それぞれのお休み
土曜に更新予定だったんですけど。諸事情で土曜空けないといけなくなって平日3日に分けて執筆……。
なんとかまにあった。
「じゃ、行ってくるね~」
「悟志さん、晩ごはんは家で食べますからね! ちゃんと私たちの分残しといてくださいね!」
「大丈夫、ちゃんと用意しとくから」
本日瑠実と乃亜はお出かけ。
悟志は玄関からそれを見送ると、座敷へ向かう。
桃叶はまだ寝ている。
最近桃叶の勉強や修業が忙しく、三人娘で出かけることが減った。
下手すれば徹夜に近い時間まで起きている桃叶を心配したゴン太が、睡眠だけはしっかりさせているため寝れていないことはないが。
『桃叶殿、しんぶんやさんがそろそろ来るから寝ないとダメだぞ!』
そう言って深夜一時半から二時の間に後ろから桃叶にのしかかるゴン太。
その時にほんの少しだけ癒しの神気を出して、眠気を誘う。
すると
「ふぁ……。はい、ももねます」
と素直にベッドに入る桃叶。
ここでゴン太は油断しない。
わんと小さく鳴くと桃叶と契約した狐の神、コンを呼び出す。
『もうそんな時間なのね、ゴン太さん』
『おう、桃叶殿がちゃんと朝まで寝るように一緒に寝ておいてくれ』
「も~……、ももだってねるときはちゃんとねるんですよ~……」
そのやり取りをうとうとしながら聞いた桃叶が抗議をするが、犬たちは相手にしない。
『はいはい、わかったから一緒に寝よ?』
コンが桃叶の足元で丸くなると、子供をあやすように尻尾で桃叶の身体を撫でる。
すると桃叶はすぐに穏やかな寝息を立てて、眠り出した。
それを見届けたゴン太は桃叶の部屋から出ていくと、階段を下りて自分の小屋へ。
水をひと舐めして、ゴン太も眠りについた。
こんなやり取りを週末になるたびに繰り返してだいたい一ヶ月。
今日は瑠実も乃亜もそれぞれの用事で朝から出かける。
疲れてるだろうからと、そのまま桃叶は寝かせておいて悟志は一人の時間を過ごすことに。
のんびりとまだ見ていなかった料理のアニメを見ていると、腹が減ってくる。
「こうなってくるとなんかジャンクなもんでも食いてぇな」
女の子相手だから、男飯を作ってはいるが野菜をちゃんと入れるようにしたりなど気を遣う。
しかし今日は一人だ。久しぶりにがっつりと肉を食べたい。
そうだ、フライドチキンでも買いに行こう。
そう思ってスマホで営業時間を調べると、すでに開店していた。
「鶏で決まりだ」
そのままメニューを見ていると、期間限定のにんにく醤油なるものが。
いつものフライドチキンとにんにく醤油、ふたつずつの食べ比べセットにつくサイドメニューはひとつ。
いつものフライドチキン四個のセットだとサイドメニューはふたつ。
値段は一緒。だったらいつものだな。
昼で混みだす前に買いに行こう。
財布を手に取り、立ち上がろうとした時だった。
「おはようございま~す」
時刻は昼少し前。
三人娘の末っ子が目を覚まして、悟志の元へとやってくる。
「桃叶ちゃんおはよう。腹減ってるだろ、フライドチキン買いに行くよ」
「えっ、チキン!? やったー!」
手を上げて喜ぶ桃叶に先に外へ出るよう促すと、悟志も車の鍵を手に取って玄関へと向かったのであった。
「あ、これおいしそ~」
悟志たちがフライドチキンを買いに向かった頃、瑠実は百貨店にいた。
そろそろベースパウダーがなくなるし、年に地方の物産展もやってるから行ってみよ~、と軽い気持ちで行ったはいいが。やはり期間限定ということもあって人で溢れている。
少し気が滅入った瑠実は先にベースパウダーと、何故か気になったヘアオイルを購入し、地下へと降りる。
前に一度、悟志が買ってきたカステラ。
悟志のお気に入りということで留守番している悟志と桃叶へ、お土産に買っていこうと店を探す。
しかし、和洋問わずたくさんの菓子が軒を連ねるデパ地下。
ついつい色々目移りしてしまう。
思わず声を上げたのは、シュークリーム。
見るからにサクサクの生地に生クリームとカスタードクリームを詰め込んだそれ。
買っちゃう? でも保冷剤溶ける前に帰らないとな~、と少し迷って買うのをやめた。
スマホで時間を確認すると、ちょうど昼時。
カステラを買って、どこかで食事をしてから物産展に行こう。
きょろきょろと見回すと、目的のカステラ屋の看板が目に入る。
少し急ぎ足で瑠実は目的の店へと進む。
「ありがとうございました~」
無事に悟志たちへの土産を買い、店員に見送られるとエレベーターに乗ってレストラン階へ。
ずっと行ってみたかったうどん屋へと向かっていく。
うどん屋の近くにあるエスカレーターで降りたらすぐ物産展会場。
