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[完結]侯爵家の三男だけど能力板には大盗賊って出ちゃいました。  作者: 安ころもっち
第二章 アレスと新たなパーティ

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22 恥ずかしいから、一旦離れようか?

無心になり睾丸の回収を終えた僕。


「その、た、玉々?何に使うんだろう」

その様子を見ていたであろうリーゼが少し赤くなった顔で質問されるが、その言い方はずるい。ドキドキしてしまう。


「その、それは精力剤などの原料になったり、その他多数の薬にも使われています。その、た…ソレ、が滋養強壮に良いと言われています」

「へー」

リーゼと同じように少し赤くなったクラウの説明に、なんとなく納得した様子のリーゼ。


「僕も聞いたことがあるよ。精力剤に使う以外にも色々使われているけど、知らない方が身のためだって言われたから…ほんと知らない方が良いんだと思う」

それは以前ニックさんに聞いた話。


気になるけど、もしいつも食べてるものとかに使われてたら…と思うと詳しく聞く気が起きなかった。世の中には知らない方が良いことは多いんだと思う。


そして休憩がてら各自が能力板(スキルボード)を出して確認をする。


――――――

アレス クラス:大盗賊 Lv40

体力80 魔力120(68) 外殻70

力29 硬9 速9 魔14

――――――

Up [物理耐性/Lv3+1/殴られてもへこたれない]

New [短剣術/Lv2/短剣の扱いがうまくなる]

New [弓術/Lv2+1/弓術の扱いがうまくなる]

New [投擲/Lv1/投擲の扱いがうまくなる]

New [親愛の絆/親愛なる絆により繋がり奪い取る力]


