していたという受付のリオールさんという女性にも話を聞いたが、どこへ向かったかは聞いていないという。
本当はすぐに兄ぃを追いかけたかったが、行先に当ても無く動けなかった。しばらく王都内のホテルに連泊していたが、それが最善なのだと[未知の知]が言っているような気がしたのでそれに従った。
3日間、何も情報は無かったが毎日短時間だが大迷宮に出かけては、少しづつレベルを上げていた。初めてのスライムは微妙な可愛さだった。デロデロな洋式では無かったが、話を聞くとそう言う感じのスライムもいるという。
迷宮に入る以外の時間は冒険者ギルドに入り浸っていた。
そして4日目の朝、サリアを連れ添ったカロナっちと再会した。
カロナっちは手には高そうな杖を持ち、煌びやかな白いローブを着ていた。
なんでも公爵様がうちの禿親父と結託し兄ぃとの婚約を破棄したそうで、そのご機嫌取りとしてオークションで聖魔法用のレアな魔石を買い取って、謝罪の準備をしていたそうだ。
さらには魔力強化の効果のある魔鉱石など他にも高額素材をかき集め、世界樹の枝なんて高級素材をベースにした唯一無二の杖を作っちゃったのだとか…
試しに鑑定したら[白樹の魔道杖(魔力増・大/消費魔力減・大)]となっていた。
そんな高価な杖をご機嫌取りの為だけに用意した公爵様だったが、カロナっちは「こんなものでは、アレスちゃんの代わりにはならなくてよ!」と言いつつも受け取って家を飛び出し、王都まで戻ってきたらしい。
そして「ついでにサイドの毛を少し毟ってやったわ!」と高笑いしていた。
私も毟りに帰った方が良かったかな?と少し後悔した。
それから兄ぃの元へ行こうとしていた私を余所に「まずは強くならなくては、アレスちゃんのお荷物になってしまいますわ!」と宣言したカロナっちに従い、4人でユルレイヒル大迷宮に挑んだ。
私の2つ上のセシリはワルツ男爵家の三女で、幼い時から色々とお世話をしてもらっている。剣士クラスで学園に着いてくる前にはレベルが15程だったと言う。
週に1度しかないお休みに兵士に交じり遠出して、ウィクエンド領の東の『死霊の森』へ狩りに行っていたのだとか…セシリに「強く無ければお嬢様を守れませんから!」と言われてキュンと来てしまった。
そんなセシリを前衛にして敵をひたすら狩ってゆく。もちろん4人でパーティリンクなる異世界あるあるな便利機能を設定してもらえば、私たちも戦わずしてレベルが上がってゆく。
さらにカロナっちの侍女をしているサリアーナ、サリアはセシリの姉、ワルツ男爵家の長女で弓使いクラス。後方から目立った敵を次々に迎撃していた。セシリと同じように『死霊の森』で兵士と一緒に修行を続け、合流時点でレベルは20になっていたようだ。
そんな二人の活躍もあり、私もカロナっちもレベルはあっという間に15まで上がった。セシリは23、サリアは26まで上昇している。
私は[結界]を覚え、魔力が余っている時は限界ギリギリまで使って続けていた[鑑定]もすでにLv2となり、少しだけ対象物の詳細が分かるようにもなってきた。
カロナっちも[祈り]という仲間の能力を底上げするスキルを新たに覚えていた。
セシリは[剣術]がLv2で、新たに[多撃]という物理攻撃が2倍に増えるスキルを新たに覚えた。サリアの方は元々[弓術]がLv2で、新たに[魔矢]という魔力で矢を作り出すスキルを得た。
威力も高く連射も効く。何より矢も不要になったので助かっている。
4人ともそれなりに力をつけ、この階層ぐらいならかろうじて安全な狩りができるようにはなっていた。だがせめて2人ともレベル20を超えておこうと思っている。兄ぃの元に行くのはそれからだ。
きっとその頃には、兄ぃの居場所も分かるだろう。
私の[未知の知]がそう言っている気がする。
それまでは頑張ってもっと強くなろう。
そう思いながらも、宿に戻り少しだけ回復した魔力を[鑑定]で使いきって気絶するように眠るのだ。
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ユリア・ウイクエンド クラス:賢者 Lv15
体力230 魔力600 外殻1200
力36 硬24 速48 魔84
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Up [鑑定/Lv2/全てを見抜き解析する眼]
New [結界/Lv1/害意から身を守る結界術]
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カロリーナ・レイッヒ クラス:聖女 Lv15
体力80 魔力750 外殻300
力24 硬12 速24 魔108
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New [祈り/Lv1/祈りの力で仲間の能力を底上げする]
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セシリーナ・ワルツ クラス:剣士 Lv23
体力350 魔力120 外殻690
力80 硬16 速64 魔16
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New [剣術/Lv2/剣の扱いがうまくな]
New [多撃/Lv1/物理攻撃が重複する]
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サリアーナ・ワルツ クラス:弓使い Lv26
体力260 魔力780 外殻520
力52 硬35 速87 魔70
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New [弓術/Lv2/弓術の扱いがうまくなる]
New [魔矢/Lv1/魔力で矢を作り出す]
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白樹の魔道杖(魔力増・大/消費魔力減・大)
世界樹の枝をベースにした50cmぐらいの魔法の杖。その先には白魔石、魔鉱石、白金真珠、聖灰を使い王家御用達の鍛冶ギルドのドワーフ達の作成した力作。魔法の威力が上がり、消費魔力も大幅に抑えた逸品で、空気中の魔素を吸収し、5時間に一回程度、持ち主を守り傷をいやす回復結界を自動発動する。お値段は必死なお父さんの気持ちがこめられたプライスレス。
白銀のローブ(耐物・大/耐魔・大)
大蚕と天女蜘蛛いう魔物の糸とで織り込まれ、フードや裾などには金の刺繍で、耐物と耐魔の術式がおしゃれに刻まれている逸品。お値段は白金貨150枚ほど。




