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[完結]侯爵家の三男だけど能力板には大盗賊って出ちゃいました。  作者: 安ころもっち
第三章 アレスの新たなる力

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23 親愛の人、だからね!

「やった!出たよ!」

最初に歓喜の声をあげたのはリーゼだった。


「やっぱり…見えるようになってる…」

クラウも、リーゼが倒した岩猿の上に浮かぶスキル玉が見えているようだ。


「じゃあ…つん?してみるね…」

緊張した様子のリーゼがつんすると、


―――スキル[岩の盾]がレベルアップしました。


「あれ?何もならないよ?」

「ほんと?能力板(スキルボード)出してみて!」


戸惑う2人。そりゃそうだろう…


「ごめん。なんか、僕の方がレベルアップしちゃった…」

軽く手を上げてそう言いながら、能力板(スキルボード)を出し、Lv2となった[岩の盾]の部分を指差して見せた。


「ま、まあ、そういうことですよね」

「えー!」

この空気はどうしたら良いのだろう?


「でも、これで遠慮なくとどめさせるんだよね!」

「そうですね。私たちはアレスの、親愛な、なんですから!」

「うぐっ」

クラウの言葉に戸惑う。成り行きとは言え、2人に抱きつかれて告白?みたいになって…それに僕が応えちゃった感じになったけど、考えてみたら凄いことになっちゃってて…


頭の中がぐちゃぐちゃになっている中、気付けば僕の顔を覗き込む2人と目が遭った。


「ぷふっ、アレス…顔、真っ赤」

「そうですね。とっても、可愛いです」

どうしよう。これが伝説のモテ期というやつか?


父の書斎で見つけたちょっとエッチな物語にあった話を思い出す。


「まっ、少し残念だけど、これでアレスに強くなってもらって…」

「養ってもらえば良いのですよね」

2人が少しニヤつきながら僕を見ている。


「も、もちろん…2人は、僕が守るよ!親愛の人、だからね!」


その後、少し可笑しな雰囲気になったが、どこからか飛んできた闇カラスによって空気が変わり事無きを得た。


「さて、そろそろ本当に帰りましょう」

「そうだね」

「帰ろー!」


結局岩猿からは2つ、闇カラスからは1つのスキル玉と『魔』の能力玉を獲得した。初めて見る青く透ける能力玉に、2人もまたドキドキしながら一緒につんしていた。


そして帰還札を使い入り口まで戻り、その足で冒険者ギルドへと帰り着いた。


「はー、戻ってきたー」

泊りは二度目だけどやっぱりギルドまで戻ってくると安心してしまう。


その後、移動用の魔石をいくつか残し、大量の素材を提出する。無事帰ってきたことにローラさんも喜んでいた。そして一人当たり25枚という金貨を受け取り、改めて冒険者ってすごい!と思ってしまった。


「じゃあ武器を見に行こう!」

自然と頬が緩んだ僕は武器屋へ…と思ったら、クラウが何やらモジモジしている。


「えっと、アレスはちょっと先に行っていて下さい。リーゼ、リーゼもちょっと…」

「ん?なーに?」

リーゼも呼び止められ、結局「すぐ行きますから」というクラウの言葉で一人送り出された。少し寂しい。


リーゼとクラウ、そしてローラさんが何やら話をしているのを遠目に見ながら武器屋へと入る。気持ちを切り替え眺めていると、リーゼ用の剣やクラウ用の杖について彼是考える。