「何これ…」


僕は、いつの間にか出ている新しいスキルに戸惑う。

確かにさっき[弓術]を得た時に、何か一緒に何か言ってた気がするけど…ハイゴブリンを前に、あまり覚えていない…


「この、[親愛の絆]って物騒な説明のスキル、ハイゴブリンから出たんですか?」

あまりの説明分に自分でも引いている。


「いや、ハイゴブリンを倒す前なんだよね。多分だけど、弓術を奪った後にこんな感じのスキルがーって聞こえたんだけど、それどころじゃなかったからさ…」

そう言いながら、なんとなく2人を見ながら、このスキルで力を分け与えられる気がするのを感じた。


「たしかに!説明文から犯罪の匂いがする!」


リーゼにもそう言われてしまうが、いつもの様になんとなくスキルについては理解できている。


「そんな犯罪めいたスキルじゃないよ?」

「いや危険だ香りが…」

リーゼが自分の体を抱くようにして警戒するそぶりを見せているが、多分揶揄っているのだろう。


そんな中、クラウが僕の能力板(スキルボード)をジッと見て何かを考えている。そして…


「アレス、スキルってレベル分の個数を集めたらレベルが上がるんですよね?」

「そうだと思うよ。今まではそうだったし…」

そしてまた黙って何かを考えるクラウ。


「これ、多分ですけど50個目で解放されたスキルなのかも」

「50個目?」

「はい。今計算してみたら、丁度50個スキル玉を獲得したことになるはずです。だから、これは大盗賊のクラスの固有のスキルなのかと…」

「固有の…」

確かに…って言われても数をすぐに計算できないな。


「それと、何となくだけどスキルの使い方わかりませんか?」

「多分、だけどね」


僕の言葉にクラウと一緒にリーゼも期待をこめた目で見てくるので、スキルについて感じたことを説明する。


「本当に多分だよ?」

「いいから話してください!」

「そうそう!早く話すといい!」

いつも以上に語尾が強いクラウと、いつもの調子なリーゼに急かされる。


「信頼してる仲間も、同じように魔物から力を奪える?」

僕の言葉に2人の沈黙が続く…


「狩ろう!今すぐ狩ろう!」

リーゼが立ち上がり周りを見渡して魔物を探している。


「ちょっと…待ってください。その、親愛というのは、私とリーゼということで良いのでしょうか?」

少し顔を赤くしながら、真剣に目を向けてくるクラウに、ごくりと喉を鳴らしてしまう。


「多分だけど、まだ…かも」

「ひどい!私は真の仲間じゃないってこと!」

リーゼが面白半分であろうが地団駄を踏んでいる。


「僕は、2人は本当に仲間だと思っているよ。でも、何となくまだこのスキルの対象ではないような…気がして…」

そう言うとまた何か考えた様子のクラウ。


そして「よし!」と小さくつぶやき、僕の前まで歩いてくると…


「ふわっ」

クラウに抱きしめられ変な声がでた。


「ちょ!クラウ!何してるの!」

「そ、そうだよ。その、恥ずかしいから、一旦離れようか?」

クラウを引きはがそうとリーゼが軽く腕を引っ張っているようで、強く抱きつかれている僕もぐらぐらとゆすぶられている。


「私は!アレスが!好き!」


クラウが僕の胸に顔をうずめて叫んだ一言に、僕も、リーゼも、一瞬呼吸も忘れてしまうぐらい驚いてしまう。


「ふぅ」

クラウが僕から離れ、すぐさま自分の能力板(スキルボード)を出し、ガッツポーズをした後、僕たちにスキルの下の部分を指差していた。その顔は真っ赤に染まっている。


そこには、『称号 [大盗賊からの親愛]』と記載があった。


「な…ぐえっ!」

僕が驚く間もなく、リーゼに強く抱きしめられた。苦しいけど気持ち良い柔らかさと香り…


「わわわたしも!アレスが、が、が…好き―!」

「いたたた!」

真っ赤なリーゼの宣言とともに強烈に締め上げられ、外殻が全損した。死んじゃう!


そして無言で離れ、能力板(スキルボード)を出し確認するリーゼ。その後、少しにやけた顔をしている。


僕も自分の能力板(スキルボード)を確認すると、同じように称号の項目が出現し、『称号 [2人からの親愛]』と表記されている。これで、2人も同じようにスキルと奪えるようになったようだ。


「よし!狩ろう!今すぐ敵を討ち滅ぼそう!」

「異論はありませんね!」


2人のテンションは高い。まあ気持ちは分かる。


僕に今できるのは、ゴブリン村を離れ、魔物を探し駆けて行く2人の後を、只々そっと付いて行くことだけだった。


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ゴブリン村

モレノの森の17階層、19階層にはゴブリンの集落、ゴブリン村が存在する。ハイゴブリンの1匹をトップとし、迷宮ゴブリン、火炎ゴブリン、弓ゴブリンが出現する。掘っ立て小屋のような建物が並び、建物も含め3日でリポップ、修復される謎仕様。


ハイゴブリン

村の一番優れた個体が進化すると言われている。※そもそもリポップするのでそう言う設定なのだろう。

その3mほどある巨大な体は、アレスの鉄槍での[突く]が刺さり切らないほどの固さを誇る。『硬』の能力玉を持つ。素材は中程度の魔石と睾丸。睾丸は精力剤等々に使われているのでそれなりに高価買取。


迷宮ゴブリン

村では最弱のゴブリン。朽ちかけたナイフを腰みのに装着し[短剣術]スキルを持っているが、石臼を運んだり他の様々な準備をしたりの雑用係。素材は中程度の魔石。


火炎ゴブリン

木で作られた炸裂弾のようなものを投擲してくるゴブリン。[投擲]スキル持ち。赤い草臥れた布を頭に巻いているのがチャームポイント。素材は中程度の魔石。


弓ゴブリン

木の弓矢で矢を放つゴブリン。[弓術]スキルでその連射速度はかなりのもの。背中に矢箇を背負い弓手(ゆんで)の左手には緑の蔦をおしゃれに巻き付けているのが自慢。素材は中程度の魔石。

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