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[完結]侯爵家の三男だけど能力板には大盗賊って出ちゃいました。  作者: 安ころもっち
第二章 アレスと新たなパーティ

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20 なんか、出ちゃったかも…

3人で17階層への階段を上る。


結局16階層で岩猿は発見する前に階段までたどり着いてしまったので、相談して進むことを選択した。

階段を上がりながら能力板(スキルボード)を出して魔力を確認するが、まだ僕もクラウも半分以上あるので休憩なしで進むことにした。


「あっ、あれ!猿!」

リーゼが叫んで指差した先に、枯れ木が茂っている小さな岩山に岩猿の姿があった。2mを少し超えたぐらいの大きな猿が、枯れ木の残り少ない葉っぱを食べているようだ。


全身が体毛に覆われているが、腕や肩、胸や腰の一部に岩のようなものが張り付いている。そこを避ければ問題はなさそうだ。


「行こう!」

僕は上がった魔力を良いことに、我先にと[疾風]で近づき鉄槍を取り出しては[突く]で一突き、そしてまた取り出し一突きと3体の猿を瞬殺していた。[突く]が万能過ぎてもう…


目の前に浮かぶスキル玉にも頬が緩んでしかたない。魔力があるって素晴らしい!


「もう!私にも1匹ぐらい残しておいてよ!」

「次は私にも試し撃ちさせてくれますよね」

「ごめんごめん。次はリーゼとクラウに任せるからさ」


2人に怒られながらもスキル玉をつんする。


―――スキル[岩の盾]を覚えました。


「岩の盾?」

そう思いながら発動する。


「おわっ」

左腕に急に岩が生成され驚くが重さは無いようだ。


「なにそれ。新スキル?」

そう言いながらリーゼがその岩に覆われた腕をコンコンする。クラウも真剣に観察しているようだ。


「岩の盾だって。消費魔力は2だから使いやすいかな?」

「試しに少し叩いていい?」

「お、お手柔らかに…」

僕の了承を得たリーゼが少し強めに叩く。そして、何度か叩いた後にその[岩の盾]はボロボロと崩れて消えた。


「結構固いね。外殻削れちゃった」

「そうなんだ」


リーゼの感想を聞きながら、今度は腕の前の方に小盾をイメージして発動すると、おおよそイメージ通りの[岩の盾]が出来上がった。


「おお!」

「今度は軽く何度か叩いてみて?回数なのか、ダメージの蓄積なのか、それとも時間なのか…色々知っておいた方が良いかもだし」

「そだねー」


リーゼがコンコンとノックするように[岩の盾]を叩くと、10回程度で消えてしまった。回数かな?

スキルの確認も終わった僕は、3体の猿を解体してゆく。肉は固くて食べられないので、ふわふわした表皮部分と中程度の魔石を取り出す。それなりに大変だ。早く『硬』の能力玉で体力を上げたい…


「じゃあ…これで暫く進もうかな?」

解体を終えた僕は、両腕に同じように[岩の盾]を生成すると、次の獲物を探すように地図を見る。これで時間経過でも消えるか確認しておきたい。


「ゴブリンの村はどうする?」

「そうですね。普通ならスルーですが…アレスのスキルを考えれば早めに体験しておいた方が良いと思います」

「私も!いっぱい狩りたい!」


次の目的地はゴブリン村に決まった。

地図を頼りに移動していると、何度か魔物の群れと遭遇する。


闇カラスからは『魔』の能力玉を1つゲット。そして…


「ん?」

僕は闇カラスの亡骸の上にいつもの透明のシャボン玉、スキル玉が出たのを確認した。


「なんか、出ちゃったかも…」

「あっ、闇カラスからスキル玉、出たんですか?」

「おお!」


僕はうなずきながらもつんしてみる。


―――スキル[残像]を覚えました。


「[残像]って…」

「あれですね。あの当たっても消える奴…ドンドン増えて羨ましいです」

「試そう。すぐに試そう」


僕はすぐに発動すると魔力が5、消費され一瞬ぞわっとした全身に身震いするが、その感覚はすぐに消えてしまった。


リーゼにまだ消えていない[岩の盾]を殴ってもらう。

結構強めに叩いたのか一撃で消えてゆく[岩の盾]。何だろう?スキルの恩恵を受けていない気がする。


「リーゼ、今の感じでせーので合図しながら叩いてくれて良い?」

そう言いながらまだ残っている[岩の盾]のある左手を差し出した。


「わかった。じゃあ、せーの!」

良し!ここだ!