食事が済んだあとはスムーズに動けそうだと、少し安心して瑠実はうどん屋に並ぶのであった。
その頃、乃亜はというと……。
「わ~、かわいい~!!」
大好きなちびかわきつねのグッズを買いに瑠実とは別の百貨店に来ていた。
今日から抽選販売される着ぐるみパジャマとジャンボぬいぐるみ。
事前抽選に当選したものだけが購入できるそれ。
乃亜は希望の商品全てに当選した。
これに関して、神の力を使ってはいない。
純粋な乃亜の運で結果を引き寄せたのだ。
着ぐるみパジャマは四匹全員分。
ジャンボぬいぐるみはたまちぃ。
その分お金もかかるけども、ちゃんとこの日のために給料とは別でもらえるお小遣いを貯めていた。
「えっと、たまちぃ、とうりちゃん、そらくんがレディースのMサイズでしょ? はくさんは……メンズのXL!」
神代家全員で何かおそろいがしたくて、ずっと何かを探していた乃亜。
一ヶ月ほど前にメールで届いた新商品情報を見た瞬間、これしかない! と抽選開始の瞬間にフォームから申し込んだ。
三人娘はそれぞれ、黄色、桃色、水色、と自分の使っている食器の色と同じきつねを好きになった。
悟志は必然的に四匹いるきつねの残り一匹になってしまったのだが。
そのはくさんと悟志には共通点があった。
それは料理。
はくさんは一番身体が大きく、ごはんを作るのが大好きなきつね。
いつもたくさんのごはんを作る悟志にピッタリだと勝手に思ってる。
こちらも無事に目当てのものを手に入れて、次に向かうはちびかわきつねのコラボ食堂。
期間限定出店の定食屋。その名も、はくさんの台所。
はくさんが他のきつねや、社にやって来たお客さんに作った料理の中から食べてみたい! の声が多かったメニューを提供するごはん屋さんである。
乃亜が狙っているのは煮込みハンバーグ定食。
がんばって仕込んで、ふるまったあとにソースがお腹についてたことに気付いて、シミになる!
と大騒ぎした話。
その時の賑やかさがなんか好きで、ずっと心に残っていた。
悟志の作った煮込みハンバーグとどう違うんだろう、なんてそわそわしつつ席が空くのを待っていたのだった。
「やべぇ、眠くなってきた」
「もももです……。このもこもこ温かい……」
『寝たらいいだろ、瑠実殿たちが帰ってくるまで』
フライドチキンパーティーだ~!とフライドチキンにサラダ、ポテトと買い込んでジュースで乾杯。
骨はゴン太に与えて、ゴン太もちゃんと仲間に入れて。
少し豪華な昼食を摂ったあと、当然眠くなる二人。
悟志がゴン太、と声をかけたらすぐに察して悟志に近付いて伏せ、横になる悟志の頭を支えるゴン太。
もふもふに包まれて眠くなる。
桃叶は朝晩の冷えが辛くなる前に、と悟志が敷いたフェイクファーラグと電気あんかにブランケットでほかほか。
そしてこちらも眠くなる。
そんな二人を見て、少しあきれた様子のゴン太。
「このままいったらもうこたつ導入なんてすぐだ」
「去年は十一月になってちょっとしたらこたつ用意してましたよね?」
「ああ、そうだね。今年はちょっと寒くなるの早いし、次の休みにでもこたつ入れよっかな」
「ええ、ぜひぜひ」
なんて会話をしていると、だんだんと瞼が重くなってくる。
いつの間にか二人は寝てしまった。
そんな二人を見て、ふーと鼻で息をするとゴン太も目を閉じて眠ることにした。
ここ最近では珍しい穏やかな昼下がり。
ゆっくりと時間が過ぎていった。
「ただいま~……」
悟志たちが昼寝を始めて少しした頃、瑠実が家へと帰ってくる。返事はない。
おかしいな? と思いつつ座敷へ向かうとそこにはゴン太を枕にした悟志と、がっつり昼寝モードの桃叶。
音で目を覚ましたゴン太と瑠実の目が合うと、瑠実はゴン太に近付く。
「みんなお昼寝中?」
『おう。でもほんのちょっと前に寝始めたばっかだぞ』
「そっかそっか」
起こさないように小声で会話する瑠実たち。
部屋のあったかさと疲れも相まって、瑠実にも眠気がやってくる。
「ふゎ……」
あくびをひとつすると悪い思い付き。
「ねぇ、ゴン太ちゃん……? もうちょっと大きくなれる? 悟志くんを起こさないようにゆっくりね」
ゴン太に大きくなるように頼むと、以前やった犬枕状態に。
ゴン太の頭側に悟志がもたれかかり、尻尾側は空いていた。
「お邪魔しまーす」
その空いた尻尾側にもぐりこむ瑠実。
目が覚めた時、悟志はどんな顔をするのだろうか、そして自分はなんて言おうか。
桃叶や乃亜が見つけて、騒ぐのが先か、悟志が目を覚ますのが先か……。
くすりと笑ったあと、瑠実は悟志の横で眠り始めた。
そろそろ更新ペースを上げていきたい……。




