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24 チューぐらいはしとかないとね

私は、アレスを先に武器屋へと追いやると、リーゼを待たせローラさんに耳打ちをする。


「私たち、アレスと良い仲になることができました」

私の話を聞いたローラさんは、「きゃー!おめでとうクラウ!リーゼも!」と声を抑えつつ喜んでくれた。


数日前から相談していたアレス篭絡作戦。

ローラさんからは「チャンスがあれば後は度胸よ!」と言われ、その言葉に従いアレスに抱き着いてみたのだ。結果は自分でも驚くほど大きな声で告白してしまうという羞恥にまみれた結果ではあったが…


思い出すとまた赤くなるので、ローラさんには簡単に抱き着いて告白したということだけ告げた。リーゼもまた私の話を聞いてそう言う事かと気づいたのか、「私も、同じ」とモジモジしながら言うので、普段からのギャップにキュンと来る。


それから、夜に一旦集まって女子会という名の今後の彼是を計画する会をすることになった。

私たちはもう一度ローラさんにお礼を言うと、足早に武器屋へと走った。


そして、武器屋を出た私たちは、リーゼの家の2階に集まった。

ローラさんは持参した串肉と、私たちの恋バナを聞きながら、私が持ってきたお酒を飲む予定の様だ。


「で、2人は、このままアレスくんのお嫁さんまで行っちゃうのよね?」

「はい、できればですが…」

「お嫁、さん…」

ローラさんの言葉にリーゼが固まっている。


「詳しくは割愛しますが、アレスとは深い絆が結ばれたと言っても良いでしょう。なので多分大丈夫なはずです!」

「なにそれ!詳しく!」

「深い、絆…」

ローラさんは興奮しながら酒を煽り、身を乗り出してきた。リーゼはまだ硬直の状態異常中らしい。こういう話は中々しないから当然かもしれない。


そう言う私もまだ恥ずかしい。お酒を飲んでいないのにすでに顔が真っ赤になっているのが自分でも分かり、少し狼狽える。


「詳しくは…アレスの許可がないと…」

さすがにスキルの話は勝手にできない。


「ちょっと!アレスくん、もうクラウちゃんたちに色々やっちゃったの?」

「いや、ちが…」

「いろいろ…」

ローラさんの鼻息が荒すぎて戸惑う。


「そういう、ことでは無いんですが、アレスのクラスに関することなので…」

「ああ、アレスくんって実はちょっと変わったクラスなのかな?盗賊クラスって言ってるけど、鉄槍買い占めてるって話だし、まあ深く詮索はご法度だからしないけどね」


やっぱり鉄槍なんかを買ってるのは噂になるのだろう。

早いところ別の攻撃方を模索してもらわないと、それかいっそ全て打ち明ける?なんにせよ勝手はできない。大盗賊っていってもクラスがそうなだけで、本人の素行とは無関係なのは分かってるけど…


「そう言えば、今は19階層まで行ってるんでしょ?迷宮」

「はい。多分来週末までに踏破は間に合います。だからこそ、王都で新しいライバルが現れる前になんとかしたかったので…」

「そうかそうか。まっ王都に行けば、多分レイリアさんもいるしねー」


ローラさんの言ったレイリアさんは、前にアレスがお世話になったパーティの女性冒険者だ。アレスがとても懐いていたと言う話だから、王都に行くなら警戒しなくてはならない人だった。


「じゃあ、王都に行くまでに、既成事実作っちゃわないとだね」

「既成事実、ですか?」

「まだお子ちゃまの2人にはあまりエッチなのは早いかもだけど、チューぐらいはしとけば?」

「チュー」

ローラさんの言葉にリーゼが顔を押さえ後ろに倒れ込んだ。ゴン!と大きな音がしたが、まだ顔を押さえ悶えてるので怪我はしていないっぽいから放置しておこう。


「それとも!もうしちゃった?」

「して!ません!」

思ったより大きな声が出た。それを聞いてローラさんが上機嫌で笑っている。お酒もすすんでいるようだ。


「でも、アレスくんってモテモテね。元貴族だけど横柄でもないし…そんなに優良物件?」

「…はい。優しくて、何より、アレスは多分王都でも天下取れると思います」

「おー。それほどなの?」

「はい」

ローラさんは興味津々ではあるが、スキルなどの彼是をそれとなしにも聞いてはこないので信頼はできると思っている。


「天下かー。じゃあ、私もお妾さんぐらいを狙っておいても良いかも?」

「ちょっとローラさん!」

「だめー!」

揶揄うような表情で言っているローラさんに、思わず声が出た。ローゼも復活して声を上げている。ちゃんと話を聞いていたようだ。


ニヤニヤするローラさんに冗談だよね?と思ってるけど…実際アレスが今後、王都でも名を上げていけば…分からない。


「まあ、2人の恋路を邪魔するきはないよ。でも、たまに味見してもらうぐらいいいんじゃない?」

「それは、アレスに聞いてください!」

「うう」


私とリーゼを見ながら酒をグイグイ飲んでゆくローラさん。


「王都でも英雄扱いされている剣聖・ウイルソン様には、妾が20人とか30人はいるんじゃ、なんて言われてるし、嘗ての大盗賊ステイルレインなんて、数百人のハーレムを築いていた、なんて話もあるしねー」

「大盗賊…」

「ま、ステイルレイン伝説は嘘かホントか分からないって話だけど…そこまでは行かなくても、5人10人なんて御貴族様も珍しくはないからね」


ローラさんの言葉にドキリとする。

伝説のように語り継がれている大盗賊ステイルレイン。

アレスが家を追い出されたのもきっと彼の伝説があるから、と言っても良いかもしれない。私は、そんな話に惑わされたりはしない。私がアレスを守るんだ…


結局そのままローラさんを寝かせ私も家に帰ったけど、もっとアレスに目を向けて貰わなきゃと強く思った。王都に行く前に…チューを…チュー、なんて…

布団の中でモヤモヤした何かを抱え、中々寝付けない夜を過ごした。


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大盗賊ステイルレイン

数百人のハーレムを築いていたとも言われている。大盗賊の印象が最悪なものになった根源。


この世界の曜日について

(つき)の日、週の始まり、月に週の安全と健康を祈る日。

()の日、火の精霊様に感謝する日。

(みず)の日、水の精霊様に(以下略

(かぜ)の日、風の精霊(以下略

(つち)の日、土の(以下略

(ひかり)の日、光(以下略

(せい)の日、週の終わりで聖獣様に世の安寧をお祈りをする日。お休み?何それ?みんな忙しく働いています。


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