前回の事もあるし、今回は2人に10万ロズずつ返して、予算は30万ぐらい?そうなると…

そんなことを考えていたら、2人が武器屋へと入ってきた。


「リーゼにクラウ。ローラさんと何を話してたの?」

「い、いえ、少し世間話を」

「そう。世間話」

少し様子のおかしい2人であったが、すでに2人は店内を物色しているようなので、好奇心は角兎も殺すと言うし…


「あっ、そうだ!今回は2人のパワーアップだから、10枚づつ渡しておくよ!」

そう言って金貨を10枚づつ手渡してゆく。


「まあ、アレスがそう言うなら、今回は甘えてしまいましょう」

「アレスの為に強くなるね!」


これで借りは返せた。借りっぱなしじゃ男が廃るからね。


そしてどうせ明日にもまた稼ぎに出るのだから、と店内を物色し、そろそろ草臥れてきた指無しの皮手袋の代わりに、岩蜥蜴の皮を使った蜥蜴のグローブなる手袋を3万ロゼで購入した。

後は軟膏とかがあれば良いだろう。


結局、リーゼは金剛魔石という素材の長剣を28万ロゼで、クラウは火炎の杖という小さな杖を32万ロゼで購入したようだ。2人とも良い笑顔をしている。

本当は防具も揃えたかったけど、それはまた今度、という事になった。


「そう言えば、オークションは来週の週末になったようです。思ったより早かったですけど、このペースなら迷宮も攻略できそうですよね」

「私はもうすぐにでも迷宮に行きたい!」

2人のやる気も上がったようで何よりだと思った。


それよりも、来週末に王都か…

オークションも楽しみだけど、どうせなら迷宮は踏破しておきたいよね。リーゼじゃないけど僕もすぐにまた迷宮に戻りたくなってくる。


「じゃあ、また明日。今日はゆっくり休んで、明日に備えましょう。リーゼは、あまりやりすぎないように…」

クラウはそう言いながらリーゼを見ている。


見られたリーゼは剣をぎゅっと握りながらうなずいていた。

そんなリーゼを見て、多分帰ったら時間の許す限り剣を振るんだろうな、と思ってしまう。僕だったらきっとそうするからね。


宿に戻ると食堂で夕飯を頂く。

やっぱり温かいご飯は美味しい。


いつか時間停止機能のあるバッグが欲しいと思った。

何時でも温かいご飯が食べられるのは魅力的だ。それだけじゃなく、解体した魔物の鮮度も買取価格には重要となってくる。上級冒険者には必須の魔道具だ。


「オークション…か」

ベットに寝ころびならが、そうつぶやく。


早く大金を得て装備を揃え、2人でまったりと…

そんなことを考え2人の顔が思い浮かべる。


そして今日の出来事が夢じゃないのかと今更ながら確認するため、頬をつねりその痛みに悶える僕だった。


――――――

アレス クラス:大盗賊 Lv41

体力90 魔力170 外殻80

力30 硬10 速10 魔20

――――――

Up [岩の盾/Lv3/固い岩の盾を生成する]

Up [残像/Lv2/一時の残像を残す]

――――――

称号 New [2人からの親愛]


------------------------------------------------------------

[親愛の絆]

大盗賊クラスの固有スキルと思われるアレスの稀有なスキル。

『親愛なる絆により繋がり奪い取る力』という説明にある通り、大盗賊の魔物からスキルや能力を奪うための力を、愛する者に分け与えるためのスキルで、そのスキルの影響で得たスキルや能力は全てアレスに還元される。

解放条件は奪ったスキル玉の総数が50を超えた時。

[親愛の絆]の対象になった愛すべき人には [大盗賊からの親愛]という称号が与えられる。また、与えた本人には [〇人からの親愛]と人数が分かるようになる。

詳しい情報は全くないため、今後の検証が必要。


蜥蜴のグローブ

岩蜥蜴の皮を使った3万ロゼの高級グローブ。指無しでグリップ力も耐久性も良い逸品。


金剛魔石の長剣

固く耐久性の高い金剛魔石という鉱石で作られた剣。少し重めではあるが、その破壊力は中級冒険者が持つにふさわしい逸品。お値段は28万ロゼ。


火炎の杖

火系列の威力を高めてくれる付与がなされた魔石が組み込まれた30cm程の杖。お値段はこのサイズでも32万ロゼとかなりのもの。

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