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21 ちょっと!イチャ禁止!

「クラウもリーゼも、準備はいい?」

「はい。いつでも行けますよ」

「大丈夫!」

3人でゴブリン村のすぐ近くの岩影に身を潜めつつ確認を取る。


僕はひと呼吸置いてから岩影から飛び出し、少し左方向に走りながら[カマイタチ]を放ってゆく。クラウは僕と離れ右方向を[火炎]で焼き尽くす。建物なんかも時間が経てば元通りなので加減はしない。


驚き混乱した様子のゴブリンたちがギャーギャーと騒ぎ立てるが、構わず走り回り出現したスキル玉をつんしながら殲滅を繰り返し、[短剣術][弓術][投擲]を獲得する。確認は後にしよう。


建物からワラワラと飛び出してきたゴブリンたちからの反撃が飛んできた。

弓を放っているのは弓ゴブリンだろう。両腕の[岩の盾]で何とかしのぐ。


あれは何だろう?

ゴブリンが右手に持っているのは太い枝をくり抜いたようなものに、何かが詰められている。枯れ葉だろうか?

そして横には数匹のゴブリンが運んできた石の臼のようなもの。その上には炎。それに右手の物を近づけ、火が燃え移るのを思わず眺めてしまった。


「あー、火種ってことか」

思わず納得して感心してしまう。魔物も道具をうまく使うものだ。


そんな僕に、その燃え始めた物を投げつけるゴブリン。


「うわっ!」

ゴブリンから投げつけられたそれが破裂して外殻が削られる。


「びっくりした!」

「アレスー!ぼーっとしてたら死ぬよー!」

びっくりしてドキドキが収まらない僕にリーゼが後方から声がかかった。確かにボーっとしすぎていたなと反省。


反省の意味も込めて[疾風]を2度つかって距離をつめると[カマイタチ]をそのゴブリンたちと石臼のようなものに放ち無効化した。石臼は破壊はされなかったが、横倒しとなり火種が消えてゆく。


そして視界の外から飛んできた矢に外殻が完全に削り取られ、痛みと共にまた戸惑った。


「さすがに多いね。ちょっと前に出すぎちゃったかな?」

そう言いながら後方に下がりつつ、思い付きではあったが背中から胸にかけて[岩の盾]で覆う。さらに頭部もヘルメットのように覆い防御を固めた。


「なんだかすごい恰好だね。新種の魔物?」

僕を庇うように前にでてくれたリーゼの言葉も、あながち間違いではない見た目になっていることは自覚している。


「ひどいよリーゼ。せめて新種の岩人間って言ってよ」

「おお!やっぱり新種だった!」

そう言いながら笑い出すリーゼ。


「ちょっと!2人でイチャついてないで、ハイゴブリンが来てますよ!」

クラウがそう言いながら僕たちの方に走ってくるので周りを見渡す。


「あれか…でかいね…」

「ハイゴブリンはハイオークとかと違って、ほいほい湧くものではないですからね。村の頂点である1個体だけが進化するって言われています。強さもけた違いですから…3人で行きましょう」


クラウの言葉に2人でうなずきハイゴブリンに向かって走る。

途中で矢やあの爆発物が投げ込まれるが、それらを僕の[カマイタチ]やクラウの[風牙]で蹴散らしてゆく。


そしてやっぱりここは[突く]だよね。と流れる手つきで鉄槍を取り出すと一気に心臓めがけて[突く]を…

バキリという音と共に鉄槍の柄が折れる。


驚きのあまり「なんで!」と叫ぶが、どうやらハイゴブリンも無傷ではないようで、胸を抑え膝をついていた。

次の瞬間、2mぐらいに下がった位置からハイゴブリンの左手がこちらに向かってくる。


咄嗟に[残像]を使いそれをすり抜けるが、かなり心臓に悪い。

一時退避をと[疾風]を使って後ろに下がる。


入れ替わるように僕の横をリーゼがすり抜け、[斬]をつかってゴブリンの左手を切り飛ばしていた。その姿はとてもかっこよく見えた。


「大丈夫ですかアレス」

クラウがそう言って僕の方に近づきながら、[火炎]を連発している。矢のような形状に変化させて一極集中でハイゴブリンの足を焦がしている。


「あんなこともできるんだね」

「はい。[火炎/Lv2]になってからさらにイメージで形が変わり、あの形だと威力が増すんです…でも、ひやっとしました。心臓が止まりそうで…」

クラウが[火炎]を止め、こちらを潤んだ目で見つめてくる。


クラウにドキドキしながらも「心配かけてごめんね」と謝っておく。


「ちょっと!イチャ禁止!」

今度はリーゼに怒られた。


クラウは慌てて[火炎]を飛ばす。

僕は[疾風]を何度か使い背後から[睨む]からの[カマイタチ]を連発した。


そして倒れ込んだハイゴブリン。

3mはあるだろ大きな体を横にして「グギャギャ」と汚い叫び声をあげ、暴れているハイゴブリンにもう一度リーゼが[斬]を使って残った腕を切り落とす。ちょっと可愛そうに見えてくるけと、後は止めか…


僕は魔短剣に持ち替えると、至近距離から首筋目掛けて[突く]によりハイゴブリンを倒し切る。そしてため息をつきつつも、目の前に浮かぶ能力玉をつんして初めて『硬』の能力をアップさせた。


その後、残ったゴブリンを狩り終わり、解体してゆく。

ハイゴブリン以外は中程度の魔石を取り出してゆくが、かなりの量を獲得することができた。美味しい狩場ではあるが、それゆえに定期的に狩りに来る他のパーティとブッキングすることもある。

今回はたまたま狩れたのは運が良かった。


ハイゴブリンについては少し大きめの魔石と、オーガなどと同じように睾丸が素材となるため、何とも言えない気持ちを抑えつつそのモノを切り取り、手早く魔法の袋に回収した。


そこでやっと安堵してその場に腰を下ろした。


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スキルのイメージによる変化について


[疾風]や[岩の盾]のように、この世界のスキルはイメージによる形状の変化を加えることも可能です。[疾風]の移動場所や[岩の盾]の形や場所の指定、[火炎]や[風牙]も広範囲にばら撒くことも、一点集中で矢のようにして飛ばすことも可能です。

ファイヤーボールもファイヤーアローもありません。イメージにより形状変化させ威力の増減や使い勝手の向上があり、スキルLvアップにより威力が上昇するというのが一般的です。

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