僕はリーゼに叩かれる前に[残像]を発動すると、リーゼの攻撃はすり抜け、少し後ろに勝手に移動した。


「うわっ」

バランスを崩すリーゼを受け止める。柔らかくて良い匂いがする。


「アレス。スキルの特性は大体わかりましたが…鼻の下が伸びてますよ?」

「うぇ?嘘!」

僕はリーゼから体を話すと顔を押さえる。恥ずかしい。


リーゼも僕から離れてモジモジしている。


「ど、どうやら発動して数秒は攻撃無効になるみたいだよ」

「そう、なんだ。すごいね」

挙動不審になってしまう僕とリーゼにクラウがため息をついていた。


――――――

アレス クラス:大盗賊 Lv38

体力40 魔力114(45) 外殻30

力28 硬4 速9 魔14

――――――

New [岩の盾/Lv1/固い岩の盾を生成する]

New [残像/Lv1/一時の残像を残す]


そしてさらに[カマイタチ]で倒した岩蜥蜴の群れから[物理耐性]を一つ獲得。そのままの勢いでゴブリンの村へと到着した。


「たしかに、村だね」

粗末な掘っ立て小屋のような建物がいくつか見える。


あれはどうやって作ったのだろう…と思ったがきっと迷宮の壁とかと同じで謎オブジェなのだろう。魔物が持っている武器だって作っているのかセットで生まれてくるのか不明だ。


遠目にもゴブリンたちがそれなりに生活をしているようだ。どうやら殲滅はされてない様子なのでホッとする。定期的に冒険者が狩るので、殲滅されていると2~3日待たなくてはいけない。


とは言え数が多いので一応魔力が回復するまで暫くの間、昼食を取りながら待機することにした。袋から冷えたオニギリとお茶を出しお腹に収める。温かいご飯が恋しい。


「じゃあ、とりあえずアレスと私で広範囲で攻撃して、撃ち漏らしをリーゼがってことでいいですね?」

「そうだね」

「りょーかい」


こうして、少し緊張しつつも初めてのゴブリン村殲滅作戦が開始された。


------------------------------------------------------------

モレノの迷宮/16~20階層

岩場のエリア。ちいさな岩山の中腹にはボス部屋がある。

出現する魔物は岩蜥蜴、岩猿、闇カラス、17階層、19階層にはゴブリンの集落もありハイゴブリン、火炎ゴブリン、弓ゴブリンなどが出現する。3日でリポップする謎仕様。


闇カラス

体長30~50cm程度の漆黒のカラス。冒険者を見つけると一直線に飛んできてくちばしと爪で攻撃。所持スキルは[残像]で数秒間攻撃をすり抜ける。消費魔力は5。発動時には一瞬ぞわっとする。『魔』の能力玉も出る。素材は羽と少量の肉、小さな魔石。


岩蜥蜴

2m程のこげ茶の岩が張り付いたような体をしている蜥蜴。表皮は固く死ぬまではハイグレード短剣[魔石補助付き]であってもアレスの力では刺さらない。所持スキルは[物理耐性]。素材は表皮と肉。それなりに稼げるが、その表皮が武器の寿命を縮める。


岩猿

2mを少し超えたぐらいの大きな猿。全身が体毛に覆われているが、腕や肩、胸や腰の一部に岩のようなものが張り付いている。所持スキルは[岩の盾]で消費魔力は2。10回程度、もしくは一定量の攻撃を無効化する岩の盾をイメージする位置に生成。重さはない。素材はふわふわした表皮部分と中程度の魔石。

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