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[完結]侯爵家の三男だけど能力板には大盗賊って出ちゃいました。  作者: 安ころもっち
第六章 アレス、巻き込まれる

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71 よし行こう!ドラゴン退治だー!

翌朝、リーゼにも何度か確認してから深層までダンジョンワープで移動する。

景色は変わりいつもの場所で再度ダンジョンワープの登録を済ませておく。


最深層を伺うと、上空に2体ほど旋回しているのが見えた。


「よし行こう!」

そう言って森エリアを目指す。


お昼過ぎには2つの[黒牙]を獲得し、Maxになった。


「じゃあどうする?もう少し狩ってクラウにも[譲渡]できるようにしておく?」

「うーん。それはまた今度お願いします。暗くなってくるとまずいので一回試してみませんか?」

「じゃあ、行こう。リーゼも準備はいい?」

リーゼは鼻息荒くうなずいている。


まずは層の境界付近で[隠蔽]を使って中に入り様子を伺ってみる。

すぐ近くに3体のグリーンドラゴンが身を寄せ瞳を閉じている。


『どうしよう、近くに3体いる…』

『じゃあ一旦戻ってから、場所を変えた方が良さそうですね』

僕はその言葉で左右を見回してから戻った。


「やっぱり怖いね。でも、もう少しあっち側に、見た限りは1体だけいるのが見えたよ」

そう言いながらそのグリーンドラゴンのいる方向を指差している。


「それならそっちに行ってみましょう」

「よし行こう!ドラゴン退治だー!」

リーゼの元気な掛け声と共に程移動する。


途中、蛇と何度か遭遇するがサクっと倒しつつ、岩エリアを回避して10分程度で目的の場所へと到着した。


「じゃあもう一回見てみるね」

そう言ってまた最深層へ侵入する。


うわっ!と悲鳴を上げそうになる。すぐ近くに1体のグリーンドラゴンが羽を休め座っていた。

息を殺してゆっくりと距離を取る。


辺りを見回し確認し、もう一度戻る。


「びっくりした。入ったら思った以上に近くにいたよ。層の境界越しにみるのとやっぱり少しずれがある気がするよ」

「そうなんだ」

「それで、どうしますか?」

クラウが不安そうに見ていた。


「もう少し先まで進もう。そうしたら目の前にいた奴をおびき寄せれば、多分すぐに他のが集まってこないぐらいは距離があると思う」

「やった!じゃあ早く移動しよー!」

リーゼはやっぱりヤル気満々で、クラウも覚悟を決めたようにうなずいた。


移動後に[隠蔽]を使い、3人で層を抜ける。

再度周りを確認するが、狙っている1体以外は遠くに見える程度であった。


『2人とも、大丈夫?』

『大丈夫!で、どうするの?』

『私もなんとか大丈夫です。まずは2人で遠距離で、その後でリーゼが[斬]で有効打を与えれるかを確認でどうでしょう』

クラウの提案にうなずく僕とリーゼ。


『じゃあ行くよ!3、2、1!』

僕とクラウは[黒牙]と[火炎]を連続で放つ。


それに気づいたグリーンドラゴンが羽を広げながらこちらを向き、その羽で払うような動きを見せたが、僕たちの攻撃はその羽を傷付けることができたようだ。

グリーンドラゴンから『ぎぎゃぎゃ』と悲鳴があがる。


痛みに怯んだのか少しだけ上空へ飛ぶそのドラゴンは、すでに走り出したリーゼを敵認定したのか大きく口を開ける。


僕は咄嗟に[睨む]と[恐慌]を使いながら[疾風]で距離をつめる。

あまり効果は無かったのか特に変化は見えなかったが、ドラゴンの視線が僕へと移り口を一旦閉じた。その隙にリーゼは深く沈みこんでから飛び上がり、[斬]でドラゴンの胴を袈裟切りにする。


