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[完結]侯爵家の三男だけど能力板には大盗賊って出ちゃいました。  作者: 安ころもっち
第五章 アレスと王族と不穏な影

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62 リーゼ、強くなりすぎじゃない?

少し警戒しながらいつもの様に一瞬の不快感を感じ深層へ移動する。


前方には平原と湖が見える。

そして、湖にはグリーンエルクと思われる輝く大きな角と、緑色の表皮の大きな鹿が3体、湖の水を飲んでいた。


[識別]してみると、うっすらと赤くなっている。その事を伝えるがとりあえず周りに他の魔物が見えないので、試してみることになった。


「じゃあ、いつも通りでクラウと僕で遠距離を」

クラウもうなずいた。


「リーゼは[突く]と[斬]使っちゃっていいからね。僕もすぐに追いかけるし…」

「分かった!」

そう言うリーゼはすぐに[隠蔽]を使ったのか見えなくなった。多分エルクに向かって走っているのだろう。走り出すとなんとなく認識できるのでリーゼの姿を見ることができた。


とりあえずリーゼなら大丈夫そうかな?と思いクラウと目を合わせスキルを放つ。


『リーゼ!すぐに2人で攻撃するから気を付けてね!』

『大丈夫!』

リーゼからの返答もしっかり返ってきたの安心して[竜巻]をエルク3体に集中するように3発ほど放つ。合わせてクラウが[火炎]の矢を連射していた。


攻撃に気づいたのかエルクが一緒こちらを向いたと思えば、即座に逃げようとしていた。だがすぐにスキルが重なり炎が大きく渦巻き、エルクたちに直撃したように見えた。

倒したかも!と思ったが、念のため[疾風]で距離を縮め追撃できるように身構える。


炎の渦が収まる直後、目の前にエルクが迫ってくるのが見え、とっさに[残像]を使うと体がブレるような感覚と共に視界が切り替わった。

ここ最近はドラゴン以外は楽に倒していたので、暫く使ってはいなかったが、やはり[残像]は有用だと思った。


振り返ると僕をすり抜けて行ったエルクを、クラウが[風牙]で対応しているようだが苦戦しているように見える。


『クラウ!大丈夫?』

『厳しいかもしれないです!』

リーゼの方はと思ったが、すぐに『こっちは大丈夫!』と返ってきたのでクラウの方まで戻り、そのエルクに[突く]を叩き込む。長剣での一撃だったがまだ致命傷には成っていないようなので、久しぶりの鉄槍に持ち替える。


そして1本、また2本と突き刺し、最後はフラフラの状態のエルクの額に、短剣を突き根本まで刺しなんとか倒すことができた。さっきから冷や汗がすごい。


だがまだ2体残っている。リーゼの方を見てみると、何度か[斬]を使ったのか、2体のエルクにいくつかの大きな傷跡が見える。僕のようにレアなクラスではないのだから、純粋に凄いなと思った。

僕も負けじと[疾風]で近づくと、地味に[カマイタチ]で足元を狙って嫌がらせのような攻撃をしてみた。

足は結構細くみえたから効果があるかと思ったが、狙い通りに足をとられフラフラしたエルクの首が、リーゼの[斬]により半分切断されたようになりそのまま横に倒れて行った。


1体になったエルクは、かなり余裕のある状態でリーゼに倒される。


「リーゼ、強くなりすぎじゃない?」

その言葉にリーゼは振り向き嬉しそうに笑う。


「[隠蔽]使うと相手も一瞬戸惑うんだよね。それに[突く]で簡単に接近できるし、魔奪の奴?あれがあるから[斬]もバンバン使えるし!ぜーんぶアレスのお陰!」

僕は思わずリーゼの頭を撫でた。


リーゼに[譲渡]したスキルは本当に相性が良かったようだ。


そんなことを考えているとクラウが横から抱き着いてくるので、開いている左手で同じように頭を撫で「クラウもお疲れ様」とねぎらった。そして最初に倒した1体から出ていたスキル玉をつんした結果を伝える。


「それはそうと、[回復]がLv2に上がったよ」

「えっすごっ!」

「本当ですか!」


2人に抱き着かれながら、今後も可能な限りグリーンエレクを狩ろうと思った。手早く3体のエルクの素材となる角と魔石、お肉を少量解体してバッグに放り込む。お肉は量はないがかなり美味だというので楽しみだ。


スキルのこともあるしできれば乱獲したいが、もう少し強くならないと毎回ヒヤヒヤしちゃうから今は難しいだろう。今日は残り2種をなんとか倒して一旦帰ろうと話し合った。


解体を終えると、魔物と遭遇しないように慎重に移動を再開する。

中心部分へ向かい最深層へ向かうなどという無茶はしない。森を回るように目の前に見える森エリアを目指す。


暫く歩くと木々が生い茂っているエリアに足を踏み入れる。木々の上からブラックモンキーが襲い掛かってくるので、注意が必要だろう。


そして警戒しつつ歩くこと数十分。

リーゼの「来たよ!」という声と同時に[危険察知]が反応するので、慌てて上を見ながら身構える。


黒っぽい何かが飛んできたので[残像]でそれを躱し、[隠蔽]を使うと僕を見ていた黒い猿がキョロキョロと辺りを見渡している。僕のそれを見て、2人もすぐに[隠蔽]を使ったようでその姿が認識できなくなる。


視界の中に居る2体の猿たちも困惑しているようだ。

2mを超える大きな体、黒い体毛は固そうに逆立っている。


僕は近くの猿が立っている木を拳で[突く]と、立っていた猿がバランスを崩して落下してゆく。

クルクルと回るようにバランスを取って着地、という予定なのだろうがそこはリーゼが『叩き切るね!』と声が飛び、姿が見えたと思ったら[斬]を叩きつけ首を刎ねた。


それに驚くもう1体の猿は激怒して、木の上で地団駄を踏みリーゼに向かってこようと木の上を移動している。


その怒れる猿には突然横から[風牙]が連続で叩きつけられる。

横っ腹に大きな傷ができ、血を流しながらよろよろと木にしがみつく猿。すかさず[カマイタチ]を飛ばし足元の枝を落とすと、悲鳴をあげながら落下していった。


背中から落ちた猿は、それでもまだ生きているようでよろよろと立ち上がり、[隠蔽]を解いた僕たちから背を向け逃げようとしているようだ。

負傷した脇腹からは血が流れてゆく。そこにリーゼの[突く]により深く剣が突き刺さる。それでようやく2体目の猿を倒し切ることができた。


「考えたら[隠蔽]ってすごいよね。風の塔にこもりたい…」

「内緒で行ったらだめなのかな?」

「王命ですから…見つかったらさすがに怒られるだけじゃすまないと思いますよ?」


そんな話をしながらも、ブラックモンキーから出たスキル玉をつんした結果を2人に伝えた。


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王都北西部・魔の森・深層 ※湖と深い森、岩地が点在


グリーンエルク

輝く二本の大きな角を持つ緑色の表皮の大きな鹿。水がを好み湖の近くに生息する。敵を見つけると角を向けて突進してくる。固有スキルの[回復]により、一気に倒し切らないと長期戦になってしまう。素材は魔石と角、少量ではあるがお肉も美味で人気が高い。

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