表面上は斜めに大きく傷を付けることに成功したようだ。

綺麗に着地した後、僕と入れ替わるように距離を取るリーゼ。クラウからは[風牙]が連続でドラゴンの顔へと着弾していた。


そして至近距離からの[黒牙]を3発。

ちゃんと胴に深く刺さっているのを見て、やったと胸をなでおろす。


その攻撃に再度ドラゴンが吠え、口を大きく開けたので、[岩の盾]を広範囲に広げつつ可能な限り出しつ後退する。出すたびに破壊される[岩の盾]に内心焦る。

だが途中で破壊が止まったので、やっとクラウの元まで戻ることができた。


クラウが[風牙]を連発していたので、それで注意をそらす事ができたのだろう。

リーゼも身構えながら攻撃できるタイミングを見ているようだ。


「あっやばっ!」

そう言いながら[危険察知]が反応し、その反応に従い距離をさらに取ると、大きな咆哮とともに目の前の[岩の壁]が全て消え、体に痛みを感じる。[外殻]が全損したようだ。


咄嗟にクラウの前に立ち守っていたため、クラウは無事だったようだ。リーゼは傷を負ったようなので同じように外殻が全損したのだろう。


「ここは引こう!」

「分かった!」

「分かりました!」


そう言いながら層の境界に飛び込むようにして通り抜ける。


荒ぶるドラゴンが抜けてこないか確認するように見ていると、少し上空に飛んだ後、竜爪(りゅうそう)をこちらに向け、一直線に僕を狙って突っ込んでくると、そのまま層に激突した。

頭から血を流すドラゴンは、層の境界に何度も頭を打ち付け、そしてするりと通り抜けることに成功した。


逃げようか迷っていたが、クラウが[火炎]を放ち、リーゼはすでに[斬]を繰り出していた。それによりドラゴンの傷が増えて行く。僕も覚悟を決め「リーゼ!一旦離れて!」と叫ぶ。

[竜巻]を2発重ねると、そこにリーゼの[火炎]が合わさってゆく。そして再度3発の[黒牙]を放つと、たたんだ羽に1発、胴には2発が深く刺さる。


次の瞬間、グリーンドラゴンが再度上へ向けて大きく吠えると、そのまま横へと倒れて行った。


僕が力が抜けたように地面にへたり込むと、リーゼが飛び上がって喜んでいる。そんなリーゼを、僕と同じように座り込んでいるクラウと一緒に眺めていた。

さらにリーゼはグリーンドラゴンから出たスキル玉を指差し、「つんしていいの?私がしていいの?」と確認していたので、「いいよ。つんしちゃって」と返しておいた


―――スキル[不可視の風]を覚えました。


「不可視の風だって。無数の風の刃を放つって書いてあるよ」

「何それカッコイイ!」

「散々喰らったあの攻撃でしょうね。私もぜひ使ってみたいです」


僕は重い腰を上げて検証するため、近くにある岩山エリアへと向かった。

結果、岩肌に無数の傷を付け、3体の蛇が瀕死となる程の威力を見せてくれたが、広範囲に広がるほぼ見えないその攻撃と、それを狭めたりのコントロールができない、使いどころが難しいスキルであった。


消費魔力は30であるため、連発は今のところ考えられないので、出合い頭に殲滅するためのスキルとして使っていこう。

さらにリーゼとクラウも、その後に確認した能力板(スキルボード)を見せ合い、2人で喜びハイタッチしていた。


こうして初めてのドラゴン討伐が無事に終わった。


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グリーンドラゴン

本来は王都北西部・魔の森の最深層、岩山エリアに巣を作って生息している。

固有スキルの[不可視の風]と言う広範囲のブレスと、破壊力抜群の竜爪(りゅうそう)での攻撃を繰り出してくる。[不可視の風]の消費魔力は30その表皮は固く魔法耐性もあるので、固い表皮を貫くような物理攻撃スキルで倒すのが一般的。その体の全てが素材として有効活用される。

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